54 / 109

第54話

 「なぁ、反省って言葉、わかる?」  「うん!わかる。」  いや、分かってないだろ。分かってたら、旅先で、アダルトグッズなんて買わない。頭ん中、中2位で、止まってんじゃないか?  「分かってんなら、何でこんなん買ってくんだよ。ふざけ過ぎ。・・・スペイン語出来ないのに良く買えたな。」  「ん?スペイン語、勉強した。日常会話程度なら、話せる。」  え?マジか。  「うん、仕事の合間に勉強したよ。だから忙しかった。」  仕事の合間にって、殆ど休んでないじゃないか。  「健太が話せるけど、任せっきりもなんか嫌だしね。」  「もしかして、俺とカミーノ歩く為に勉強したの?」  「それ以外に理由ないよ?」  なんだよ。俺、一人芝居じゃないか。孤独感?あれは、蓮が仕事の合間に勉強してただけ?なんだろう。胸が熱くなる。  「俺、馬鹿みたいじゃん・・・」  「何で?俺、他にも凛、傷付けちゃった?言わないと分からない。」  「忙しそうで、会話もあんまり出来なくて、メールみちゃったんだよ。」  「ん~、メール見たのは俺が悪いから別にいいけど、それ以外で?」  「会話出来なくて寂しかった・・・」  「俺の言葉が足りなかったんだ。ちゃんと勉強してるって言えば拗れなかったかも。いや、ダメか。浮気したもんな。」  「ソレ、貸して。お仕置きする。」  「へ?コ、コレでお仕置きすんの?俺に突っ込むの?」  自分で買ってきて焦ってる。面白い。荷物を縛るベルトで、蓮の腕を後ろで縛る。  「な、何、何すんの?」  「ん?何だろうな。」  窓を閉め、カーテンも閉める。鍵も確認。  「蓮、お仕置きだから、そこから動いたら駄目。」  古いホテルだ。多分、声出したら外に漏れる。自分で猿轡をして声が出ない様にした。手で顔を向かせて蓮の瞳を見つめる。蓮を床に座らせ、俺はゆっくり服を脱ぐ。全裸になって、自分の胸を愛撫する。蓮を見つめながら。そう、放置プレイ。俺には触れさせない。片手で胸を、片手で息子を扱く。蓮がツバを飲み込む音が聞こえる。  見つめあったまま、腰をくねらせ蓮を煽る。ベッドに座り、脚をはしたなく拡げ、後孔が見えるようにした。蓮は目を細め、俺も今からやる事を目で伝える。蓮に玩具を舐めさせる。蓮のモノは服の上からわかる位ガン勃ちしてる。  充分に濡れた玩具を自分で挿入する。  「 ・・・んっ・・ふっ・・」  後孔が丸見えで、玩具を出し入れする。ヌチャッヌチャッと卑猥な音だけが、部屋に響く。  「・・んっ・・」  たまに喉から喘ぎが漏れる。自分で良い所に当てる。蓮に見せつけて、お仕置きのつもりが、いつのまにか、蓮に見られてる事で興奮して来た。片手で後孔を開き、片手で激しく玩具をピストンする。目を合わせたままで。  (ハッ、ハァッ、んん、良いっ!この玩具も身体に合うっ。良いっ、あぁ!)  ズルズルとベッドから落ち、蓮の真ん前でアナニーを見せる。猿轡から唾液が溢れ流れ伝う。蓮から目を離せない。抱きたいと考えてるのが言わなくても伝わる。蓮の脚に自分の脚を引っ掛け、ひたすら出し入れする。  「・・ヴゥッ・・クッ・・」  ズボズボッと抜いては出して、自分を追い込む。姿勢を変える。四つ這いになって、蓮の肩に腕を回し、後孔に玩具を突き立てる。  「凛、気持ちいい?」  ガクガクと頷く。蓮の顔が目の前。流れてる唾液を蓮が舌で舐めとる。ゾクゾクッと快感が走る。蓮の目を見つめ、もうすぐオーガズムが来る事を教える。  「・・ヒッ、グッ・・んっ!」  全身に痙攣が走る。蓮の目の前で玩具を使い自分でナカイキした。涙が流れる。  「ハッ、ハァッ、ハッ!」  オーガズムがきたけど、手は震えながら動かす。足りない。玩具だけじゃ足りない。  蓮のズボンの前を開けた。勢いよく昂りが飛び出す。玩具を引き抜き、蓮に背中を向け、蓮の熱い昂りを後孔に誘う。ゆっくり腰を蓮の上に下ろす。  (アアッ!熱い!んんっ!良い!)  ナカイキで身体は震え続けてる。蓮は後ろ手を縛られたまま、膝立ちして突き立ててきた。  上半身をベッドに乗せ、蓮の突き上げるモノに打ち震える。シーツを握りしめて快感に飲まれる。脚を開き、深く蓮を受け止める。ビクビクッと痙攣が止まらない。蓮が腰を引くと追う様に腰を蓮に擦り付ける。  「やっぱり、凛じゃなきゃ、ダメだっ!んん、やらしくて、綺麗で完璧だっ!」  振り向いて、蓮の瞳を見上げる。キスしたいけど、声が出てしまう。目で感じてる、ナカイキが続いてる事を必死に伝える。  「わかるよ、凛っ!中がずっと痙攣してるっ!イってるよね!」  ガクンと頷く。不安定な状態なのに的確に俺が求めてる場所を貫く。  「・・・クッ・・ンッ・・・」  (お、俺も蓮じゃなきゃダメ・・)  意識がフワフワして来た。長いオーガズムは意識を飛ばしてしまう。もっと感じていたいのに!最後の力で、蓮に腰を押し当てる。蓮の腕が腰を掴む。縛っていたベルトが外れたみたいだ。腰を掴んで身体が浮く位、強く激しく突き上げる。俺は仰け反り、ひたすら与えられる蕩けるような快感に浸る。  「ウウッ!ごめんっ!凛っ、も、もう出るっ!」  膝立ちしてるのに、膝が床につかない位、突き上げられ、もう脳が痺れてる。薄っすらと腹の奥に熱い液体が当たるのが分かった。  ズルッと抜かれ、また喘ぐ。猿轡を外され、ベッドに寝かされた。  「凛、まだ気持ちいいんだな。顔が恍惚としてる。」  身体はまだ小刻みに震え続けてる。性的な触れ方じゃなくても、イってしまう。それを知ってて、髪や顔を撫でる。  「ハッ、んんっ!れ、蓮、ダメッ!」  「ん?お仕置きのお返しぃ。」  内股を撫で上げられる。  「ンアッ!ンッ!んウッ!」  また痙攣が走る。お仕置きの筈が、反対にやられてる。  「勝手に一人でカミーノに出たお仕置き。」  後孔に指を入れてきた。  「アァッ!だ、駄目、痙攣止まらないっ!」  コリコリッと前立腺を押される。  慌てて手で口を押さえて、仰け反る。蓮の腕を太腿が挟んでるけど抑止にはならない。ブルブルと震え、気持ちいい事を伝えてるだけだ。  「んぐぅっ!ヒィ!」  ズンッと指が増やされ、突かれた瞬間、意識も飛んだ。  「う~ん。なんか思い出せない。」  なんかブツブツ言ってる声で目が覚めた。  「朱に交われば赤くなる?いや違うなぁ。」  「・・・何?」  「いや、俺にお仕置きっていいながら、最後いつも通りになっちゃったからね。なんか諺があった気がする。」  「いつも、通り?どこが?終わった後も執念く弄り回したじゃんか!」  枕でボコる。  「あ、あれは、凛が煽ったからじゃん!俺ちゃんと我慢してたでしょ!」  た、確かに我慢してた。うん、煽りました。認めます。  「もうちょい、詰めて?一緒に寝たい。」  シングルだぞ。狭いよ。  「あっち空いてんじゃん。あっちで寝てよ。」  「やだ。一緒に寝る。」  「もぅ・・・分かったよ。」  情事の後だ。引っ付きたいのは分かる。けど狭い。まぁ仕掛けたのは俺だから仕方ないか。  朝、腰に固いモノが当たる感触で目が覚めた。  「・・・朝から元気だな。」  「だって、1回しか出してない。」  いや、そこが問題なのか?  「ちょっ、ちょっと、何してんだよ!」  「ん?もう1回位出来るかなと。」  「馬鹿か。今日、華達来るんだぞ!迎えに行くのに。」  「夕方だろ?2人が来たらイチャイチャ出来ない。」  「居たって、イチャイチャするじゃんか!もう触るなって!」  狭いベッドで攻防戦。  「んんっ!」  唇で口を塞がれた。全裸の俺の下半身を弄る。払い除けても払い除けても、双丘に手を回す。昨夜の残りで、身体はまだ甘ったるい感覚のまま。ちゃんと拒否らなきゃと頭では分かってる。分かってるけど、身体は蓮を受け入れたがってるのが分かる。  「・・・声、出ない様に出来るなら、1回だけ・・いいよ。」  唇で俺の喘ぎを完璧に抑え、朝からオーガズムの波にさらわれた。  「華~!」  駅に2人で、華と健太を出迎えに来た。うーん、怠い。  「よろしくお願いします。」  健太はいつまでも真面目だな。  「ふ~ん、仲直りしたみたいね。仲直り?違うわね。前よりイチャイチャ甘々が溢れてる。」  「だって、仲直り失敗したら、華から殺される。」  蓮が言う。何か言われてたみたいだ。  「ま、いいけどね。姫も穏やかな顔してるし、綺麗になってるから、これからもイチャイチャ甘々して下さいな。」  「・・・?意味分かんない。」  「分かんないなら、分かんないで良いよ。仲良くやってれば。」  あ、そうなの?  とりあえず、明日から出発だから、俺達が泊まってる宿に案内した。  「歩き出したら、エッチ出来ないなぁ。40日も我慢出来るかな。」  出来るかなぁじゃない。我慢しろよ。その位。多分、無理だと思うけどね。  早朝、宿の前。眠そうな3人を連れて出発!カミーノに魅せられた俺だけハイ。  「3回目なのに、何でそんなにノリノリなのよー。」  華がブツブツ。  「それは歩けば分かるよ。言葉わかんなくても、ハマるから。」  夢だった、家族でカミーノ。ケン、見てるかな?ケンのお陰で楽しかった1度目のカミーノ。蓮と3人ではしゃぎ過ぎた2度目、そして家族と3度目。心の中では5人のつもりで歩く。ケンもカミーノを愛していた。魂を見送った者として、ケンを忘れる訳には行かない。  「よし、出発!今日は峠越えてロンセスバジェスだ!」  カミーノに負けない位の波瀾万丈な道がまだまだ続く。

ともだちにシェアしよう!