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第1―4話
芹沢は自分に抱きつく鈴森の腕を引き剥がした。
「悪い。
身体流したいから」
鈴森は「…うん」と言うと芹沢の隣りの椅子に座った。
芹沢がシャワーで身体に付いたボディーソープを洗い流す。
「葵も風呂?」
鈴森は何も答えない。
芹沢はふうっと息を吐くと、内風呂に向かって歩き出した。
その手を鈴森が掴む。
芹沢が振り向く。
鈴森は芹沢を見上げながら言った。
「景くん…俺と会わない間、誰かとした?」
芹沢が眉をひそめる。
「した…って何がだよ?」
鈴森は芹沢を真っ直ぐ見て言う。
「セックス」
芹沢は鈴森に掴まれた手を振り払った。
「それが葵に何の関係がある?」
「してないの?」
芹沢はため息をつくとキッパリと言った。
「葵、俺達はもう終わった」
「終わったなんて」
鈴森が笑う。
「俺は景くんに好きな人が出来るまでセフレでいい。
俺だって好きな人が出来たらセフレなんてやめる。
そう割り切ってるよ?
なんの問題があるの?」
芹沢が鈴森から視線を外す。
「だからさ…セフレとか…やめたいんだよ」
鈴森はさっと芹沢の足元に跪くと、芹沢の綺麗に付いた腹筋に口づける。
「葵…」
鈴森の唇が段々と下がっていき、芹沢の雄を咥える。
「葵…やめろって」
芹沢が鈴森の頭を両手で掴む。
鈴森は芹沢の雄を咥えたまま、芹沢を見上げる。
捨てられた子犬のように寂しげな表情で。
鈴森には分かっている。
芹沢は鈴森がこの顔をすると、鈴森を拒否する事が出来ない。
鈴森は一旦芹沢の雄から口を離すと、雄の茎を舐めながら言う。
「景くん…10日もセックスしてないんじゃ溜まってるでしょ?」
「……」
「ね…しよ?」
鈴森がまた芹沢の雄を咥えると、喉深くまで口に含みピストンし出す。
芹沢の雄が勃ち上がり、硬くなり、形を変える。
芹沢が鈴森の肩を掴む。
「葵、来い」
鈴森が芹沢の雄から口を外すと、芹沢が鈴森の手を引き、さっきまで座って身体を洗っていた椅子に座る。
芹沢が鈴森を対面で芹沢の膝に乗せる。
芹沢が鈴森の後孔に指を這わせようとして、その手を鈴森が止めた。
「大丈夫。
準備してきたから。
ジェルも入れてある」
鈴森は芹沢の切れ長の二重の美しい瞳を妖艶に見つめながら微笑むと、芹沢の雄を後孔に導く。
鈴森が腰を落とすと、芹沢がぐっと雄を差し込む。
「ああんっ…深い…っ」
芹沢は鈴森の中に雄が全て収まると、鈴森の腰を掴み激しく腰を突き上げた。
芹沢は鈴森から雄を抜かず二回達した。
鈴森も二度白濁を放った。
芹沢は事が終わるとざっとシャワーを浴び、黙って浴場を出て行った。
鈴森もシャワーを浴びると、鏡に映った自分を見た。
芹沢がわざわざ椅子に座り、対面座位で自分を抱いたのは分かっている。
普通の浴室と違って温泉の浴場は滑るし床も固い。
芹沢は鈴森が万が一怪我でもしないように気遣ってくれたのだ。
芹沢が鈴森をセフレとしか思っていないのは、鈴森も重々承知している。
そして真面目でやさしい芹沢は、セフレという関係を続ける事が苦痛になっていることも。
それでも鈴森の誘いを断れないのは、やはりヤりたい盛りの年頃で、流されているだけだ。
「景くんが酷い奴ならいいのに…」
鈴森は泣きそうな自分を見たくなくて、鏡にシャワーを吹きかけた。
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