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第72話
2月に、俺がやらかしてから、蓮とは返って深く繋がった気がする。
裕太も含めて、ちゃんと3人で話し合った。
もう、身体の関係は持たない。
友達でいる事。
裕太はちゃんと守ってたんだ。俺が悪いからと言ったら、泣きながら俺もだよって謝られた。数少ない友達だから、ちゃんと向き合って話し合った。
「よし、もうこの話、終わり。いいね?」
蓮が手打ちにした。
「4月に面白い祭りが関東であるから、3人で行こう。きっと楽しいよ。」
蓮が裕太に話しかける。
「俺も行って良いの?」
「勿論。株主優待券もあるから交通費も気にする必要ないよ。小遣い位だね。」
「行こ?裕太。スィーツ巡りもしたい。」
「うん!行く。俺も行く。」
裕太の可愛らしい笑顔がやっと見れた。
「じゃ、泊まる部屋は、ツインとシングルね。俺、裕太と同室が良い。」
「は?何で裕太と凛な訳?俺なんで1人なんだよ。」
「折角の旅行だもん。エッチして疲れたくない。」
裕太が、ゲラゲラ笑う。
「な?絶対、一緒だとやるだろ?裕太もそう思うだろ?」
ヒーヒー言いながら、頷いてる。
「いんや、部屋割りに関しては、金を出す俺が決める。」
「え~。反対~!」
「何だよ、お前ら2人にしたってイチャイチャするかも知れないじゃん。」
「今、そういう事はしないって決めただろ?」
「うーむ。じゃ、トリプルは?3人一部屋なら、問題ないだろ?」
「へ~、今までの事振り返ると1番危険な部屋割りだね。」
「クッソ~。か、過去は過去。俺も手出さないから!」
「裕太、信用出来るかな?シークレットハイキングとか言ってた男が言ってる。」
もう、苦しそうに笑ってる裕太。
「さ、3人で良いんじゃない?ハァー苦し。手を誰にも出さない条件なら。」
「な?3人にしよ。1人はやだよー。」
そんなこんなで、ネットで広めの部屋をトリプルにしてもらい、ホテルを予約した。
「俺、仕事辞めてトレーダーやり始めて何処にも行ってないし、凛や蓮さん以外は証券マンとしか話ししてないから、スゲ~楽しみ。」
「桜が咲く時期だから、花見も出来るかもな。裕太も若いんだからトレーダーだけじゃなくて、他の事もやって人脈作んなきゃ。」
「うん、そうだね。趣味とか実益兼ねる何かやろうかな。あ、で、祭りってどんな祭り何ですか?」
「行くまでのお楽しみ。」
4月。
こちらはとっくに桜満開だ。
裕太をピックアップして、空港へ向かう。
「どんな祭りかな?ワクワクするよ。」
「俺、1回行ったんだけど、神社自体は小さいんだけどね。凄い人出だよ。」
「へぇ。でも、祭りに行くだけなのに3泊って長くない?」
確かに。
「スィーツ巡りするんだろ?買い物もしたりしたら、3泊なんてあっと言う間に終わるよ。」
確かに初日と最終日は、大して何もできないからね。
「うわっ、広っ。これスィートじゃないんですか?」
「お、正解。ベッドも簡易ベッドじゃ無いから、ゆっくり休める。」
「じゃ、ダブルに、俺と裕太だね。」
「はい?何でそうなる訳?」
「身を守る為。」
裕太、爆笑。
午後に着いたから、特に行く先もないのでホテル周辺を散策。
「あ、スィーツ店!良いね、行きたい。」
「行きますか。蓮、行って良い?」
「どうぞ。ごゆっくり。俺はその辺りウロついたら帰るわ。」
財布から金を出して俺に渡す。
「これで食べて来て。ほい。」
「いつも有難う。じゃ甘えます。」
「蓮さん、ご馳走になります。」
いやいや気にすんな、と言いながら歩いてった。
「作れるのに食えないって、不便だね。」
「そうだね。可笑しい。」
スィーツを満喫してホテルに帰ったら、シングルベッドで蓮が寝てた。
「本当にシングル使ってるよ。ウケるな。」
お祭り当日。最寄り駅は人でごった返してる。
「有名な祭りなんだね。凄いや。」
歩いてたら、神輿らしき物が神社から出てきた。らしき物だ。だって、上に乗ってる奴、ピンク色のチ◯コじゃねーかよ。
「うわっ、リアル~。」
裕太も少し引いてる。
なんだ、チ◯コ祭りに連れて来たかったんか。
「神輿もいくつかあって、アレはゲイ向けの神輿らしいな。」
何だよ。ゲイはピンク色のチ◯コ神輿って。境内は、もう外人やらゲイや観光客で埋まってる。何とか、入り込んで、御神体を拝観。
これまた立派な木製チ◯コ。
「蓮の品の高さが良く分かる祭りだな。」
「あ、馬鹿にしてんな?子宝で有名な祭りなんだぞ。」
女が居ない3人に子宝祈願は必要ないだろ。
「凛!飴ちゃんがある。買う?」
「飴ちゃん?どら?どんな・・・」
屋台に並ぶカラフルな飴ちゃん。俺、飴ちゃん大好物なんだけど、勇気が要る買い物だ。
「リ、リアルだね。」
「でも、美味しそうだよ?一緒に買わない?」
その美味しそうって言い方が、別の意味に聞こえてならない。
「買っちゃえよ。金出すから。チ◯コ飴。」
言っちゃったし。そうだよ、串に刺さって、立ち並んでんのは子宝飴。見た目はモロ、チ◯コ飴。
「俺、ピンク。凛は?」
「あ~じゃ、青で。」
裕太の後ろから、注文。チ◯コ飴持ったまま、祭りを鑑賞。テレビも撮影に来てる。へぇ、マジで有名な祭りなんだな。祭りも桜も堪能して、駅前の公園で一息。
「飴ちゃん、食べよっ。」
え?今?抵抗なくペロペロ、チ◯コ飴舐める裕太。
「凛も食えよ。ずっと持って歩くの?」
「バックに入れたらいいじゃん。」
「ヤダよ、溶けたら大惨事だ。」
仕方なく、ビニール取って、青いチ◯コ飴舐める。
「ウマッ。意外。なんか美味いよ。」
「ね、普通の飴より、甘さがマイルドで、美味しい。」
いや、裕太。美味いけどほうばるのは、どうだろうか?
「凛も、ペロペロ舐めてヤラシイな。」
携帯で録画してる。何のために?まぁ、予定も終わったし、公園で飴ちゃん満喫しますか。
「何で、離れてんの?蓮。」
「だって、チ◯コ飴、外で舐めてる人普通居ない。」
先に言えや。だから、チラ見されてんのか。
何とかふっといチ◯コ飴、もとい子宝飴を舐め終え、駅に向かう。
「美味しいけど、デカイよ。顎疲れた。」
「うん、俺も。疲れる飴ってなかなか無いよ。」
蓮だけ、笑ってる。だって狡いんだよ。食ってる間、数メートル離れた場所にずっと居た。他人のフリして。屋台で袋貰えば良かった。
「もう、今日は甘いの要らないや。なんか服とか見に行く?」
「俺ね、ランジェリー見に行きたい。」
蓮といい、裕太といい、欲望に忠実過ぎだと思うよ。
蓮が、スマホでランジェリー店を探す。普通のランジェリー店には男3人は無理。やっぱアダルト系になってしまう。
「お、ココ良くない?ランジェリーだけじゃなくてコスプレ衣装に、男の娘って書いてある。」
「あ、いいですね。サイズもありそう。ソコ行きましょう♪」
口が挟めない位、盛り上がる2人。俺はただついて行くだけ。
「思ったより、デカイ店だな。」
「品揃えが豊富ですよ。俺、買い物しよ!」
裕太はお目当ての物を探しにズンズン、店内を物色。俺は蓮と2人で見て回る。
「チャイナ服良いね。」
「着ないよ。着ないからな。」
「何だよ、ランジェリー着るのにコスプレ駄目って、基準がわからん。」
「もう、1着あるじゃん。メイド服。あれで良いだろ?」
「えー、このチラリズムが良いんじゃん。」
どうせ最後は全裸じゃないか。チラリズム関係ないだろ。
またも、意見は無視され、カゴの中にはチャイナ服やらタイトなワンピースを入れられた。
「あ、ガーターベルト無いかな?凛に良く似合う。」
何をもって、似合うとか言ってんの?
はい、カゴにin。はぁ、コレまた着てやるんだろうな。
マンネリはいかんよ。うん。だけど過激過ぎるのは、どうだろうか?
2時間。そう、2時間もたっぷり滞在して裕太も蓮も両手に買った品物を持ってる。
「本当にすいません。俺の分まで払ってもらって。」
「ついで、ついで。凛と一緒に来てくれたら、目の保養にもなるし。」
俺を巻き込むな。何だよ、目の保養って。男2人がランジェリー来てはしゃぐのが目の保養って。マニアック過ぎるだろ。
「俺、普通に服見たいんだけど。」
「うーん、時間的にそんなに廻れないよ?」
お前らが、ランジェリー店に2時間も居たからだろ!
「明日、スィーツ巡りしながら、服みたら?」
裕太がフォロー。
「そうだね。その方がゆっくり見れるか。」
祭りの人混みに買い物で少し疲れたかな。ホテルに帰って風呂入って、夕飯に決まった。
「1人じゃ広いから、一緒に入ろ?」
はい?俺?裕太、無邪気すぎないか。蓮の顔を伺う。
「良いんじゃない?時間短縮。」
あ、そう?じゃ入ろ。
確かにスィートルームだから風呂デカイ。置いてあるシャンプーとかも高級品。
2人で入って時短になったか?ならなかった。2人とも長風呂タイプだったから。あんまりキャッキャッはしゃぐから、途中、蓮が覗きに来て呆れてた。
「何だよ。バブルバスしてんのか。ちゃんと流せよ。俺入れないからな。」
「蓮さんも入りません?」
「え?・・・あぁ、俺は良いや。ごゆっくり。」
・・・裕太気がつかなかったか。蓮、勃ってたぞ。だから、一緒に入れないんだな。パブロフの犬かよ。ネコ見て直ぐに勃つなんて、別の意味でスゲーわ。トリプルで良かった。
色んな意味で我慢した蓮、多分風呂で抜いてる。少し覗いたら、シゴいてた。ウケる。
夕飯は中華。うん。美味い。
「でもあの祭り、1回行けばもう良いかな?」
「そうだね。もっと境内広かったら屋台とか沢山出るだろうけど、あの飴だけだからな。」
「そう?2回目だけど、楽しかったぞ俺。」
蓮の楽しかったのは、俺と裕太がチ◯コ飴舐めてる時だろ!
「ねぇ、何でさっき一緒に風呂入らなかった?」
理由は分かってるけど、昼間の仕返し。わざと聞く。
「は?あぁ、理性で踏ん張っただけ。」
「俺、気づいたからね。勃ってたの。」
「あ、俺も分かったよ。」
おや、裕太も知ってたのか。
「我慢してんなーと思ったから何も言わなかったのに。凛、意地悪言っちゃ駄目だよ。」
あ、俺悪者になっちゃった。
「裕太は、優しいな。凛は、たまにこんな事言うんだよ。酷く無い?」
うっさい。
「う~ん、でも蓮さんも、性欲強すぎるから凛も言っちゃうんじゃない?蓮さんももう少し、抑えた方が良いと思う。」
裕太から説教。笑いが止まらん。
「裸、見てすぐ勃起は、流石に大人としてどうだろう?」
だよね。そうだよ。反応、良すぎ。
「お、俺が悪いの?だって、パートナーだよ?いつだって、やりたいじゃん。」
「それ、厨二病ですよ。蓮さん。」
吹き出してしまった。ズバリ、厨二病。確かにそうだな。裕太面白い。
「俺がおかしいの?好きな相手に萌えるのはどうしようもないよ。」
「でも、もう10年超えてるんでしょ?付き合い。もう少し、落ち着いたほうが、良いですよ。」
見た目は出会った時の20代だけど、蓮ももう30代半ば。そうだよ、落ち着け。
「凛、笑い過ぎ。2人とも俺虐めて遊ぶなよ。」
「じゃ、今度から厨二君って呼ぶか。」
「それは、ちょっとひどいよ。凛。」
始終、下ネタが飛び交いながら楽しい夕飯になった。
分かってる。俺が全て諦めたドイツの時も蓮の浮気に怒らなかった時も信頼せずにトラブルに飛び込んだ時も結局、蓮が我慢して、俺を許してくれてる。信じて待ってくれた事も。蓮はちょっと性欲が強いだけで、優しくて、強い人間って分かってる。
夜、裕太も疲れて早く寝てしまった。
「ね、蓮。外行かない?」
「ん?何で?」
「流石に裕太、横に居るのに、出来ないだろ?」
「ふふっ、凛ありがとう。でも気にすんな。しなくても、平気だから。あ、凛がしたくなった?でも、家まで我慢しよ?な?」
ん、そうだね。軽くキスして、眠くなるまで寄り添って微睡む。この時間、凄い幸福感があるんだよ、蓮。蓮にも伝わったのか、繋いだ手を組み直して指を絡める。
慌てなくて良い。俺達の時間は終わらないんだから。
「熟年夫婦みたい。」
「え~、俺はずっと新婚夫婦が良いなぁ。」
クスクス笑う。
強くて逞しくて優しくて、ちょっとエロ過ぎる大事なパートナー。肩に頭を乗せて、裕太には悪いけど、イチャイチャしてます。
さて、寝るかとソファーから立ち上がった時、ガブリエルが現れた。
「な、なんだよ。呼んでも来ないのに。」
「2人に伝えなければならない事がある。」
「何?」
「そこで眠って居る者は人間じゃない。闇の者と人間の混血児だ。まもなく人間性を失い闇の者になるだろう。その前に2人で処分するんだ。」
処分。殺せって事?
ガブリエルが立ち去った後、俺と蓮は茫然と眠る裕太を見つめた。
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