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見守りカメラ

麗彪(よしとら)side】 美月(みつき)の体調が戻り、年末に向けて何かと忙しくなってきて、どうしても美月に留守番を頼まなければならなくなった。 俺と駿河(するが)時任(ときとう)は表の仕事、片桐(かたぎり)とカンナは裏の仕事、背に腹はかえられないので新名(にいな)を置いて行こうと思ったが、裏の仕事で必要になり昨日から親父に貸し出している。 終わればすぐ美月のとこに帰ってくると思うが、勝手に出掛けるなと念は押しておいた。 「ごめんな、美月」 「んーん。大丈夫だよ、年末は忙しいんでしょ?ぼく、ひとりでもちゃんとお留守番できるよ」 「そっか。じゃあもう俺の服も必要なぃ・・・」 「脱いでっ!」 良かった、いらないって言われたらショックだからな。 着ていた部屋着のスウェットを脱ぎ、美月に着せる。 「美月、昼はチャーハンと卵スープ作ったから、温めて食べろ。昼寝するならソファじゃなくてベッド行けよ」 「はぁい!」 時任(おかん)が美月に指示を出す。 素直に頷く美月が可愛い。 「晩飯までには帰るからな。外に食べに行こう」 「うんっ!麗彪さん、お仕事頑張ってね!」 不安だが、美月も大丈夫だと言うし、機嫌も良さそうなので信じる事にしよう。 晩飯は・・・焼肉にでも行くか。 「美月は独りの時、何してんだろうな」 「見守りカメラでも設置します〜?」 「・・・それも悪くねぇな」 会社へ向かう車中でそんな話になった。 駿河は早速、どの見守りカメラがいいか調べ始めたが、時任が運転しながら何か考えている様な顔をしている。 「どうした時任」 「・・・いえ、もしかしたら、新名が既に設置しているかも、と」 「んだとあのクソ狐・・・ん?」 噂をすれば・・・クソ狐から電話だ。 「終わったのか?」 『いえ、まだなんですが、麗彪さんのスマホにイイモノ入れておいたので見てください。可愛いですよ』 「あ?」 電話を切り画面を確認すると、覚えのないアプリが。 「・・・時任、当たりだ」 「え・・・?」 アプリを開き映像を確認した。 リビング、ダイニング、廊下の映像がリアルタイムで見られる様になっている。 美月はリビングで、ぬいぐるみたちと並んでソファに座り、片桐にもらったDVDを見ていた。 ・・・確かに可愛い。 「新名(あいつ)も見てんのか・・・ムカつくな・・・」 「新名に先を越されましたね〜。まあ、使えるならいいじゃないですか〜」 「・・・そうだな」 新名が美月に向ける感情は、俺のそれとは違う。 わかってはいるが、それでもイラっとするもんは仕方ない。 ・・・あ、美月が立ち上がった・・・ダイニングを抜けてキッチンへ行ったのか・・・昼飯にはまだはや・・・ジュースか・・・またリビングのソファに戻った・・・とらきちを抱いた・・・。 「これ、見始めたらやめられねぇな」 「いや程々にしてくださいよ、もう着きますから〜」 会議がつまらなかったら、こっそりコレ見てやり過ごすかな。

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