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第52話
その日は、モデルのバイトが早く終わって、スタッフ達と呑みに行った。ちゃんと蓮には連絡した。うん。したな。
帰り道、タクシーが拾える場所まで、良い気分で歩いてた。どうせ急いで帰っても、蓮は出張から明日帰ってくる。
なんか、人がうずくまってる。ん?酔っ払い?俺もだけど。
「大丈夫~?タクシーあるトコまで、一緒に行かない?」
若いな。大学生か?声をかけるが返事が無い。
「お~い、大丈夫?」
あら、泣いてる。
「どした~?フラれたかぁ~?」
酔っ払いの大学生が、やっと返事した。
「お、俺、男なのに、男なのにぃ!」
ん?確かに男子大学生だ。まぁ可愛い顔はしてるが、俺よりはマシ。
「わかった。一軒付き合うから、お話しようか?」
「・・うん。話し聞いてくれる?」
「ん?良いよぉ~。お兄さんに悩み事話してスッキリしたらいいよぉ~。」
そっから、記憶が、飛び飛びだ。
朝目が覚めたら、自宅。ん?いつもの寝室じゃない。あれ?華の部屋だ。間違え・・・。
!!隣に見知らぬ男が寝てる。いや、見知らぬじゃない。昨夜の酔っ払い大学生だ。
ヌオッ!しかも2人とも裸じゃん!な、何で?慌てて自分の、そのバックを触る。あれ?エッチした形跡が無い。ん?じゃ何で裸なの?記憶が無い!
「ん、凛さん。おはよ。」
いや、君誰?名前何で知ってんの?俺、君の名前知らないってか覚えて無い!
「凛さんがゲイとは思わなかったよ。めっちゃ気持ち良かった。」
「は?はい?き、気持ち良かった?」
「え?まさか覚えて無いの?」
マズイ。俺何したの?
「凛?凛何でこっちで、寝て・・・」
最悪なタイミングで、蓮さん帰宅。完全に俺、悪者。
「ちょ、ちょっと、君、ここに居て?俺、話してくるから。」
ソファーに座る、無表情の蓮。そりゃそうだ。パートナーが自分が居ない間に男連れ込んで、しかも全裸。今もバスローブ1枚だ。
「で?どういう事だ?言い訳は?」
「え~、あのスタッフと呑んだ後に・・」
記憶が、ある全部を話した。
蓮が俺を抱き抱えてバスローブを捲る。
「うわっ!な、何?」
「ん?あれ?エッチしてないの?」
さっき、自分で確認した事、蓮からもやられた。
「う~ん、分かんない。記憶無い。」
「でも、ココ綺麗じゃん?どういう事?」
「何故か裸なんだよね。なんでかな?」
「俺が知るかよ。」
確かに。
「で、でもね、さっき、あの子、き・気持ち良かったって言ってた。」
「はぁ?じゃ、やってんじゃねーかよ!」
「記憶に無いんだよ!全く!」
「凛、サイテー。酒で勢いでヤって、記憶無いとか。」
あ、呆れてる。怒りを通り越して。
ガチャと扉が、開いて大学生が出てきた。部屋にいろって言ったのに!
蓮が、無言で彼に近づく。
「名前は?」
「裕太。◯◯大三回生。」
華と同学年!ヤバイ。バレたら殺される。
「ふん。凛には負けるが、綺麗な顔してんな。」
大学生の顎をクイッと上げて品定めしてるみたいに、見てる。
「その言い方、嫌いだ。俺は女じゃない。」
「そんなん、みりゃ分かる。」
身長も体格も俺に近い。
「凛は、昨夜の事、覚えてない。よって、無かった事とする。」
蓮が裁判官みたいに言い放つ。
「ヤダね。俺は凛さんに抱かれた。凄く優しくて、話しも沢山聴いてくれた。だから、受け入れたんだ。無かった事にはしない。」
漫画にあるフキダシ。点々が並ぶアレが、見えるくらい、俺と蓮は目が点になってる。
「お・俺が、君の事、抱いたの?!」
カクンッと頬を赤らめて頷く。
(マジかよー、またやっちゃった?俺!?)
もう、ずっと前、まだ結婚してた頃、同じ事やってる。蓮には内緒だけど。
蓮が裕太と名乗る彼の下着を下げて身体を見る。
「な、何するんだ!離せっ!」
そりゃ暴れるわ。初対面の大男にケツ見られるんだ。俺、発言権無い。悪いな、裕太君。
「凛、お前、この子とヤってる。本当に覚えて無いのか?」
「・・・うん。悪いけど、覚えて無い。」
「ひ、ひどいよ!凛さん!それじゃ、相談した奴らと同じじゃないか!」
裕太君がうずくまり泣き出しだ。
とりあえず、裕太君が落ち着くまで待った。記憶に無い部分の話を聞きたい。
「・・で、サークルの奴らに輪姦されて・・」
涙がホロホロ溢れてる。そうか、それで泣いてたのか。自棄酒呑んだんだな。
その話を聞いて、俺も経験者だと共感して家まで連れてきたみたいだ。後は多分、俺の能力に当てられたんだろう。ただ、裕太君の素質が俺より受身みたいで俺に抱かれたみたい。
「はぁ、完璧に凛が悪いな。浮気云々じゃねーな。それ以前の問題だ。」
「・・・うん、申し訳ない。謝っても許されないだろうけど。」
「俺、凛さんの事好きになりました!諦めませんから!」
あ~、なんかややこしくなって来たぞ。自分の所為だけど。
「あー裕太だっけ。諦めてくんない?俺達、こういう仲なの。」
左手に光る指輪。
「そんなの!関係ない!」
「ふーん、凛は一晩で裕太君を夢中にさせるテクニックを持ってる訳だ。」
何も言えません。大の大人が、大学生をお持ち帰りして、ヤっちゃったなんて、芸能ニュースでよく見る奴だ。
頭を抱えて、悩む。どうしよう。蓮も呆れてるし、裕太君も引かない。
「俺、見てみてーな。凛のテクニック。」
は?な・何言ってんの?記憶に無いって言ってんのに。それを見る?訳わからん。俺と裕太君を引きずって、寝室へ。
「ま、待てってば!何するんだよ!」
「何?何って、SEXに決まってんだろ?俺の前でやれよ。」
はぁ?何言ってんの?おかしい事いってる。蓮の怒りは治ってなかった。
「ヤダよ。何で蓮の前でやんなきゃいけないんだよ!」
「じゃぁ、俺が居なきゃ連れ込んでやりたい放題か?」
「・・・ち・違う。」
「違わないだろ!連れ込んでんじゃねーか!」
蓮が怒鳴る。初めてかも知れない。
「俺は構わないよ?凛さんの事、好きだし。」
「そういう問題じゃない。昨夜の事、覚えて無くて悪いと思う。だけど、そこには恋愛関係は無いんだよ。大人の言い訳だけど酒が入ってたから。」
裕太君が俺に抱きついて来た。
「じゃ、昨日の優しい凛さんは、偽者?俺、救われたと思えて、抱かれて嬉しかったよ?」
泣き声で訴える。
「諦めろ。凛は誰にでも優しいんだ。お前だけにじゃない。帰れ。」
暫く静かな時間が過ぎる。裕太君は抱きついたまま。ごめんね、ということしか出来ない。
「わかった。諦めるから、最後に抱いて?」
俺の顔を正面から見つめてきた。
蓮を見ると無表情のまま。顎で、クイッとして来た。抱いてやれって事らしい。
仕方ない。自分の巻いた種だ。
ゆっくりと裕太君を横にして、キスをする。いつも蓮にされてる様に優しく抱く。身体にキスする度にピクンと跳ねる。本当に抱いたんだなぁ、身体は快感をすぐ覚えるから反応で分かる。
彼の双丘に指を這わし解す。柔らかい。抱かれた跡だ。直ぐに柔らかく指を3本飲み込む。脚が震えてる。顔は紅潮し、快感の中にいるのが分かる。彼の昂りからも先走りが溢れて濡れてる。蕾まで流れてクチュクチュと音が立つ。
「ハァァ、んっ、り、凛さんっ!良い!」
でも、どうしよう。俺が勃たない。シラフだし、攻める側なんてどうしたら良いか分からない。蓮をみて、助けを求めた。
蓮は、俺が勃たないのをみて少し驚いてるみたいだ。だって、俺が反応するのは蓮だけ。
蓮が腕を伸ばし、俺の息子を扱く。あぁ、蓮とキスしたい。蓮を見つめる。顔が近づいてきた。
「蓮、ごめんね。」
「もういい。勃たないのが分かったから。」
蓮と優しいキス。ごめんね、蓮。
蓮の手でなんとか勃ってくれた昂りを裕太君の蕾に充てがう。
「入れるよ?これが最後だからね。」
ゆっくり、蕾に挿入する。裕太君がスゥッと仰け反る。
「んああぁ、ハァッ!ううっんっ、あぁっ!」
熱い。内壁が俺のモノを包み、持っていかれそうだ。締め付けも強い。気を抜いたら直ぐにイきそう。
「う、動くよ?」
スライドを始めたら、裕太君はもう声が止まらない。
「んんぅ!あぁっ!クゥッ、い、良い!良いよぅ!」
汗が滲む。挿入する側も結構体力いるな。気を散らさないと裕太君より先にイッてしまう。
見ていた蓮が立ち上がる。服を脱いでベッドにあがってきた。
「れ、蓮?何するの?」
「凛に入れる。見てたら、我慢出来なくなった。」
「ちょ、ちょっと待って!ちゃんと相手するからっ!」
「いや、今が良い。」
俺、今突っ込んでんのに!
蓮の指が入ってきた。
「アアッ!ダ、ダメ!蓮、今はダメ!」
でも、身体は喜び始めてる。スライドしながら、蕾を弄られるなんて。裕太君も変化に気づいた。
「んっ、凛さん、止まって?彼が挿れられない。」
そんなのダメだよ!前の締め付けと後孔の愛撫で身体が震え出す。
「俺も凛さん、良くしてあげる。」
下腹部に力を入れて、俺を締め上げる。
「んんっ!ダメ!裕太君!緩めてぇ!」
涙が浮かぶ。抱いてる筈なのに2人から抱かれてる。蓮が腰を掴み、俺の双丘に突き立てる。いつもより早い挿入でかなりキツイけど今はそれどころじゃない。蓮が動き出す。揺らされて、裕太君も突き上げる状態になった。
「ンアッ、んんっ蓮!蓮、アアッ!」
蓮の動きに合わせて俺も裕太君を突き上げる。
「うわぁっ!んあっ、す、凄いよぉ!」
「おい、裕太。俺が凄いのか?凛が凄いのか?どっちだ?」
「ふ、2人とも、凄いよぉ!お腹に響くっ!」
「あ、あっ、アアッ!んんっ、蓮、ヤバイっ!」
昨夜たらふく酒呑んでる。トイレ行ってない。
「どうした?イきそう?」
「う、うん、イきそうだけど、も、漏れそうっ!」
わざと膀胱を圧迫する。
「だ、ダメっ!抜かないと、裕太君に出しちゃう!」
「な、何?ハァッ、何出すの?中に出して良いよぅ!」
違う、それじゃ無い!突き上げられ、ナカイキしそうだ!
「違うよ、裕太の腹の中にオシッコ出すんだよ。」
蓮が言ってしまった。一際強く突き上げる。同時に2人が喘ぐ位に。
「ダ、ダメェ!イったら、漏れちゃう!」
「あぁ、良いっ。凛さん、気持ちいいよぅ!」
2人してガクガクっと痙攣し始める。裕太君もオーガズムを感じるみたいだ。中が更にギュウッと絞まる。
「んっ!アアッ!出るっ!中に出すよっ!」
ビクビクッと震え裕太君の中に白濁した液を放つ。
「れ、蓮!お願いっ、止めてっ!漏れちゃう!」
「出してやれよ。喜ぶ。」
「んな訳ないだろ!」
裕太君は腰をくねらせ、オーガズムの中にいる。
「あぁ、凛さん、なんでも良いよ・・出して?」
トロンとした眼差しで俺を見つめる。
ピストンは止まらない。
「うんんっ!俺もく、来るっ!」
痙攣で激しく身体が揺れる。裕太君も続くナカイキの波で身体が震えてる。
オーガズムが来た。ダメだ、漏らす!
「ご、ごめんっ!裕太君!」
裕太君の中で放尿してしまった。裕太君も感覚に驚き、
「あ、熱いっ!んんっ、お腹、アアッ!」
出し切って、裕太君の蕾から自身を引き抜く。開いた後孔から、勢いよく尿が溢れる。
「ん、んんっ、こんなの初めてだよっ!」
ガクガク震えながら漏らしてる。可愛い顔立ちが紅潮して、いやらしい。
「良くみてろ。凛の本当の姿だ。」
蓮が激しく突き上げる。
「アアッ!んんっ、クゥッ!」
蓮の突き立てる熱い楔に集中できる。仰け反り、受け身の得られる全ての快感を独り占めする。
「凛さん、綺麗。」
裕太君が俺のモノに触れ、扱き始めた。
「だ、ダメっ、イってる、イってるからぁ!」
前と後ろからの刺激は強すぎて、意識が、飛びそうだ。
「男でも、潮吹くって本当なんだぁ。」
ついさっきまで、自分の中にあった俺のモノを口に含む。再び堅くなるのに時間はかからなかった。ナカイキも続いて理性が吹っ飛ぶ。
「んふぅっ!あぁ、イイッ!裕太君、イイッ!」
だらし無く溢れる体液を零さず飲む裕太君。片手は、後孔に挿れている。自分でナカイキを続かせてる。顔が蕩けてる。
「凛、気持ちいい?」
「ヴヴッ、うんっ、ずっとイってる!」
声は涙声だ。強い快感に涙が止まらない。
「ヒィッ!ううっん!あぁん!」
多分、俺の顔も蕩けてる。下半身が前後から責められ、痺れてる。脱力しそうだ。裕太君の体を下敷きにして、揺さぶられる。
「・・・も・・・り・・」
蓮が達する前に2回目の射精をして意識を手放した。
後で聞いたら、実は意識が無い俺の隣で蓮は裕太君を抱いたらしい。黙ってりゃいいのに報告してきた。
「何で話した?」
「ん~秘密にしたくは無かったからね。秘密にしたら、凛と同じになっちゃうからな。」
ふ~ん。裕太君も意識を吹っ飛ばされて、華の部屋で寝てる。
「蓮の性欲満たすには、2人相手居ないと駄目かもね。」
「ん?そうか?俺は凛だけで満足してるよ?」
本当かよ。
「ま、酔った勢いは悪いけど、勃たなかったし、浮気では無いな。でも、これが最後にしろよ?相手が可哀想だ。」
うん、そうだね。また、俺絡みで苦しむ人間を増やしてしまった。
枕に突っ伏して、涙を隠した。また人を傷つけた。蓮が頭をガシガシと撫でる。蓮も傷付いたよね。俺って最低。
夕方、目を覚まして裕太君が、部屋から出てきた。なんか様子が変だ。
「どうした?なんか調子悪い?」
「いや、その・・サークルでやられたって言ったじゃないですか?あの中の1人から連絡が来て、その~。」
ん?その?何?
「守れなくてごめん。好きだから、付き合ってくれって連絡が来ました。」
あらら。マジっすか。
「でも、サークル辞めたんでしょ?」
「はい。ソイツも辞めたらしいです。」
「んで、どうすんの?まだ凛のケツ、追いかけるか?」
「いや、もう会わないと思います。あ、でも華さんって、凛さんの娘さんですよね?じゃ会うかも。華さんとは友達ですから。」
俺、顔面蒼白。
「た、頼むから華には内緒にしてくれ!お願い!」
「言いませんよ。言ったら俺までボコられる。」
クスクス笑う。可愛らしい顔立ちが引き立つ。
「なんだ。華は大学でもヴァイオレンスなのか?」
「美人で強くて有名ですよ。それに父親がモデルって。」
あ、そうなんだ。
「時間も時間だ。夕飯食って帰れ。俺が送る。」
蓮、なんかスゲ~男らしいんだけど。
蓮が帰って来る前に寝室を片付ける。
はぁ、自分で汚したんだけど萎えるわ。毎回、よく片付けてくれるなぁ。確実に防水シート引いてあるから、予想はしてるんだろうな。
当分、酒呑むのやめようかな。蓮と一緒ならいいけど。
カミーノも近い。何やってんだろ俺。
数日後、華からメール。
『少しは反省したか?ヤリチン旦那とビッチ姫。犯罪者にはなるなよ?スペイン行けなくなるぞ。』
バレてんじゃんか。会いたくない。スゲ~怖いんだけど。後ろで大爆笑してる。蓮、お前もバレてるぞ。
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