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第99話
う〜ん。頭痛い。二日酔いか。
「大丈夫?」
心配気に覗き込む。
「ん〜、頭いたいなぁ。今日は仕事休むかなぁ。」
「うん、その方がいい。」
夕方には回復。強い酒暫くやめとこ。
「さてと、お仕事行くかな。」
「今日は休むんじゃないの?」
「うん、大丈夫。働かなきゃね。裕貴の大学の費用もあるし。」
「ごめんね。研究ばっかでバイトが出来なくて。」
「気にすんな。その研究の恩恵を利用してるからね。」
「う、うん。ごめんね。」
「ね〜、ユキちゃん、依頼きてる?」
「・・・名前で呼ぶな。依頼は溜まってるぞ。」
バサッとプリントアウトした紙の山。
「お巡りさんいるのにねぇ。俺にわざわざ頼むなんて、よっぽど金余ってるのかなぁ。」
「警察じゃ相手してくれないからだろ?」
「ふーん。」
依頼の紙に目を通す。
「また、幼児誘拐か。この類だけは、頭くるな。」
「あぁ、そうだな。多分、その子は死んでるな。」
「そうだね。騒ぐからすぐ殺されちゃう。」
安い額だけど、これにしよう。被害者が増えるだけだ。
「後は、このストーカーと、ん〜、コレかな。」
「それは、あまり勧めないな。」
「んーなして?」
「人外だからだよ。危険度はそうだな。スーパーマリオのラスボスクラスだな。」
「なんだよ、弱いじゃんか。」
「ま、引き受けるんなら気をつけろ。」
「ん、ありがと、ユキちゃん。」
「マスターって呼べ。」
ピンちゃんとタマちゃん、日本刀は、名前どうしようかな?
ま、後で考えよう。
幼児誘拐の変態オッさんに狙いを絞る。
窓から中を覗くとガムテープで口を封じられた5、6歳の子供に汚らしいブツを突っ込んでハスハスしてるジジィ。子供は、グッタリして、死人のような肌色。多分、最中に死んだと思う。
「オッさん、こんな小さな子、レイプして楽しいか?」
「ひっ!お、お前、どこから来たっ!」
「ん?窓から。」
人の家にお邪魔する時は、玄関からしようね。良い子のみんな。あと、靴も脱ごう。真似しちゃダメだよ?
「その子、もう死んでんぞ?どうすんの〜?」
「し、死んでない!終わったら返す!」
まだ股間勃起させてる。ホント、変態オッさん。
「抵抗できない小さな子にこんな事したら、俺、頭にくんだよね。しかも、殺してる。」
ピンちゃんにするか、日本刀にするか。
「ま、言い訳聞く気ないから、おっさん、死んでくんない?」
ピンちゃん活躍♪
子供のガムテープ、剥がしてやった。
(ん?息してる。生きてるのか。)
子供を毛布で包み、近くの交番の前にそっと寝かせる。窓を叩いて、警官に気づかせて、身を引く。
物陰から伺うと、救急車呼んでる。もう大丈夫かな。でも、心の傷は癒えないよな。助かって良かったのか、複雑。
さて、次はストーカー。粘着にも、ほどがある。被害者の家のドアに精液とか下品だわ。
オイタをするオチンチンに制裁を食らわすか。
物陰に男。
写真と比べる。うん。獲物だ。まだ人通りもあるから、ピンちゃんとタマちゃんは、お休み。日本刀でいっきまーす。
「悪い子、みっけ♪」
サクッと一刀両断。
「うわ、また汚れちゃった!もう、最低!」
また、お気に入りの服汚れちゃった!もう!
仕方ないので一旦、お着替えに戻ります。
「あれ?早いね。終わったの?」
「ううん。ほらまた汚れちゃった。着替えに来た。」
「なるほど。」
「後、一件、片付けたら、ラブホ行こ♡」
「うん♪待ってる。」
ほっぺにチュッ♡裕貴の事、好きなんだよね〜やっぱり。
さて、さて。今日、最後のお掃除。
うーん、この辺りなんだけど・・・。
あ、またあの臭い。今日はなんか違う臭いもするな。
依頼元が、教会って獲物は何なんだよ。
真剣に行きます。
あ、またパツキン(短髪)。今日は1人か。
相手は、あー、また俺の獲物とやり合ってる。
横取りは、いかんなぁ。
「おーい、お兄ちゃん、人の獲物、横取りやめてくんない?」
「はっ!またお前かっ!相手する余裕ねーよ!」
大きな劔もって、ブンブン。
あんなに振り回したって殺せないのに。
さて、アダマンチウムで打ち直した日本刀で、サクサクッと終わらせますか。
「バッケモノさ〜ん、俺とあっそぼっ♪」
うわ〜醜いなぁ。酷い臭いもする。
「ほらよっ!」
鋭い爪で、襲ってくるけど、遅い。その位、かわせる。
トンッと着地した瞬間、背中に違和感。
「おいっ!ピンク頭っ!大丈夫かっ!」
背中に手を回す。ベットリと血が手についた。バケモノの尻尾にも、血液。クッソ、尻尾にも爪って、卑怯じゃん!アッタマきた!
「ぜってぇ、ぶっ殺す!」
新しくなった日本刀で、ザックザックと、切り裂いていく。
ほら、もう手足も尻尾も、無いぞ。胴体だけでもがくバケモノ。
「あ、まだ頭くっ付いてるわ。切り離してあげる。」
ザクッと切り落とす。
パツキンの兄ちゃんは呆然と見てる。
さて、写真、写真。
あれ?手が痺れる。スマホ持てない。背中の傷もまだ塞がらない。
膝から崩れ落ちる。
あれ?俺どうしたの?
「おいっ!おいっ、しっかりしろ!」
この後、裕貴とラブホ行くのに。
体が痺れる。あの爪に毒?何かの力?分からない。地べたに寝転んで身体中に痺れが回る。
「開けてぇ〜。」
「何?ピンクの子、どうしたの?」
「俺が始末しようとしてた獣をまた横から茶々入れて返り討ちにあった。身体が動かせないみたい。生きてはいる。」
「傷みせて。」
凛が服を破り、ピンク頭の傷をみる。
「うーん、塞がりかけてるね。回復能力もってるよ、この子。」
「でも、ディウォーカーじゃなたいみたいだよ?」
「問題は何で身体が動かせないか?か。意識あるかな?」
「おーい、名前、教えろ。」
「・・と、桃也。」
「身体、動かせないか?」
「・・し、痺れててムリ。」
「暫く休ませるか。ソファー、ベッドに倒して?」
「あ、うん。」
凛がソファーをベッドに変える。
「誰かに連絡した方がいいか?」
「・・あのバーのマスターに・・・。」
「分かった。」
暫くすると、蓮よりデカイもさっとした大男が、家に来た。
「すいません。その、と、桃也の関係者です。」
「あ、そう。迎えに来たんだね。」
「あ、あれ?裕貴先輩だ。」
天馬が、驚く。あれ、知り合い?
「同じ学部の先輩。院生だから、あんまり合わないけど、グンを抜いて頭良いし、研究も凄いんだよ。」
「い、一年生?」
「はい、僕、1年です。」
「こ、この事は、内密に頼むよ。彼は、ぼ、僕の恋人なんだ。」
「はい、他言無用ですね。大丈夫。」
「お、お世話になりました。失礼します。」
大男は、桃也をおんぶして帰って行った。
「ありゃ、目立つなぁ。てか、桃也って何者?」
「わかんないけど、力は持ってるって事だね。」
新居に引っ越して来て数ヶ月。まぁ、引っ越しつーても、元の場所から、車で数十分。大学の近くに引っ越した。天馬を独立させても良かったけど、年を取らないオレ達は、一箇所に長居出来ない。天馬が産まれて18年。一切老けないから、周りから浮き始めたしね。天馬も一人暮らしさせたら、隆君引っ張り込んで絶対、成績落ちる。うん、確実に。
とにかく、このピンク頭の桃也と大男と、これからもなんか、絡みそうだな。
「家に着いたよ、桃也。大丈夫?」
「・・痺れ・・取れない。」
「ちょっと待って。」
「これ、打ってみるから。」
俺の体を再生してくれる液体。これを打ち始めてから、元々あった再生能力がアップした。
「どう?」
「んー、かなり良くなった。ありがと、裕貴。」
「良かった。人外には、気をつけて?」
「そうだね。今回は参ったな。」
裕貴の笑顔、なんだかほっこりする。
「あ、ラブホ!」
「今日は良いよ、ゆっくり休んで?」
「そっか、あんがと。じゃ、少し寝るわ。」
あのパツキン軍団は、何者なんだろうか?人間じゃないのかな。少し調べてみるか。
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