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第89話
「なんで、怒らなかったの?」
今日は、お泊まりした後、2人でモールにデートしに行った。
「昨夜から、多分やるなって、分かってたから。」
「へぇ、分かってたんだ。凄いね。」
「凄くないよ。ローション、減ってた。」
あ、持ってったのか。
「多分、俺達が気が付いてる以上にSEX見られてるな。」
「・・・・。」
「それに今回は、確実に、テンから誘ってるだろ?隆君に知識はない筈。あっても、テンが経験者だからな。」
そりゃ、隆君、怒れないわ。
夏休みの間、お互いの家を行ったり来たり。たまーに、お泊りする位で意外と健全。
「上手くいってる?」
「うん。あのね、僕が誘うとね、こないだやったばっかだろ?体に良くないって、言われちゃう。これ、思いやりでしょ?」
「そ、そうだね。思いやりだね。」
何か、自分達を鏡で見てるみたいで居た堪れない。
隆君が俺に近い感覚で、テンが蓮に近い。
裕太の言ったエロい男に順調に育ってます。
学校が始まり、夏休みみたいに頻繁に遊べないし、まぁエッチも出来ない。
「ゔー、なんか苛々する!」
「どした。何で苛々すんの?」
「だって、2人っきりになれない!」
ん~、ようはエッチ出来ないからか。
「まぁ、それは仕方ない。自分で処理しなさい。」
「やだよ。目の前に隆いるのに。」
言う事が、もう蓮と一緒。
「エッチする為に付き合ってる訳じゃないんでしょ?」
「そうだけど・・・。」
「なら、テンも我慢を覚えなさい。」
「テン、力使ったな。」
夜、寝付く前に蓮が言った。
「どうして?」
「鍵付きのキャビネット。開いてる。鍵壊してる。」
「・・・。」
「何?思い当たる節があんの?」
「エッチ出来なくて苛々してたから、1人で処理しなさいって、言った。」
「だから、玩具持ってったのか。」
「子供の性事情、分かるのも複雑だね。」
「そうだね。ちょっとね。」
学校が始まって、2人っきりになれるのは、登下校だけ。だけど、同じクラスだから、いつも一緒。多分、隆より僕が隆に夢中だ。迷惑にならない様に気をつけなきゃ。
「ね、天馬って、隆と付き合ってんでしょ?」
クラスメイトから、言われた。焦る。
「と、友達だよ。友達。」
帰り道、
「付き合ってんの、バレたら困るよね。」
隆に確認。
「いや、別に良いよ。バレた方が、テンに寄り付く奴が減って楽。」
あれ?そうなの?
「テン狙いの奴、結構多いから追い払う手間が省ける。」
「知らなかった。」
「俺が、相手って分かれば逃げるから。」
「確かにそうだね。隆、強いしデカイから。」
クスクス笑う。
「あんまり、笑顔振りまかないで。また襲われる。」
「その時は力使うよ。隆以外に触れられたくない。」
「そっか。あんがと。」
「でも、流石に隆の親にバレたらマズイよね。」
「ん?もう言ってるよ。天馬が好きで付き合ってるって。」
「で、で、なんて?」
「別にいいんじゃない?って。天馬君、可愛いから惚れるでしょ、って。」
「す、凄いね。」
「だって、5年の遠足からずっと好きだったし。」
「え?遠足?」
「うん。それから、家でずっと天馬の話ばっかりしてるからもう、とうの昔にバレてる。」
隆が周りをキョロキョロ。
顎をクイッて上げられた。
キス。軽いキスだったけど、外だよ。見られても平気なの?男同士なのに。少し嬉しくて涙目になった。
「ごめん、嫌だった?」
「違う。嬉しかった。コソコソしなきゃって思ってたから。」
「TPOだっけ?あれ、考えてたら、後は自由だよ。」
隆が手を繋いできた。
「さ、帰ろ。堂々としてりゃいいんだ。悪い事やってない。」
「うん、うん、そうだね。隆、大好き。」
「お、ホモカップル。」
3年生だ。葵もいる。
「キモいんだよ。イチャイチャすんなし。」
「お前らに関係ない。」
「おい、先輩に言う言葉じゃねーな。」
「たかが、数年生まれたのが早いからって、何でテメェらに頭下げなきゃいけねーんだよ。馬鹿か。」
「超生意気なんだけど。ボコッて良いかな、葵。」
葵先輩、ニヤニヤしてる。
「あぁ、ボコッていいよ、その女顔の方は、ケツに突っ込むと喜ぶから、廻せ。」
少しの間でも、恋人と思ってた相手にこんな事言うなんて。
「テン、下がってろ。隙があったら家に逃げろ。」
目の前がもうマンションだ。6人相手に隆1人は流石に厳しい。僕には力がある。
「大丈夫。僕の力使うよ。」
「ダメだ。使うな。いいね、逃げろ。」
「やだよ、隆1人じゃ勝てないよ。」
「喧嘩するつもりなんて、無いよ。俺も逃げる。」
「何、イチャイチャしてんだよ!キモいって言ってんだろ!」
(凛!パパ!助けて!)
「俺の息子を輪姦ってか?おい、いい度胸してんなぁ、葵君。」
いつの間か、パパが来てる。マンションからはゆっくり、怒りモードで凛も歩いて来た。
パパは葵の髪を握って、
「そんなに将来駄目にしたいんだ。よーし、ご希望通り、将来を台無しにしてやろう。」
こんなに怒ってるパパは知らない。
「ひぃ、ご、ごめんなさい!許して!」
「二度と2人に近づくな。お前らの顔、覚えたからな。敵に回しちゃいけない奴を敵にしたんだ。怯えて暮らせ。油断するな。いつも見てるぞ。」
凛も恐ろしく氷のような顔で、3年生達に吐き捨てる。
「ありがとう、パパ、凛!」
「うん、喧嘩の前で良かった。」
「隆君が、喧嘩するつもり無いって言ったの聞いてね。いや、関心したよ。テンを守る為だね。ありがとう。」
「いや、あんな奴らに関わって、自分達の評価下げる位なら、多少痛くても殴られた方が良いかなって。」
「でも、テンは逃すつもりだったんでしょ?」
「・・・はい。テンには誰にも触れさせない。」
「嬉しいね。嫁に出しても良い。」
「嫁って・・・。」
蓮も頭おかしい。む・す・こ。男の子!
「あのね、隆の両親も付き合ってんの知ってるって!」
「え?ほんと?カミングアウトしてんの?」
「はい、五年生の時に言ってます。」
は、早いのな。テンだけ、早熟じゃないんだ。
「じゃ、両家公認の仲だね、テン。」
「うん!パパさっきかっこよかった!」
「お、そうか?嬉しいね。」
「でもね、隆、力使うよって言ったら使うな、逃げろって言ったんだよ。」
「あ、それじゃ、隆君の方がカッコいいよ。パパは、力使う気だったからね。」
「男気で、13歳に負けたぞ。参ったな。」
「ね、ね、凛、ちょっといい?」
テンが部屋に俺を呼んだ。
「怒んないでね?こないだ、そのさ。凛達の部屋からあの、玩具?あれ、盗ったんだけど。」
「うん、鍵壊れてたから、すぐパパにバレてたよ。」
「そのさ、あの~。」
「何?パパには言わないから、ハッキリ言って?」
「まだ、僕には大きくて、気持ちよくない。だから、小さいの買って?」
は、はい?玩具を買えとな。
「あのね、あれは、R-18って言って子供は使っちゃ駄目。」
「だって、お尻ムズムズする。」
「・・・・。」
「前だけイっても、治らないよ。」
「ちょっと、ちょっと考えさせて。」
文字通り頭を抱える。どうしたらいい?まだ12歳に大人の玩具は与えられないよ。
どうしたらいいんですかー!!
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