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第86話
「うん、良し、取れた。梅雨前に沖縄行こう。」
いつも、急に言い出す。
「何が、取れたの?」
「ベビーシッター付きホテル。テンは、シッターに預けて、2人で海上コテージでノンビリ。」
「え~、折角、家族旅行なのに天馬預けちゃうの?」
「いや、ずっとじゃないよ。ホラ、見て。」
「ん、あーちびっ子アドベンチャー?」
「他にも、年齢に合わせてイベントがある。1人に1人シッターが付くから安心。」
「ん~、そうだね。もう、3歳も過ぎたし、来年からは幼稚園だから、慣らしに良いかも。」
「ね、行こう。たまには、良い部屋でマッタリもアリだろ?」
「海上コテージか。泊まるのも?」
「いや、泊まるのは陸上にする。万が一、寝てる間に海に落ちても大変。」
「そうだね。じゃ、テンが居ない間だけ、泳いだり、ノンビリ出来るんだ。」
「そ、いつも育児と家事で、休んでないだろ?滅多に預けもしないし。」
「うん、そうだね。お言葉に甘えて、行きますか。」
テンがトタトタ、歩いて来た。
「オンモ行くの?」
「うん、飛行機に乗るぞ~。いつも、見に行ってるだけだからなっ!」
テンを飛行機に見立て、ブーンと遊んでる。
「パーパ、飛行機!飛行機!」
「そう、飛行機に乗るぞ!」
少し言葉は遅いけど、心の優しい子に育った。頭がいいのは、蓮の遺伝だろう。能力も、上手い事使って届かないオヤツ取ったりしてる。
沖縄は、俺と蓮にとっても、大切な場所。プロポーズとマリッジリングをもらった場所。
「んー、シーズン前だから、いい気候だ。テン、飛行機楽しかったか?」
「うん、楽しかった!お姉ちゃんから貰ったの!」
飛行機の小さなオモチャ。嬉しそうに、走り回ってる。
「ほら、テン、危ないよ。お手手繋ごう。」
着いたホテル、メッチャ高級じゃないか。一泊幾らか聞くの怖い。
「予約した・・・」
「先に、メインルームに行って荷物かたそう。んで、今日は、3人でノンビリ。明日、シッターに預けて、海上コテージ借りてるから。」
「うん、わかった。」
まぁ、メインルーム、スィートでした。
「高そー。」
「毎日、泊まるわけじゃない。年一回かそこらだ。贅沢してもバチは、当たらないよ。」
そうだけどさ。
外にはプールまである。歩いて、プライベートビーチにも行ける。
「テン、プールと海、どっち行く?」
「んと、んとね。海!大っきいんでしょ?」
「あぁ、デカイぞ。海は世界中と繋がってる。」
「大っきい大っきい!海!海!」
着いたのが昼過ぎだから、移動中、昼寝して元気。
海に向かって、パタパタ走る。
「あ、待って、靴と靴下、脱いで!」
慌てて追いついて抱っこ。
「こっち向いて!」
蓮がカメラを構えてた。
「テン、パーパ、見て。ハイ、チーズ。」
蓮も嬉しそうに、眺めてる。
裸足にして、砂浜で遊ばせる。
「綺麗な海だね。連れて来てくれてありがと。」
蓮が、俺の手を握りしめて
「俺にまた、家族与えてくれて有難う。失った喪失感は無くならないけど、それ以上に、幸せだよ。凛。」
見渡しの良い場所に腰を下ろし、寄り添って座る。
「色々あったけど、やっぱり蓮で良かったよ。」
「俺もだ。」
穏やかな内海で、波もあまり無い。テンが遊ぶにはうってつけ。波打ち際で、水の感触を楽しんでる。
「テンも、良い子に育ったし、言うことなしだな。」
「ふーん、俺はひと騒動あると思うな。」
「な、何?」
「両親が男同士って理解しなきゃいけない時。荒れるだろうけど、頑張ればわかってくれる。」
「よく、食うな。」
食事も豪華。海の幸山の幸。子供用にも細やかな心配りで、バランスの良い食事。テンは好き嫌いがないから、隅から隅まで食べてる。
「砂浜で遊んだからね。風呂に入ったら、すぐ寝るよ。多分。」
「今日は、俺が入れるよ。休んでて。」
「なんか、やけに優しいね。」
「だって、この旅行、凛の慰安旅行だよ。感謝の印です。」
「今夜はゆっくり眠れる?」
わざと聞く。
「はい、勿論。マッサージ呼んでも良いよ。」
「え?本当?有難う!」
周りの目なんか気にしない。蓮の頬にキス。
「あ、チュー!テンもするー!」
「うん、はい、チュー。」
風呂に入ってる最中にテンは就寝。
「ほんと、洗いにくいな。寝ちゃうと。」
バスタオルで、受け取って
「ね、この風呂の最中に寝るの早く卒業してほしい。」
クスクス笑って、服着せて、ベビーベッドに。
「海外のかな。大きいね。」
「だろうね。あ、マッサージきたよ。」
マッサージ受けて気持ちよく蓮の腕の中。
「凛の所定の位置だよな。」
「うん。落ち着く。」
翌朝、食事の後、シッターと顔合わせ。大丈夫かな?不安があったけど、すんなりシッターさんに懐いた。
「じゃ、お願いします。」
「ボートで行くの?」
着替えと海パン持って、小舟に乗る。
「そ、誰からも見られない角度だから、壁もほぼ無い。」
「うわぁ、本当だ。壁ないじゃん。本当に見られないの?」
「コテージより、前方には立ち入り禁止みたいだね。」
聴こえるのは、波の音。コテージの柱に波が当たるポチャンと言う心地いい音だけ。シャワーとトイレとベッドだけ。あと、海に入れる階段。
「とりあえず、泳ごうか。少し冷たいかもだけど。」
確かに真夏じゃないから、少し海水が冷たい。でも、綺麗な海中散歩も出来ました。
2人でふざけながら、シャワー。テンが生まれて初めてかな。
「凛、今日は親はお休み。恋人に戻ろ?」
「うん、いいよ。蓮。」
目を閉じたら、蓮の唇が、降ってきた。
手を繋いで、ベッドへ。
「な、なかなか恥ずかしいね。見られなくても外と同じじゃん。」
「俺だけ見てれば良い。ね、凛。」
「んっ、アウッ、んんっ!」
「凛のコレ、ガン勃ちしてる。蜜も溢れてるよ。」
「やっ、い、言わないでいいっ!」
念入りに指で秘孔を解し、拡げる。
「ハァッ、あぁ、んっ、も、もう大丈夫っ!」
「そんな急がなくていい。沢山、イって?」
蓮の昂りに目を落とすとリング。
「・・・リング、使うの?」
「だって、長く愉しみたい。」
俺の体力持つかな。不安。
指で中を掻き回す。コリコリッと弱い前立腺中心に。
「ん、んんっ!ハァッ、アッ、ハァッ!」
「太陽の日差しも当たって綺麗だよ、凛。」
そう、真昼間。何もかも丸見え。壁も無い。
「指、もう一本入るかな?」
「ん、はぁ、わ、わかんない!」
グイッと指が増えた。
「あっ、あぁんっ!拡がっちゃう!あんっ!」
ピストンさせて、指でイかせる気だ。
「ん、ハッ、あ、ああっ!ん、んうっ!」
開放感と背徳感と快感がごちゃ混ぜだ。4本の指が、バラバラに中で蠢く。
「クゥッ、う、うんっ!イ、イイッ!」
指を追うように腰が揺れる。
「凛のココ、いつ見ても綺麗、紅色で誘ってるみたいだ。」
限界まで拡げて、舌を差し込む。
「あぁ、んっ、蓮、蓮!」
指と舌で、翻弄される。
「ハァ、ハァ!ん、んんぅ!き、来そうっ!」
「我慢しないで。イって?」
「あぁんっ!イ、イクッ!イっちゃう!」
ブルブルッと震え、指と舌でオーガズムに達した。
「ハァッ、ハァ、れ、蓮。来て。蓮が欲しい。」
「あぁ、今、凛の中に入るよ。」
いきり勃つ蓮の昂りが秘孔に挿入される。もう内壁も熱く蕩けて、易々と蓮を飲み込む。
「あぁ、熱い!蓮の熱くて大きいっ!」
「凛の中も熱くて溶けそうだよ。吸い付いてくる。」
「ハァ、ああっ、う、動いてっ!」
腰をくねらせ、ねだる。
「今日は大胆だね。イイよ、最高だ。」
テンが産まれて、営みが減った。平気なつもりだったけど、やっぱり蓮が好きだし愛してるから欲してる。
「ああっ!クゥ、ううっ、あ、あっ、ん!」
優しくはない。激しく腰を打ち当てる。それで良い。解されて、熱く蕩けた身体は、蓮の激しい突き上げを待っていた。
「ヒッ、イイッ!アウッ、ヴヴッ、ま、またイクッ!」
メスイキが、身体を震わせる。頭の中も溶けそうだ。
「今日の凛、敏感っ!リング付けてても、厳しっ!」
「うわぁっ!んんぅ!も、もっと!蓮、もっと!」
前からはタラタラと白い体液が溢れて糸を引いて垂れてる。秘孔が熱い。スライドされる度、捲れ擦られるから引き攣る。それすら快感になる。
リングの所為か、やはり長い。流石にもう頭も身体も痺れて来た。意識は中々飛ばないけど、激しい痙攣でボンヤリしてくる。
「ヒッ・・んっ・・・蓮、も、もう無理っ・・」
奥に届く度、身体が跳ねる。脚もビクビク反応する。
「ん、俺も出したい、リング外すから。」
「ハァ、ハァ、んっ、ハァ」
「ほら、最期だから、頑張って!」
グイッと身体を起こされ、全体重が秘孔にかかる。
「ああっ!ヒィッ!ふ、深いっ!ンアッ!」
ガクガクッと強い引きつけの様に痙攣が走る。まさに電流が走る感覚。
「イイ?凛、気持ち良い?」
「あー、あんっ、き、気持ちイイ!」
ガツンガツンと腰を打ち当てる。視界が白む。
蓮が打ち当てる度、メスイキが止まらない。
「うっ、もう出る!凛!」
「ヒッ、うっ・・・」
腹の中で蓮が弾けた。
「・・・昼間っから、ちょっと弾け過ぎたね。」
「まぁね。でも、この雰囲気で、この眺めの中で凛とメイクラブ出来たんだ。最高だよ。」
言い回しが多少、古いけどまぁ幸せです。
「テン~、楽しかった?」
キッズコーナーにお迎え。なんとシッターさんと離れたくないと泣き出す。ヤバイ。能力が出やすくなる。
「テンちゃん、また明日、遊ぼうか?」
シッターさん、流石プロ。泣き出す直前にフォローしてくれて、テン、ご機嫌治った。
「明日、まだ予約入れてないんですが。」
「今、シーズン前ですから、明日も私、空いてます。ロビーで予約されて下さい。大丈夫ですよ。」
「なら、予約入れるか。明日も2人だな。」
うーん、少し寂しいけどテンの為にはなるな。
「明日はどっか行くの?」
「国際通りとか街に行こうかなと思ってる。」
「うん、じゃ明日までシッターさんにお願いして最終日は、三人で観光しよ。」
「そうだな。」
それから、無事、幼稚園に入り、小学生に上がり、順調に育ってたと思ってた。
テンが学校で、心に傷を受けてるなんて思いもよらなかった。
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