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パーカーと朝食ビュッフェ
【麗彪 side】
「麗彪さんっ」
可愛い声。
天使が呼んでる。
「起きてぇっ」
これ、俺の上に跨ってるのか?
まだまだ軽いな。
子猫かよ・・・いや天使だから羽が生えてんのか。
「もおっ、麗彪さんてばっ」
俺の腹の上に跨って、胸の上に両手を突いて、ゆさゆさ身体を揺すってくる。
やべーなこれ、可愛過ぎだろ。
捕まえて喰っちまっても、文句言えねぇよな。
「ひゃわっ」
両手で抱き締めて身体を反転し、ベッドに天使を押し倒す。
「美味 そうな美月 捕まえた」
「だあめっ!今日はシーだよっ!顔洗って着替えよ?」
昨日は疲れて早い時間に寝ちまったから、今朝の美月は元気に早起きだ。
テンション高ぇのも可愛い。
「えー・・・キスくらいいいだろ?」
「ふふっ、それはぼくが先にしちゃった!だからもぉ起きて?」
・・・なに?
先にした?
「俺は美月に寝込みを襲われたのか」
「ねこみ?」
美月を抱いたままベッドを下りて洗面所へ。
顔を洗っていると、美月が俺の着る服を用意してくれていた。
「コートの下にね、このパーカー着よ?お揃いっ!」
昨日パークでこっそり俺と美月の分だけ買った、美月が気に入ったキャラクターのパーカーだ。
ホテルのレストランで朝食を摂ってからシーに向かうが、そこで俺たちがペアルックなのを見て、親父や新名 が悔しがる顔が目に浮かぶな。
「おはようございます〜あ!いつの間にお揃いのパーカー買ったんですか?」
「えへへ〜」
「みっちゃん、パパとも今度お揃いコーデしよう」
「お嬢、俺ともお揃いの狐さん着ぐるみパジャマ着ましょう!」
「ほらほら、騒いでないで朝ご飯食べるわよー」
朝食はビュッフェスタイル。
美月はパン・オ・ショコラとフィナンシェ、オムレツ、ウインナーを皿に盛り、その皿は新名がテーブルに運んだ。
俺は和食にするか・・・。
「麗彪さん、おうどんも食べていい?」
「ああ。食べ切れなかったら俺が食うから、好きなの全部新名に運ばせろ」
「あのね、駿河 さんカレー持ってったよ」
「まじかよ」
テーブルに行くと、各々が好きに持ってきた食事が大量に置かれていた。
美月がパン・オ・ショコラにかぶり付くのを見ながら、俺も味噌汁を啜る。
昨日かなりはしゃいでいたから少し心配していたが、今日も元気そうで安心した。
「美月くん、苺ありましたよ、食べますか?」
「あっ!食べますっ!ありがと片桐 さんっ」
「雅彪 さん、バランス悪いですよ。サラダ も食ってください」
「おいおい、相変わらずだな時任 」
「美月くん、一口食べます〜?」
「ちょとぉ、それ辛口カレーでしょ?だめよ、美月ちゃんに食べさせちゃ」
「お嬢、おうどんにお揚げのせときました!」
「おい新名、美月はきざみ海苔派だ」
こんなに食ったら美月は昼飯食えないかもな。
今日も昼は決めず、夜だけ予約してるらしいが、パーク内だと親父が菓子ばっか食わせるし・・・。
「麗彪さんっ、オムレツ一口食べる?」
「食う」
餌付けされながら、まあ美月が笑ってれば何でもいいか、と思った。
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