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第78話

龍ちゃんはさっきの獣モードではなくなっていて、優しく俺を抱きしめた。 それはそれで嬉しいけど、滅多に見せないさっきみたいなのもドキドキしちゃうんだけど。 思い出してクスリと笑うと、「ん?なんだ?」と首筋にキスをしてくれながら龍ちゃんが聞く。 「さっきの龍ちゃん、オオカミみたいで・・・いや違うな、もっと凄いの・・・あ、野獣?食べられちゃうかと思った」 「食うよ。俺は飢えてるんだ」 そう言って龍ちゃんは愛撫を再開する。 「たった10日なのにな。今まで、もっと間があいても平気だったのに・・・一緒に暮らすようになったこの3か月で、一人のベッドが寒々しく感じるようになった」 龍ちゃんの両手で与えられている刺激以上に、今の言葉が俺を内側から興奮させた。でも嬉しいはずなのになんだか泣きそうになるのはなんでだろう。 「やった。これでもう俺から離れられないよ」 龍ちゃんの耳元でいたずらっぽく囁くと、大きな手で俺のものがぎゅっと握られた。そして、親指で敏感な裏筋を擦りあげられ、快感に「あああっ」と声が出てしまう。 「蒼は?」 「はああっ、俺も、辛かった・・・一度、耐えられなくなって、ううっ・・・」 「耐えられなくなって?」 根元の柔らかい部分にまで刺激が加えられる。 「はうっ・・・龍ちゃんの枕に・・・あああ・・・顔うずめて、匂い嗅ぎながら・・・うっ、だめ・・・一人で、した・・・あ、だめだって、あああっ!」 よくできました、ご褒美だとでもいうように、一気に与えられる刺激が激しくなり、俺はそのまま達ってしまった。 あんまりすぐに達かされちゃって癪だから、俺も反撃に出る。 龍ちゃんは普段、俺に何もやらせてくれない。 「俺は蒼を感じさせて、俺の腕の中で乱れている蒼を見るのが好きなんだ」という言葉通り、ただひたすら俺の感じる場所を探り俺の反応をじっと見ている。甘い言葉を囁かれるよりも、じっと痴態を見られる方が興奮するのだと知った。 でも、今日は色々いつもと違う。俺だって、龍ちゃんを気持ちよくさせてあげたい。 俺は龍ちゃんの昂ぶりに手を伸ばした。龍ちゃんが息を飲むのがわかった。 熱くて大きくて硬い。いつもこれが俺の中を貫くのだ。 「蒼、お前はそんなことしなくていいんだ」 龍ちゃんが言うけど、少し軽く握りこんで動かしただけで、龍ちゃんの眉が寄せられるのを見て俺の中の何かに火が付く。 「嫌だ。これは俺のだから俺の好きにする」 そう言って龍ちゃんをぐいと押し倒す。ヘッドボードに寄りかかる形になった龍ちゃんがなんだか慌てた表情になったのがおかしい。

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