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第95話
他の監禁された人間達は、隙あらば、逃げようとして、捕まり酷い扱いを受けてる。
人間は、酷いレイプが続くと体力を失ったり、血液を吸われたりして生きてここから出た者は居ない。
俺は、逃げない。
ルシファーとの約束だからだ。抵抗もしないし、為すがままだから、ドイツの時みたいに、鎖が外された。水浴びも、監視役の獣も付かなくなった。
「・・何故、逃げようとされないんですか?」
「逃げたらね、家族全員殺されちゃうから。俺だけで済むなら、それで良いんだよ。」
「・・・とても哀しいです。」
「・・そうだね。」
死ぬことも出来ず、終わりのない屈辱を受け続ける。
「蓮、こっちは、乾季だよ。天気が良いんだ。周りはジャングルだよ。動物の声が聞こえる。」
指輪に話しかける癖も付いてしまった。返事なんて返ってこないのに。
同じ時期に捕まった人間達はもうとうに死んでしまった。監禁されてる中で、長老になってしまった。
(エロい身体のお陰で、生きてるよ。)
自嘲してしまう。
時折、ルシファーが現れ、何か話すが俺は聞く気が無い。
輪姦される回数が減った。
何故かは分からない。俺の牢屋にマットレスが入れられた。
(何かの気まぐれか?まぁいいや。柔らかい。)
数年ぶりに柔らかなマットで眠った。
俺を犯す面子も、変化があった。以前は下っ端から、リーダー格まで見境無く犯してきたが、今はリーダー格だけ。
獣達が、唾液を流しながら犯される俺を見ている。いやらしく勃起させながら。
世話係に、髪を纏めたいから、何か欲しいと頼んだ。すると、シルクの美しい布と髪を結べるゴムを持ってきた。
「これは、高価な物でしょう?貴女が準備を?」
「いえ、ルシファー様が与えよ。と言われました。」
「・・・そう。ありがとう。」
数年間、汚らしい小さな布を腰に巻いてきた。触り心地の良いシルクの布が、腰巻きになる。
屋敷内は自由に動ける。髪を纏めて、腰布を付けて牢屋をでる。
いつもの部屋からは今日も悲鳴だ。
広間からベランダに出る。外には行けないけど、ここで充分。長椅子に横になった。
(青い空。蓮もこの空の下に居るんだよね。)
いつのまにか寝てしまった。
「美しい。神が寵愛する訳だ。」
「たしかに。この美貌は、人間ではあり得ません。」
「これからは、私の許可なく、この男に触れるな。もし、触れたら何者でも殺せ。」
「承知しました。」
「凛様、凛様、起きてください。もう夕方です。」
「あぁ、寝てた?ありがとう。部屋に戻らないと。」
「今日から、ルシファー様の許可が無い限り、凛様に触れられる者はおりません。」
どういう事だろう。本格的に仲間にされるのか?だったら、まだ犯されていた方がマシだ。
「暑い、堪んないな、湿気。」
「うん、気持ち悪いね。ベタベタするよ。」
隆君と天馬が、ブーブー文句を言ってる。
「おい、旅行に来たんじゃ無いぞ。凛を探しに来たんだ。文句垂れるな。」
「はーい。」
奴等にバレないように力を使わず、飛行機でアジア入り。
「条件は、教会があって、行方不明、誘拐が頻発してる地域。ネットで調べたら、えーと、この辺りね。」
地図を広げる。
「んで、怪しい廃墟になってる屋敷が数件。恐らくこの中の1つよ。」
「夏休み中に見つかるかなぁ。」
「見つかるかなぁじゃない。見つけるんだ。」
「私に出来るのはこれくらいしか無い。」
ガブリエルが現れた。
「何で現れた?奴等に見つかってしまうだろ?」
「直ぐに消える。凛の居場所が分かった。ここだ。」
地図の一箇所を指した。
「戦うなら昼間だ。もう少し待て。時が満ちる。」
「満ちるまで、待たなきゃ行けないのか?」
「ルシファーが関わってる。神の援軍が来る。」
「・・・わかった。近くの街で待機しよう。」
ガブリエルは消え、俺たちは、バスでガブリエルが指した村の隣町で待機することになった。
「蓮、今日も何もされなかったよ。何でだろ?もう半月も放置されてる。」
指輪に話しかける。
「何故、そんな物に話しかけるんだ?私の言葉には耳すら傾けないのに。」
「・・・教える必要は無い。」
ルシファーが、広間に俺を引き摺りだした。
「時は満ちた。戦いのラッパが鳴り響くだろう。」
ガブリエル!
「よしっ!行くぞ!」
広間には、下っ端からリーダー格まで揃ってる。
「さぁて、何匹まで堪えられるかね。ほら、下の者なぞ、暫くお前を抱いてないから、辛抱出来ないようだぞ。」
一気に犯されるのか。死ぬかな。でも、もう良いや。
ルシファーが、俺の左手を引き上げた。
「こんなくだらない物を付けさせていたから、いつまでも仲間を忘れられないんだろう!」
薬指から、指輪を引き抜いた。広間の床に押し付けられて、抵抗出来ない。
指輪を床に落とし、足で踏みにじった。
指輪は変形し、石も取れた。
俺の中で何かが、プツンと切れた。
「なんだ?この男、身体が光っているぞ。」
「ルシファー様、わかりません、しかし部屋が熱くなってます!」
「どうした?この男の力か?」
押さえ付けていたリーダー格が、離れた。
ユラリと立ち上がる。身体が熱い。
「ウォォォォッ!」
身体の奥から、湧出すエネルギーをこらえる事なく、噴き出させる。
部屋のあちこちから、炎が上がる。逃げる奴に、手をかざし、叫ぶ。
「逃がさない!一匹たりとも!」
ルシファーも、異様な光景に歩みを下げる。
「貴様も逃がさない。」
ゆっくり振り返り、怒り、哀しみ、屈辱。全ての感情をぶつける。
「ふん、この程度で私は倒せない!」
闇の者、獣達の身体を焼く臭いがたちこめる。
「臭い!こっちだよ!パパ!」
「あぁ、行こう!」
「凛さんが、暴れてます。怒りの沸点を超えて自我を忘れてる!」
健太が、状況を伝える。
ルシファーは、俺を押さえ付けて、腰布を奪う。
「おい、コイツを犯せ。怒りすら諦めるほどに。」
「はい、承知しました。」
抵抗するが、圧倒的な力で、ピクとも動けない。
「い、嫌だ!止めろぉ!」
秘孔に昂りを当てられた。ここに来て初めて抵抗する。
「ぐぅっ!や、止めろ!」
俺の言葉なんて聞くはずも無く。乱暴に突き上げる。
「うっ、ううっ!い、嫌だ、止めろ・・・。」
「言葉とは裏腹だな?凛よ。身体は喜んでいるようだぞ。」
防衛本能なのか?身体は獣の昂りを受け入れ、感じている。
嫌だ、こんな者と交わって感じたくない!怒りで高揚した身体は獣の昂りで悦を感じている。
「ん、ハァッ!や、イヤァ!」
どんどん、秘孔の快感に飲まれる。いつもなら、感じないのに!高揚した身体は混乱している。
「ほう。いつも犯されている時は、感情が出ないのに、今日は感じているな?分かり易い。」
ルシファーが高笑いする。悔しい!
「や、ヤァ、れ、蓮っ!蓮!」
突き上げられ、快感の高みに追い立てられる。
「素直になったら、どうだ?気持ち良いといえば良い。」
「気持ちなんて、よくないっ!」
脚を拡げさせられ、最奥を穿つ。
「ヒィッ!アァッ!」
嫌だ、獣相手にオーガズムなんて感じたくない!
「蓮、蓮!助けてぇっ!」
涙が止まらない。大半の奴等は、倒したのに、今犯されて感じている。
「その仲間を呼ぶのを止めろ。」
口の中に指を入れられ、言葉を封じた。
「ンアッ!アァッ!」
イキたくない!イキたくないのに!
「その者から、離れよ。」
冷酷、かつ冷静な声が、響く。
「ウワァッ!アァッ、んぐぅっ!!」
ガクガクと痙攣が走る。
ヤダ、いやだ。感じたくなかったのに。
「凛!凛!退けぇ!」
大きな劔で、俺にのしかかっていた奴を追い払う。
「凛、待たせてごめん、助けに来たよ。」
ガクガクと震える身体に蓮が触れる。
「ダ、ダメ!俺、俺、アイツらに犯されて感じちゃったよ、もう、蓮に触れられない。」
自らの身体を抱きしめて床に倒れこむ。
痙攣を止めたい。恥ずかしい。蓮に見られた!
「よくも、よくも凛を泣かせたな。僕は許さない!」
広間から、ベランダを見ると・・あぁ、天馬!大きくなった。青年になったね。汚れた俺だけど、姿をみて、泣いてしまった。
「小僧、私が何者かも知らぬくせに!」
「お前なんて知る必要は無い。」
氷のような冷たい顔と声で、いつのまにかルシファーの目の前。ブンッと手を振るとルシファーの腕が千切れて吹き飛ぶ。
「て、天馬⁈」
何て力だ。天馬も怒りで我を忘れている。
「僕の身代わりになった凛を虐めた奴は誰も許さない!」
俺を犯していた獣も、真っ二つに裂けた。
「ルシファーよ。諦めよ。地獄へ戻れ。」
「1人じゃ戻らないさ。コイツも道連れだ。」
俺の髪を掴んで、ルシファーの後ろに渦巻く黒い影に飛び込もうとした。
「父さんを地獄なぞに落とすか!落ちるなら一人で落ちろ!」
華が、大鎌で残りの腕を切り裂く。宙に浮いた俺の身体を蓮が受け止める。
「さらばだ。ルシファー。当分、会うことも無いだろう。」
神の援軍が、ルシファーの身体を闇の渦巻く影の中に押し込む。
「いずれ!いずれ!また、会うだろう!」
ルシファーの高笑いと天使達の勝利のラッパの音を聞きながら気を失った。
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