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裁判記録:僕は有罪(ギルティ)③
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「…はぅ、ん…っん、はぁ…あぁぁ……」
前回と今回の前戯でしっかりと馴らしたお蔭で、難なく笹木と繋がることに成功した。
「気持ちイイか?」
「んっ、苦しぃけど…ぅあっ…ふぁ、変なっ……感じぃ、っや、ぁ……」
今回は、普通のローションを使った。毎回媚薬入りを使うと躰がそれに慣れてしまい、それ以上の快楽を求めてしまう。それにしてもはじめてにしては、すごく感じているみたいだ。
笹木の肩に両手をかけて、ゆっくりと前後に動かしてやる。
「…ひぁぁ……それ、やめっ……ぅあぁ…」
「やめてって言ってるけど、お前の中、すごいことになってるから」
「いっ…そんなの、ぁん…言わないで、くださぃっ」
言いながらシーツをぎゅっと握って快感に耐える姿に、どんどん責めてやりたくなった。迷うことなく、胸元に舌を這わしてやる。
「…っや、な、んか…そこ変、っ…うあ…」
前回責めたときはくすぐったそうにしていたのに、下同様に感じてくれているらしい。触れれば触れるほど感度が上がるって、可愛いオモチャじゃないか、コイツは。
「変じゃないって。感じてるんだろ?」
「…いゃ…ちっ、がぅ……はぁ…ぁん…」
首を横に振って拒否る笹木を呆れた目で見てから、すごいことになっている下半身に手を伸ばしてやった。
「なぁ、笹木。変って言ってるクセに、ここがこんなことになっているけど。ほら、見てみろよ」
「うっ…あぁ……」
「おいおい。自分の見て興奮したのかよ? 汁の量が一気に増えたぞ」
くすくす笑ってその部分を弄ってやると、更にすごいことになっていく。
「ほら、こんなに溢れさせちゃってさ。見てみろ、すっげぇイヤラしいのな」
「やっ…も、やめっ…うぁ、ああぁっ!」
指ですくって、それを笹木の口に突っ込んでやった。ついでに口の中もなぞる様に、快感を与えてやる。
「……っくぅ、ん…っう」
気持ちよさそうな声を出し、ちゅくちゅくという音を立てて、僕の指をしゃぶりはじめた。笹木の浮かべる表情に、思わずぞくっとしたとき。
「んっ…香坂、せんぱぃ……好きぃっ…」
「ちょっ、いきなり何、言って――」
唐突に告げられた言葉に思い切りあたふたしてしまい、しゃぶられていた指をさっと引っこ抜く。すると先ほどまでシーツを掴んでいた両手を僕の躰に絡ませると、ぐいっと己に引き寄せた。
「うわっ!?」
そのまま上下を逆転させられ、ベッドの上で弾んだ身体を、熱い視線で見下ろされてしまって。
「さ、笹木?」
「今度は俺が、穣さんをイカせてあげます。大好きなアナタを、たくさん感じさせたい」
「待てって。お前、彼女がいるクセに僕が好きって、おかしいだろ」
「おかしくないですよ。だって穣さん言ってたじゃないですか。これは浮気のカウントに入らないって。それって、感情も同じでしょ?」
違うっ! ――そう声に出して否定したいのに、締め上げられながら上下している笹木の動きに、息が続かない上に声がうまく出せない。
「くっ……あぁ――」
「感じてるとき、そんな顔をするんですね。すっごく色っぽいですよ、穣さん。俺の中でどんどん大きくなっているの、すごく伝わってきます」
「も、少し…楽しませて、くれ…ないのか、お前っ」
くそっ! 何がどうなっているんだ!? 笹木をイカせてからイクはずだったのに、これじゃあ――。
「この間、失神するまでイカせてくれたお礼ですよ。今度は穣さんが、たくさんイってください」
そんなのダメに決まってるだろ! 笹木よりも先にイカされて堪るかよ。
腰の動きを止めようと手を伸ばしたら、ぎゅっと躰を抱きすくめられ、口を塞がれてしまった。
――コイツ……
「んぁ…ンンッ、はぁ…あっ……」
貪るようなキスに口の端から、どちらのものとも分からないヨダレが伝ってくるのを感じる。
「穣さ…穣さんっ、好きです、愛しています」
ウソっぽい言葉の羅列に、頭が可笑しくなってきた。ガマンしているのも、バカらしくなってきてしまい――。
「笹木っ、あぁっ、も……ぃくぅっ――」
「……嬉しい。俺で感じて、イってくれて」
(やられた、こんなハズじゃなかったのに)
突然の笹木の豹変にコトが上手く運べなかったことが、後の大きな汚点となることを、このときは知らずにいた。
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