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悪戯しちゃうぞ【2】
口に半ば無理矢理押し込められたキャンディは、正直ただ甘いだけで美味しいなんてもんやなかった。
無駄に大きいばっかりで、やたらと口に唾液が溜まる。
「俺もそれ貰った物なんで、味知らないんですよね...ちょっと味見させてください」
俺の後ろ髪を掴むように引きながら少しだけ上を向かせると、ニヤリと笑いながらゆっくりと唇を合わせてきた。
飴のせいで、口をしっかり閉じられへん。
弛うしか合わせられへん唇の間から、スルリと舌が入り込んできた。
行き場の無い俺の口の中の飴を、まるで面白がるみたいにその舌が転がす。
たっぷりと溜まった唾液が一気に喉に流れ込んできて、思わず噎せそうになった。
飴のせいだけやなく…だんだんと息自体が苦しくなってくる。
目の前の体にギュッとしがみつけば、まるでそれを察したかのように口の中を這い回っていた舌が飴を包み込み、俺の唾液ごと自分の口へと手繰り寄せた。
「すごいですね、この飴。慎吾さんの口から垂れてる涎、なんか血のりみたいな色になってますよ…」
口の中をコリコリ言わせながら、上がる息が抑えきらん俺の唇を親指でゆっくりとなぞる。
その指で口の端をそっと拭われたら、確かにそこはグロテスクなほど赤い色で染まってた。
「一個丸々食べてると時間かかりそうなんで、俺と半分こしましょうね」
まだまだかなりの大きさのあったはずの物を、航生くんの綺麗な歯が小さく噛み砕いていく。
「はい、ベーッてしてみてください」
どうせ今からイタズラされる身分やから…そんなことを言い訳にして、俺は黙ってその言葉に従った。
俺の出した舌に、航生くんが小さくしてくれた飴が乗せられる。
ああ、ほんまににすごい色なんや……
目の前で長うに伸ばされた舌の色がとんでもなく赤くて、それがなんやひどく卑猥に見えた。
飴を乗せながら、その卑猥な舌が俺の舌先を掠める。
それだけで俺のフワフワのペチコートの中は大変なことになった。
ズクンズクンてそこが大きく脈を打つ。
俺の目の奥を見つめていた航生くんが、満足そうにニッと笑った。
「ああ、やっぱりいやらしいですね、慎吾さん...…」
もう全部バレてもうてんねや...…恥ずかしいとか感じるべきやのに、なぜか興奮を覚えてしまう自分の浅ましさが歯痒い。
「はい、じゃあ自分でスカート持ってください。どんな風になってるのか、俺がちゃんと確認してあげますから」
「あ、あほ…や、やめろや...…」
「ん? いいでしょ、俺イタズラするんですから。慎吾さんは無理矢理俺にイタズラされるだけなんですから、何も気にする事はないですよ?」
こんなエッチな意地悪をしながらも、ちゃんと俺に言い訳の余地を残してくれてる。
航生くんが強引にイタズラをして、そのせいで無理矢理望まん快感を与えられてる、こんなことになんのは俺の本意やない...そう思うたらええということらしい。
ペチコートが捲られ、そこに航生くんの頭が潜り込んできた。
「慎吾さん、どこまで拘ってるんですか…こんなパンツまで穿いて…」
高い鼻が俺の股間に擦り付けられる。
自身の先からはじわっと雫が溢れ、それが布にどんどん染み込んでいくんがわかった。
そう…とにかくまずは形を整える事に執心した俺は、さすがに女性用ってわけにはいけへんかったものの、そういう趣味の男性専用のランジェリーサイトで、薄い総レースの恐ろしく面積の小さいボクサー風パンツを買っていたのだ。
すっかり元気になっている息子の頭は、隠すほどの面積も無い下着の上にヌンと首を伸ばしている。
「まったくもう...ほんとにやらしいんだから…」
別にいやらしくするために拘ったつもりはなかったんや…なんて事、こんな格好で言うたところで誰も信じてくれへんやろう。
まあ、それこそこんな格好を他の誰の前でできるわけもないけど。
「これ、慎吾さんの私物ですよね?」
「アホか…こんなん誰に借りんねん……」
辛うじて吐き出す軽口。
せえけどすぐにそれは、短く荒く繰り返される吐息に取って変わられた。
レースの上から航生くんの舌が俺のモノを丹念に舐め上げる。
時折その下にだらしなく垂れている場所をやわやわと唇で挟みながら、右手は俺の幹をギュッと握った。
熱く湿った感触に身を震わせながら、ふとさっき見せつけられた真っ赤な舌を思い出す。
あの舌が今、俺のモノを嬲り擽り、間違いなく快感を与えてるんや……
いつの間にか俺はスカートだけでなく、ペチコートまで自分で持ってた。
「そう、いい子…ねえ、直接舐めてほしいですか?」
ゴムの上にちょこんと出てる部分だけを指先で弄び、溢れた雫を裏側に擦り付けながら、航生くんは俺の目をじっと見上げてくる。
俺は何も答えることもできんと、ただ目を逸した。
「それとも、もうここで突っ込んじゃいましょうか? 慎吾さん、立ったままするの好きですもんね」
言葉に合わせるみたいに、指が下着の縫い目を沿いながら俺の後ろの窄まりへと滑らされた。
掠めるように触れただけなのに、ヒクつく体が抑えられへん。
間違いなく俺の中は熱い衝動を欲してる。
せえけど…自分のいてる場所を認識できる程度の理性はまだ残ってた。
訴えるように首を横に振る。
「ですよね...ここでしたんじゃ声抑えるのに必死過ぎて、本気で楽しめませんもんね?」
航生くんの指が、目の粗いレースの柄の部分に掛けられる。
「じゃあ、ここではこれくらいにしといてあげますから、あとはベッドで俺の言うことなんでも聞くって約束してくれますか?」
言いながら、その指の先に強く力が入った。
プツンプツンと頼りない繊細な糸が弾けていく感覚。
チラリと下に目を遣れば、そこには目をランランと輝かせた肉食獣が牙を剥いてた。
俺が見てる事に気づいた航生くんはさらに興奮した様子で、少しほつれた場所に両手の指を差し入れるとそこを左右に一気に開く。
「こんなエロっちいパンツ、絶対穿いたらダメですからね。まったく...こんなに破れやすいし。誰かにこうやって破られでもしたらどうしようなんて、気が気じゃなくなりますよ」
俺のこんなもん破って興奮すんのは航生くんくらいやっちゅうねん!
そう力一杯言うてやりたいけど、下着を裂かれ中を全部曝け出してる俺も、どうやら今の状況に大概興奮してるらしい。
「航生くん...言う事聞くから...なんでも聞くから…早よベッドぉ…...」
航生くんの望む言葉を…いや、俺自身の希望のすべてを口にして手を差し出すと、俺とそない体格に差なんか無いはずの男は、屁でもないって顔で楽々と俺を抱え上げ、真っ直ぐに寝室へと連れて行ってくれた。
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俺から仕掛けたイタズラは失敗に終わった。
いや、寧ろ去年までのイタズラよりも3倍5倍の仕返しがきたように感じる。
でも…俺の体がそれを喜んでたのは間違いのない事実。
それに、幸せやったのも。
隣で気持ちよさそうに眠る顔を見つめながら、俺は早速来年のイタズラ計画を練ることにした。
勿論、仕返しを期待して。
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