130 / 300

熱とお薬

美月(みつき)side】 夢の国から帰ってきて、朝起きよおとしたら、起きられなかった。 頭熱くて、ちょっと痛くて、ぼーっとする。 「ょしとらさん・・・」 「カンナ来るからちょっと待ってろ。頭痛い以外は?なんか飲むか?」 「んーん・・・」 麗彪(よしとら)さんは、ぼくが病気になっても、ゴミ袋に入れないって言ってた。 だから、ちゃんと、具合悪いって、言えたんだ。 麗彪さん、なおしてくれるって、言ってたから。 「来たわよ。熱は(はか)った?」 「38.8℃あった。頭が痛いって」 カンナさんが診察に来てくれた。 麗彪さんとお話ししてる。 「高いわね。頭痛以外はどう?美月ちゃん、身体は痛い?」 カンナさんが、ぼくの首とか手とかお腹をさわりながら、聞いてきた。 お医者さんの診察・・・初めて・・・。 お医者さんのカンナさん、かっこいいなぁ・・・。 「んーん・・・」 「解熱鎮痛剤を飲ませたいけど、何か食べられそう?」 「んー・・・」 食べたくない・・・でも、食べなきゃだめ、なのかな・・・。 「麗彪さん、おかゆ作ってきました。薬飲ませるなら食わせないと」 時任(ときとう)さんが、おかゆ持ってきてくれた。 そっか、お薬飲む時はご飯食べなきゃだめなんだ・・・。 「美月、ちょっとでもいいから食おう。な?」 「ぅん・・・」 麗彪さんに食べさせてもらいながら、おかゆを食べた。 ぼーっとしちゃって、ちょっとずつしか食べられなかったけど、麗彪さんが偉いぞってほめてくれて、嬉しい。 それから、お薬を飲んだ。 お薬飲むの、初めて・・・噛まないで飲むの、ちょっと難しかった・・・。 「非ピリン系だけど、念の為(しばら)く側についてるわ。美月ちゃん、気持ち悪くなったらすぐに言ってね」 「ぅん・・・」 「お嬢、氷枕使ってください。気触(かぶ)れるといけないので濡れタオルを用意しました。おでこに乗せますね」 新名(にいな)さんが、タオルを巻いた冷たい枕を頭の下に置いてくれた。 あと、おでこに冷たいタオルも。 ひんやり、きもちい・・・。 「麗彪さん、駿河(するが)から電話です」 「ん」 麗彪さん、ほんとは今日お仕事だったのに、ぼくが熱出ちゃってお休みしてくれた。 だから駿河さんが代わりに行ってくれたんだ。 迷惑かけちゃった・・・ごめんなさい・・・。 「・・・ごめ・・・なさ・・・」 「美月はなにも悪くない。具合悪いのちゃんと言ってくれただろ。いいから、もう寝ろ」 麗彪さんが頭を撫でてくれて、カンナさんと新名さんもいてくれて、具合悪いのに嬉しいって、変かなぁ・・・。

ともだちにシェアしよう!