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タレに漬け込んでやる
【麗彪 side】
美月 が見たいと言うので運動会をやる事になった。
美月を本気で欲しがり口説くとか言い出した綾 を黙らせるため、この運動会で負けたら美月を諦めると約束させて。
『おいおい、そんな遊んでる暇あるのかい?・・・まあ、みっちゃんが運動会したいって言うなら場所や道具は用意してやるが・・・規模はどれくらいなんだ?』
困った時の親父頼み。
簡単便利で、美月絡みの依頼なら金もかからない。
「こっちは俺、駿河 、時任 、片桐 、新名 。九十九 は綾が大阪 からあと4人呼び寄せるらしい」
『5対5か、規模小せえな。競技は・・・玉入れ、リレー、綱引き、障害物競走、2人3脚とかかな。ん?みっちゃんと環流 は出ないのか?』
「美月は応援、カンナは救護班」
『ピンクのポンポン作ってやらねえとな』
呑気な事を言ってる親父に、事の発端を伝える。
俺たちはこの運動会で必ず勝利しなければならないのだと。
『綾 ・・・本気なのか?』
「たぶんな」
『負けたらお前も綾も潰して俺がみっちゃん娶るぞ』
「ぜっっってぇ負けねぇ!」
負けられない理由が増えた。
綾に勝ったら次は親父と勝負とか、言わないでくれよ頼むから。
『お前らが遊んでる間、俺がみっちゃん抱っこしててやる。全力で九十九を潰せ』
「ああ、頼む」
運動会やってる隙に美月を掻っ攫われでもしたら、本当に抗争になるだろうからな。
『今、みっちゃんはどうしてる?』
「片桐と新名が散歩に連れてった。綾は隣の部屋で九十九家 に電話してる」
『そうか。みっちゃんと綾を2人にするなよ』
「言われなくても」
電話を切り、綾の様子を見に行くと、部屋にいない。
おい、まさか・・・。
「時任来い!駿河は片桐に連絡しろ!」
俺の慌て様に、2人とも黙って即従う。
くそ、エレベーターに乗っている時間が惜しい。
片桐と新名が付いてるから拐いはしないだろうが、口説くって言ってたのを実践するつもりだろう。
美月が靡 くとは思わないが、俺の美月が俺以外に口説かれるとか腸 が煮えくり返りそうだ。
こういう時、狐の勘が効 いてくれると信じている。
そのために新名 を美月につけてるんだからな。
「ああ・・・わかった。麗彪さん、綾が美月たちに追い付いた様です。コンビニ近くの公園にいると」
エレベーターを降りてエントランスを出ると、時任が駿河からの電話を受けた。
エレベーターを降りた瞬間から走ってはいたが、目的地が明確になったので速度を上げる。
ああ"ー・・・くそっ!
運動会とか生優しい事言ってないで、本気であの蟒蛇 捌 いてタレに漬け込んでやるか・・・。
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