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第98話
服に穴開けて帰ってきた。
「あ、あ、う、撃たれちゃったの?大丈夫?」
「うん、大丈夫。もう塞がったし。」
裕貴、慌てて風呂の仕度。
「そんなに、慌てなくて良いよ。」
「だめだよ、お風呂入って休まなきゃ。」
ん~、もう平気なんだけどね。
「あー、もうお気に入りだったんだけどなぁ。」
「また買えば良いよ。良く似合ってる。」
「うん、そう?似合ってた?ん、買いに行こ。」
「桃也は、何でも似合うよ。俺なんかサイズすら無いよ。」
そうだな。190cmもありゃ、サイズが優先。服、正直ダサい。でも、イケメンなんだよね。目立つから髪をボサボサにして猫背の生活。ツラミ~。
「そういや、今日、パツキンの綺麗な男に会ったよ。声聞かなきゃ、男ってわからなかった。」
「な、何?ほ、惚れちゃったの?」
「まさか。その男にはちゃんと男が居ましたよ~。」
ん?ちゃんとっておかしいな。ま、いいか。
「俺も、外で裕貴とイチャイチャしたいなぁ。」
「うん、したいけど・・・。」
そ、俺の何でも屋の家業の所為で、外では他人のふり。
住処がバレてもアレだし、裕貴がパートナーってバレても危険。
「でも、桃也は歳取らないね。ずっと可愛い♡」
うん、そう。俺は歳取らない。
「裕貴は、老いるなぁ。まぁ年取ったら俺が介護したる。」
「う、う、嬉しいなぁ。ありがと。」
そんな約束したらダメなのにな。
ずっと一緒に居たいんだけどね。
よっと。
「何処に逃げるの~?どっこまでも~おいかっける~♪」
今日のお掃除、ちょっと手こずってる。逃げ足が速い。
トーントーンと、壁を蹴って、追いかける。
(人間じゃない?動きが早すぎる。)
あれ?見失った。俺とした事が。ん~、仕留めないと金入らない。どうしよっかな。
身体にドンッと衝撃が走った。
あ、左腕、落ちてる。
むー。振り向くと、刀を持って息が上がってるターゲット。
「俺の~、腕~、よくも切り落としたなぁ。」
「お、お前、人間じゃないのか?!」
「人間だよ!いてぇ~んだわ。お前、逃げ切れると思うなよ!」
パンッ。
俺の身体に血飛沫。
「あー、もう!誰だよ!汚れちゃっただろ!腕千切れるわ、血だらけになるわ、今日最悪!」
「ご、ごめんね、ち、近くだったから、様子見に来て・・・。」
はぁ、裕貴か。
「裕貴は、こんな事しちゃダメ。約束!」
「う、うん、ごめん。桃也、腕・・。」
「腕は良いよ、再生するしぃ。もう、血塗れだろ?洗濯しても血液落ちにくいんだから!」
「ごめんなさい。」
隠す様に帰宅して、休む。流石に身体が再生中は、弱味が丸出し。ちゃんと生えてくるまで、療養します。
「んー、アイツ、人間じゃなかったのかなぁ。」
「何?」
「裕貴が、殺したヤツだよ。」
「あー、あ、アレ?人間じゃないの?」
「うん、動きがねぇ速かったんだよ。ついていけなかった。」
一日中、家にいても暇なんで、散歩。
お?あのパツキンのゲイカップル。
「だから、教育に悪いってば!」
「もう、高3だぞ?ほっとけよ。」
「だって、ラブホなんてダメだよ!」
イチャイチャだけじゃなく痴話喧嘩まで外かよ。周りみろよ、注目の的だぞ。
ラブホねぇ。面白そうだな。回復したら、行ってみるかな。
血生臭い仕事が多いから、血の臭いって、すぐ分かる。申し訳ないけれど、女性の女の子の日も、分かります。匂うから。
(血の臭い?腐った臭いに近い?)
腕も再生して、またお掃除してます。
前回、油断したから今回は真面目です。
ん?あれ?パツキンの2人、それに数人いるな。まぁ、目立つ武器振り回してなんかしてる。
あ、俺のターゲットもいる。どうやら、パツキンの輩も同業者ぽいな。
悪いけど、金がかかってるから、獲物は頂く。
ピンちゃんとタマちゃんで、獲物にタマタマ撃ち込む。
あれ?死なない。
「おい、ピンク頭!危ないからお前、逃げろっ!」
いや、逃げるわけにはいかない。生活かかってるんで。
「逃げないよ~?だってぇ、俺の獲物だもん。」
「獲物?馬鹿か?人間じゃないんだぞ!」
「人間専門じゃ、別にないんで。」
頂いた日本刀を出す。
「ピンちゃんとタマちゃんがぁ、効かないなら、切っちゃえっ!」
ダッと走り込み、獲物の下に滑り込む。
「バイチャ!バケモノさん♪」
サックリ、真っ二つ。はい、終了。
「お前、何者だ?」
パツキン(短髪)が聞いてきた。
「さぁ?何者なんだろね?俺もわかんないや。」
「人間じゃないね?」
パツキン(ロン毛)が、言う。
「そんな事ぉ、どうでもいいじゃん~。コレ、俺が倒した事にするからねぇ。おっ、灰になる前に写真っ!」
「どうして、写真撮るの?」
これまたパツキン(癖毛)が聞いてくる。若いな。この子が高3でラブホの子?
「ん~、お兄さん、お掃除がお仕事だから、写真撮って、お金もらうの。」
「ホェ~、お仕事なんだぁ。」
ん?ロン毛とよく似た顔立ちだな。親子?
まぁ、関係ないからさっさと帰る。
「おい。待てよ。名前は?」
「ひみちゅ。まったね~♪」
一々、聞かれた事に応えてたらキリがない。
んー、今日は金も入ったし、飲みに行くか。
常連になってるバーで、仕事終わりの酒。
「んー。上手いねぇ。やっぱり、仕事うまく行った後の酒は、最高。」
「最近、頑張るな。依頼増えてるよ。」
マスターが、依頼の窓口。
「流石に全部はこなせないよ。身体1つしかないし。」
「人外が増えてるな。」
「あ、今日は同業者に会ったよ。いやぁ、目立つ目立つ。基本がなってないね。」
「同業者?この辺りには、お前しかいないぞ。」
「あれ?そう?パツキン軍団。今日のターゲット、被ってたわ。」
グイッと強い酒を飲む。カーッと身体が熱くなるのが良い。
「あんまり飲むな。お前またケツ狙われるぞ。てか、ついて行くだろ?裕貴が可哀想だ。」
「マスターがまともな事いってるー。おっかしいー!」
「・・・裕貴呼ぶわ。」
「あ、居た。」
探してた血の臭いがする人間。人間なのか?分からない。
「おい、ピンク頭。話がある。」
「ん~、あら、パツキンの兄ちゃん。話?俺には無いよ~♡」
「うわっ!」
抱きついてきた。感じが、凛似てる。
「すいません、ソイツ酔うと見境なくて。適当に払って下さい。」
マスターが言う。う、か、可愛い。腰付きエロい。ケツもプリッケツだ。
「何してんの?ピンクちゃんのケツ摩って。」
「あ、凛、こ、これは事故、事故だから。」
「あ~、ロン毛の兄ちゃんも来た~、このパツキン、エロいねぇ、俺のケツ揉んで来たの~。」
「ふーん、揉んでたんだ。」
「いや、いや、揉んで無い。抱きつかれて、たまたま、ホント、偶然手が。」
「俺先、帰るからピンクちゃんと仲良くしてれば?」
「あ、ちょっと待ってください。」
「お、裕貴、ナイスタイミング。修羅場になりそうだったよ。」
「すいません。僕の連れが。」
「あ、君、ピンクちゃんの連れなんだ。」
「はい、酔うと見境なく盛っちゃうんで迎えに来ました。」
「ほ、ほら、事故じゃん!凛!怒るなよ~。」
「う、うん、まぁ、事故だね。酔っ払ってるし、話は無理だろ?」
「そうだな。帰るか。」
「桃は、金にならない客も連れてきて騒ぐからな。連れて帰ってくれ、裕貴。」
「いつもすいません。」
んー、まだ飲みたかったのあなぁ。
「桃也、飲みに行く時は、僕も行くって言ったでしょ?」
「仕事帰りじゃん~。1人で飲みたい時もあるわけ~。」
「1人でって、いつも誰かと飲んでるじゃん。付いてっちゃうし。」
「裕貴、怒っちゃ、やーだ。これ、マスターから貰ったから、行こ♡」
「レジャーホテル優待券。今から?酔っ払って無い時がいいなぁ。」
「ん?よし、じゃ、シラフの時行こ♡」
夜、人目がなくなって、やっと裕貴とイチャイチャ出来る。
「お家までデート♡」
「そうだね。うん、楽しいね。」
明日からも頑張りますか~♪
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