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第54話
「なぁ、反省って言葉、わかる?」
「うん!わかる。」
いや、分かってないだろ。分かってたら、旅先で、アダルトグッズなんて買わない。頭ん中、中2位で、止まってんじゃないか?
「分かってんなら、何でこんなん買ってくんだよ。ふざけ過ぎ。・・・スペイン語出来ないのに良く買えたな。」
「ん?スペイン語、勉強した。日常会話程度なら、話せる。」
え?マジか。
「うん、仕事の合間に勉強したよ。だから忙しかった。」
仕事の合間にって、殆ど休んでないじゃないか。
「健太が話せるけど、任せっきりもなんか嫌だしね。」
「もしかして、俺とカミーノ歩く為に勉強したの?」
「それ以外に理由ないよ?」
なんだよ。俺、一人芝居じゃないか。孤独感?あれは、蓮が仕事の合間に勉強してただけ?なんだろう。胸が熱くなる。
「俺、馬鹿みたいじゃん・・・」
「何で?俺、他にも凛、傷付けちゃった?言わないと分からない。」
「忙しそうで、会話もあんまり出来なくて、メールみちゃったんだよ。」
「ん~、メール見たのは俺が悪いから別にいいけど、それ以外で?」
「会話出来なくて寂しかった・・・」
「俺の言葉が足りなかったんだ。ちゃんと勉強してるって言えば拗れなかったかも。いや、ダメか。浮気したもんな。」
「ソレ、貸して。お仕置きする。」
「へ?コ、コレでお仕置きすんの?俺に突っ込むの?」
自分で買ってきて焦ってる。面白い。荷物を縛るベルトで、蓮の腕を後ろで縛る。
「な、何、何すんの?」
「ん?何だろうな。」
窓を閉め、カーテンも閉める。鍵も確認。
「蓮、お仕置きだから、そこから動いたら駄目。」
古いホテルだ。多分、声出したら外に漏れる。自分で猿轡をして声が出ない様にした。手で顔を向かせて蓮の瞳を見つめる。蓮を床に座らせ、俺はゆっくり服を脱ぐ。全裸になって、自分の胸を愛撫する。蓮を見つめながら。そう、放置プレイ。俺には触れさせない。片手で胸を、片手で息子を扱く。蓮がツバを飲み込む音が聞こえる。
見つめあったまま、腰をくねらせ蓮を煽る。ベッドに座り、脚をはしたなく拡げ、後孔が見えるようにした。蓮は目を細め、俺も今からやる事を目で伝える。蓮に玩具を舐めさせる。蓮のモノは服の上からわかる位ガン勃ちしてる。
充分に濡れた玩具を自分で挿入する。
「 ・・・んっ・・ふっ・・」
後孔が丸見えで、玩具を出し入れする。ヌチャッヌチャッと卑猥な音だけが、部屋に響く。
「・・んっ・・」
たまに喉から喘ぎが漏れる。自分で良い所に当てる。蓮に見せつけて、お仕置きのつもりが、いつのまにか、蓮に見られてる事で興奮して来た。片手で後孔を開き、片手で激しく玩具をピストンする。目を合わせたままで。
(ハッ、ハァッ、んん、良いっ!この玩具も身体に合うっ。良いっ、あぁ!)
ズルズルとベッドから落ち、蓮の真ん前でアナニーを見せる。猿轡から唾液が溢れ流れ伝う。蓮から目を離せない。抱きたいと考えてるのが言わなくても伝わる。蓮の脚に自分の脚を引っ掛け、ひたすら出し入れする。
「・・ヴゥッ・・クッ・・」
ズボズボッと抜いては出して、自分を追い込む。姿勢を変える。四つ這いになって、蓮の肩に腕を回し、後孔に玩具を突き立てる。
「凛、気持ちいい?」
ガクガクと頷く。蓮の顔が目の前。流れてる唾液を蓮が舌で舐めとる。ゾクゾクッと快感が走る。蓮の目を見つめ、もうすぐオーガズムが来る事を教える。
「・・ヒッ、グッ・・んっ!」
全身に痙攣が走る。蓮の目の前で玩具を使い自分でナカイキした。涙が流れる。
「ハッ、ハァッ、ハッ!」
オーガズムがきたけど、手は震えながら動かす。足りない。玩具だけじゃ足りない。
蓮のズボンの前を開けた。勢いよく昂りが飛び出す。玩具を引き抜き、蓮に背中を向け、蓮の熱い昂りを後孔に誘う。ゆっくり腰を蓮の上に下ろす。
(アアッ!熱い!んんっ!良い!)
ナカイキで身体は震え続けてる。蓮は後ろ手を縛られたまま、膝立ちして突き立ててきた。
上半身をベッドに乗せ、蓮の突き上げるモノに打ち震える。シーツを握りしめて快感に飲まれる。脚を開き、深く蓮を受け止める。ビクビクッと痙攣が止まらない。蓮が腰を引くと追う様に腰を蓮に擦り付ける。
「やっぱり、凛じゃなきゃ、ダメだっ!んん、やらしくて、綺麗で完璧だっ!」
振り向いて、蓮の瞳を見上げる。キスしたいけど、声が出てしまう。目で感じてる、ナカイキが続いてる事を必死に伝える。
「わかるよ、凛っ!中がずっと痙攣してるっ!イってるよね!」
ガクンと頷く。不安定な状態なのに的確に俺が求めてる場所を貫く。
「・・・クッ・・ンッ・・・」
(お、俺も蓮じゃなきゃダメ・・)
意識がフワフワして来た。長いオーガズムは意識を飛ばしてしまう。もっと感じていたいのに!最後の力で、蓮に腰を押し当てる。蓮の腕が腰を掴む。縛っていたベルトが外れたみたいだ。腰を掴んで身体が浮く位、強く激しく突き上げる。俺は仰け反り、ひたすら与えられる蕩けるような快感に浸る。
「ウウッ!ごめんっ!凛っ、も、もう出るっ!」
膝立ちしてるのに、膝が床につかない位、突き上げられ、もう脳が痺れてる。薄っすらと腹の奥に熱い液体が当たるのが分かった。
ズルッと抜かれ、また喘ぐ。猿轡を外され、ベッドに寝かされた。
「凛、まだ気持ちいいんだな。顔が恍惚としてる。」
身体はまだ小刻みに震え続けてる。性的な触れ方じゃなくても、イってしまう。それを知ってて、髪や顔を撫でる。
「ハッ、んんっ!れ、蓮、ダメッ!」
「ん?お仕置きのお返しぃ。」
内股を撫で上げられる。
「ンアッ!ンッ!んウッ!」
また痙攣が走る。お仕置きの筈が、反対にやられてる。
「勝手に一人でカミーノに出たお仕置き。」
後孔に指を入れてきた。
「アァッ!だ、駄目、痙攣止まらないっ!」
コリコリッと前立腺を押される。
慌てて手で口を押さえて、仰け反る。蓮の腕を太腿が挟んでるけど抑止にはならない。ブルブルと震え、気持ちいい事を伝えてるだけだ。
「んぐぅっ!ヒィ!」
ズンッと指が増やされ、突かれた瞬間、意識も飛んだ。
「う~ん。なんか思い出せない。」
なんかブツブツ言ってる声で目が覚めた。
「朱に交われば赤くなる?いや違うなぁ。」
「・・・何?」
「いや、俺にお仕置きっていいながら、最後いつも通りになっちゃったからね。なんか諺があった気がする。」
「いつも、通り?どこが?終わった後も執念く弄り回したじゃんか!」
枕でボコる。
「あ、あれは、凛が煽ったからじゃん!俺ちゃんと我慢してたでしょ!」
た、確かに我慢してた。うん、煽りました。認めます。
「もうちょい、詰めて?一緒に寝たい。」
シングルだぞ。狭いよ。
「あっち空いてんじゃん。あっちで寝てよ。」
「やだ。一緒に寝る。」
「もぅ・・・分かったよ。」
情事の後だ。引っ付きたいのは分かる。けど狭い。まぁ仕掛けたのは俺だから仕方ないか。
朝、腰に固いモノが当たる感触で目が覚めた。
「・・・朝から元気だな。」
「だって、1回しか出してない。」
いや、そこが問題なのか?
「ちょっ、ちょっと、何してんだよ!」
「ん?もう1回位出来るかなと。」
「馬鹿か。今日、華達来るんだぞ!迎えに行くのに。」
「夕方だろ?2人が来たらイチャイチャ出来ない。」
「居たって、イチャイチャするじゃんか!もう触るなって!」
狭いベッドで攻防戦。
「んんっ!」
唇で口を塞がれた。全裸の俺の下半身を弄る。払い除けても払い除けても、双丘に手を回す。昨夜の残りで、身体はまだ甘ったるい感覚のまま。ちゃんと拒否らなきゃと頭では分かってる。分かってるけど、身体は蓮を受け入れたがってるのが分かる。
「・・・声、出ない様に出来るなら、1回だけ・・いいよ。」
唇で俺の喘ぎを完璧に抑え、朝からオーガズムの波にさらわれた。
「華~!」
駅に2人で、華と健太を出迎えに来た。うーん、怠い。
「よろしくお願いします。」
健太はいつまでも真面目だな。
「ふ~ん、仲直りしたみたいね。仲直り?違うわね。前よりイチャイチャ甘々が溢れてる。」
「だって、仲直り失敗したら、華から殺される。」
蓮が言う。何か言われてたみたいだ。
「ま、いいけどね。姫も穏やかな顔してるし、綺麗になってるから、これからもイチャイチャ甘々して下さいな。」
「・・・?意味分かんない。」
「分かんないなら、分かんないで良いよ。仲良くやってれば。」
あ、そうなの?
とりあえず、明日から出発だから、俺達が泊まってる宿に案内した。
「歩き出したら、エッチ出来ないなぁ。40日も我慢出来るかな。」
出来るかなぁじゃない。我慢しろよ。その位。多分、無理だと思うけどね。
早朝、宿の前。眠そうな3人を連れて出発!カミーノに魅せられた俺だけハイ。
「3回目なのに、何でそんなにノリノリなのよー。」
華がブツブツ。
「それは歩けば分かるよ。言葉わかんなくても、ハマるから。」
夢だった、家族でカミーノ。ケン、見てるかな?ケンのお陰で楽しかった1度目のカミーノ。蓮と3人ではしゃぎ過ぎた2度目、そして家族と3度目。心の中では5人のつもりで歩く。ケンもカミーノを愛していた。魂を見送った者として、ケンを忘れる訳には行かない。
「よし、出発!今日は峠越えてロンセスバジェスだ!」
カミーノに負けない位の波瀾万丈な道がまだまだ続く。
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