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ベッドとシャチと浮き輪と日焼け止め

麗彪(よしとら)side】 広いリビングスペースは海側が全面ガラス張りで景色がいい。 奥にはキッチン、キッチン横の扉から出るとBBQスペース、反対側はプールのある広いウッドデッキ、トイレと洗面所は2箇所、デカい風呂とシャワーブース、寝室はツインが5つ・・・。 先日のやらかしの詫びだと言って、莎草(ささめ)が手配したプライベートヴィラだ。 「・・・ぷはぁっ・・・これ・・・使います・・・?」 ベッド型エアマットがなかなか膨らまず、()を上げる新名(にいな)美月(みつき)が使いたがるかもしんねぇだろ。 「・・・はぁ・・・きっつ・・・」 シャチのフロートに息を吹き込む時任(ときとう)。 そのサイズを息で膨らますの、さすがにしんどいだろうな。 「・・・はぁ・・・出来ました・・・」 美月の浮き輪を膨らまし終えた片桐(かたぎり)。 まあ、それくらいならいけるか。 「まさか空気入れを忘れるとはね〜」 駿河(するが)がのほほんと言った。 そう、空気入れを忘れたんだ。 浮き輪は、潜れはするが泳げない運動音痴の美月には必須。 シャチのフロートは、美月が乗るの楽しみにしてるから必須。 ベッド型エアマットは、新しく買ってみたやつで美月が使った事ないから必須。 誰がどれを膨らませるかじゃんけんして、真っ先に負けた新名がベッド、次に負けた時任がシャチ、その次が片桐で浮き輪担当になった。 美月が嬉々としてじゃんけんに参加したので、この3人が率先して負けにいった感はあったが。 「新名さん、苦しそぉ・・・大丈夫?」 「大丈夫ですよお嬢、任せてください!」 「時任さんも、無理しないでね?」 「ああ」 バテそうな新名と時任を美月が激励(げきれい)する。 そのおかげか、ベッドとシャチがどんどん膨らんでいった。 「美月効果が凄ぇな」 「さすが美月くんですね。はい、どうぞ」 「ありがと片桐さんっ!」 片桐から受け取った浮き輪を装着し、嬉しそうな美月。 可愛いので取り敢えず写真を撮る。 「ほら美月、日焼け止め塗ろう」 「はぁい!」 呼び寄せた美月に日焼け止めを塗ってやる。 ラッシュガードは着せるが、心配なので全身しっかり塗っとかねぇと。 「麗彪さんも、ぼく塗ってあげるっ」 「ああ、頼む」 俺は別に日焼けなんて気にしないが、美月がやたら心配するから頼んでる。 たぶん、日焼けすると皮がむけるって言ったの、グロい感じに想像したみたいだ。 「麗彪さんの次は駿河さんね」 「ありがとうございま〜す」 「はあ!?美月が日焼け止め塗っていいのは俺だけだ!」 「お嬢、俺にもお願いします!」 「いいよっ。片桐さんと環流(めぐる)さんにも塗るね」 「お願いします」 「ありがと美月ちゃん!」 「ちょっとまて美月・・・」 「美月、俺も」 「うん!時任さんにも塗るねっ」 「お前脱がねぇだろ!」 結局、美月が全員に日焼け止めを塗ってやった。 美月が触る範囲を減らすために、俺まで野郎どもに日焼け止めを塗るハメになったが・・・。 まあ、美月が楽しそうなら、それでいいか。

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