131 / 300
見守りカメラ
【麗彪 side】
美月 の体調が戻り、年末に向けて何かと忙しくなってきて、どうしても美月に留守番を頼まなければならなくなった。
俺と駿河 と時任 は表の仕事、片桐 とカンナは裏の仕事、背に腹はかえられないので新名 を置いて行こうと思ったが、裏の仕事で必要になり昨日から親父に貸し出している。
終わればすぐ美月のとこに帰ってくると思うが、勝手に出掛けるなと念は押しておいた。
「ごめんな、美月」
「んーん。大丈夫だよ、年末は忙しいんでしょ?ぼく、ひとりでもちゃんとお留守番できるよ」
「そっか。じゃあもう俺の服も必要なぃ・・・」
「脱いでっ!」
良かった、いらないって言われたらショックだからな。
着ていた部屋着のスウェットを脱ぎ、美月に着せる。
「美月、昼はチャーハンと卵スープ作ったから、温めて食べろ。昼寝するならソファじゃなくてベッド行けよ」
「はぁい!」
時任 が美月に指示を出す。
素直に頷く美月が可愛い。
「晩飯までには帰るからな。外に食べに行こう」
「うんっ!麗彪さん、お仕事頑張ってね!」
不安だが、美月も大丈夫だと言うし、機嫌も良さそうなので信じる事にしよう。
晩飯は・・・焼肉にでも行くか。
「美月は独りの時、何してんだろうな」
「見守りカメラでも設置します〜?」
「・・・それも悪くねぇな」
会社へ向かう車中でそんな話になった。
駿河は早速、どの見守りカメラがいいか調べ始めたが、時任が運転しながら何か考えている様な顔をしている。
「どうした時任」
「・・・いえ、もしかしたら、新名が既に設置しているかも、と」
「んだとあのクソ狐・・・ん?」
噂をすれば・・・クソ狐から電話だ。
「終わったのか?」
『いえ、まだなんですが、麗彪さんのスマホにイイモノ入れておいたので見てください。可愛いですよ』
「あ?」
電話を切り画面を確認すると、覚えのないアプリが。
「・・・時任、当たりだ」
「え・・・?」
アプリを開き映像を確認した。
リビング、ダイニング、廊下の映像がリアルタイムで見られる様になっている。
美月はリビングで、ぬいぐるみたちと並んでソファに座り、片桐にもらったDVDを見ていた。
・・・確かに可愛い。
「新名 も見てんのか・・・ムカつくな・・・」
「新名に先を越されましたね〜。まあ、使えるならいいじゃないですか〜」
「・・・そうだな」
新名が美月に向ける感情は、俺のそれとは違う。
わかってはいるが、それでもイラっとするもんは仕方ない。
・・・あ、美月が立ち上がった・・・ダイニングを抜けてキッチンへ行ったのか・・・昼飯にはまだはや・・・ジュースか・・・またリビングのソファに戻った・・・とらきちを抱いた・・・。
「これ、見始めたらやめられねぇな」
「いや程々にしてくださいよ、もう着きますから〜」
会議がつまらなかったら、こっそりコレ見てやり過ごすかな。
ともだちにシェアしよう!

