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Träumereiが一番忙しいのは実はモーニングだったりする。 年配の常連客はTräumereiでゆっくりと朝食を取って各々活動を始めるので、10時には店内がだいぶ落ち着きを見せる。それからランチタイムまではちょっとした休憩だ。奏真は隙を見て店のトースターで食パンを焼いて隙を見て齧る。お供はまたも店のサイフォンでいれたコーヒーだ。 この時にチラッとスマホを見ると、大抵秀一から「仕事行ってきます」のLINEが入っている。毎週毎週土曜日だというのに秀一は朝から仕事に行って帰ってくるのは大抵奏真が寝た後。それは仕事の都合でもあるが、付き合いで飲みに行っていることも多い。いつか身体を壊すんじゃないかと心配になるが、自身も結構酷い生活をしていることを奏真は自覚していない。 その日は、秀一のそれとは別にもう一件友人の望月からLINEが入っていた。 『夕方のレッスンがなくなったから飲みに行こうぜ!仕事終わったら店まで迎えに行くわ〜』 昔奏真や望月が子どもの頃大流行したアニメのキャラクターがよろしくと言っているスタンプ付きだ。それを見てもしかして秀一はこのキャラ知らないんじゃ、とちょっと怖くなる。4つ下の恋人がガラケーを会社の携帯用にしか持ったことがないのはなかなかに衝撃だった。 奏真は了解と簡単に返信すると、ランチタイムで提供するケーキの様子を見に行った。 本日のケーキはアップルパイ。 オーブンの中から取り出したパイはこんがりきつね色に焼きあがりツヤツヤと輝いている。ほわほわと立ち上るりんごとシナモンの香りに、我ながら上出来と一人微笑んだ。 メニュー表をモーニングからランチに替える頃になるとちらほらお客様が入り始める。少しのランチの波を超え、15時には店は落ち着いて少しずつ少しずつ店仕舞いに向けて支度をしながら、奏真はまた店のサイフォンでコーヒーを入れる。 最近、この時間のコーヒーがブラックからカフェオレに変わった。 ほっこり優しい甘みが広がるカフェオレは、今も会社で奮闘しているだろう恋人の定番だ。 正直奏真には甘過ぎるのだが、これを飲んでいると嬉しそうにカフェオレを飲む秀一の姿が思い浮かんで心温まるので、毎日この時間はカフェオレが定着したのだった。

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