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家業がバレました

麗彪(よしとら)side】 「と、言う事で、美月(みつき)に家業がバレました」 マンションのリビングで、真ん中バースデー不参加組に経緯を説明した。 全員複雑な表情だが、俺の横に座ってシューアイスを頬張る美月はいつも通りだ。 「その・・・それでも、今まで通りの動きで、いいんですよね?」 片桐(かたぎり)が恐るおそる確認してくる。 今まで通りの動き、つまり美月に暴力的なモノは見せない聞かせない。 「そうだ」 「俺は・・・お嬢の側に・・・居ていいんですか・・・?」 新名(にいな)が不安がっている。 まあ、お前と片桐が一番不安だよな。 だが、お前らが裏でナニやってるかまで美月は知らねぇぞ? 「片桐さん、新名さん、大丈夫?シューアイス美味しいよ?とけちゃう前に食べよ?」 「美月くん・・・ありがとうございます」 「お嬢・・・はいっ!いただきます!」 片桐と新名は美月に餌付けされ、嬉しそうにシューアイスを食べ始めた。 神様に心配かけてんじゃねぇよ。 「美月は優しいな」 時任(ときとう)がそう言いながら、美月の口元を拭く。 「時任さんの方が優しいよ?」 「そう思うなら夜更かししないで9時に寝ろ」 「んふふっ」 笑って誤魔化す美月。 いや、21時は早いだろ。 美月も明々後日(しあさって)には18になるんだぞ? 「美月ちゃん、あたしは榊家(さかきけ)の家族だけど、本物のお医者さんよ?」 「うんっ。熱も捻挫も治してくれたもんねっ」 カンナめ、なに自分だけカタギ認定受けようとしてんだよ。 榊家(うち)の家族だってんならお前も極道(やくざ)だろ。 「美月くん・・・前に、大人になったら一緒にお仕事しましょうねって言っちゃったけど・・・あれは・・・」 駿河(するが)が珍しく、言いにくそうにしている。 そういや誕生日に美月から、仕事を手伝うって言ってもらったとか言ってたか。 極道(やくざ)だと知られては、仕事なんてさせられないって思ったんだろ。 「18歳になったら大人だから、ぼく駿河さんのお仕事お手伝いする!難しいのは出来ないかもだけど、ぼくでも出来るのあったらお手伝いさせて?」 美月はそう言う子だよな。 まあ、駿河は表の仕事を扱う事が多いから、駿河の手伝いなら・・・。 「いいんじゃねぇの?手伝ってもらえよ」 「いいんですか?やった〜!美月くん、一緒に麗彪さんを効率良く使いましょうね〜」 「は〜い!」 おいこら、誰を使うって? シューアイスを食べ終えた美月が、会社ごっこで使ったメガネをかけて言った。 「社長、いっしょにお仕事しましょうねっ」 うん、可愛い。 好きなだけ俺を使ってくれ。

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