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第15話

翠から高校の体育祭は誰でも見に行けると聞いて、絶対に行くと即決した。 「きっと龍ちゃん、活躍するんだろうなあ」 「多分ねー。龍ちゃん、スポーツ万能だし、男子の競技って棒倒しとか騎馬戦とか力技が見 せ場なのよね。まさに龍ちゃん向きよね」 活躍する龍ちゃんの姿を想像し、絶対に応援に行こうと改めて思った。   運動会当日。朝早くから勇んで出かけた俺は龍ちゃんを探した。 翠より先に探すなんて薄情な弟だが、心が龍ちゃん、龍ちゃんと騒いでいるのだから仕方がない。 背の高い龍ちゃんはすぐに見つけられた。高校のジャージを着ている龍ちゃんもカッコいい。 俺は龍ちゃんに突進し、飛びついた。これをやるのは久しぶりだったけど、龍ちゃんは動じず笑って受け止めてくれた。 ただし、周りはちょっとした騒ぎになっていたけど。 俺は甘えついでに肩車をおねだりしたが、龍ちゃんはクスっと笑っただけで軽々と俺を乗せてくれた。 今思えば、俺のあの時の派手なパフォーマンスは、俺の知らない龍ちゃんと翠の世界にちょっとでも爪痕を残したいという幼い自己顕示欲だった。 龍ちゃんに全部勝ってと応援の気持をこめていったが、龍ちゃんはそれにばっちり応えてくれた。 しかし翠と二人そろって1年生のMVPを取ってしまったのは計算外で、それを見た周りが「似合いのカップル」とか「八神なら翠ちゃんが選ぶのも仕方ないか」などと囁いている声をキャッチした時は地面に叩き付けられたようなショックを受けた。 改めて耳をそばだててみると、二人は全校生徒公認のカップルという位置づけのようだった。 なんだ、やっぱり二人は付き合ってたんじゃないか。 龍ちゃんの嘘つき。 そのあとはどうやって家まで帰ったか覚えてない。 その日は翠と顔を合わせるのが嫌で、早々にシャワーを済ませ夕飯をかき込み、自分の部屋にこもった。 やっぱり翠は龍ちゃんが好きだったんだ。 龍ちゃんは・・・ボディーガードなんて言ったのは恥ずかしかったのかな。龍ちゃん、照れ屋さんだから。 あの二人はまるっきり友達みたいな感じだったのに。 俺の方が龍ちゃんと仲良くて、龍ちゃんも俺を見るときの方が優しい顔してるって思ってたのに。 ただの弟分だったのかな。そう思ったらポロっと涙が出た。 絶対、翠より俺の方がずっとずっと龍ちゃんのこと好きなのにって思ったら、またポロポロっと涙が出た。

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