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第100話
そうだよな俺だって乳首なんて全然感じないし、男なんだから普通感じないよな。乳首触りたい、けど微妙にしらけるんじゃ触ってもいいことなんかないしなぁ。
Tシャツ一枚脱ぎ捨てるまでのわずか数秒の間とは思えない速さで思考がフル回転する。その思考の暗さに、やばいこれはまた不発に終わるかも、と思った時だった。
「…秀一が、開発したらいいんじゃない?」
タンクトップを脱ぎながら、ちょっと挑戦的な、不敵な笑みでそんなことを言われたら。
「…ッ!」
元気になるしかない。
ボボボッと顔中を真っ赤にしながら今すぐ飛びかかりたい衝動と戦う秀一を知ってか知らずか、男前にぽいぽいと迷い無く服を脱ぎ捨ててさっさと下着一枚になった奏真は、秀一の手を取って奪った眼鏡を握らせると、バフっとそのままベッドに倒れこんでギュッと秀一の頭を抱きしめた。
「秀一かわいいよなー!」
「やめてよ…」
俺がリードするはずだったのに…とボヤきながら眼鏡をかけた秀一の頭をぐりぐり撫でた奏真と一瞬見つめ合って、その一瞬で空気が変わった。
どちらからともなくキスして、舌を絡めて肌を撫でる。奏真の少し長い髪を耳にかけてやると、ピクッと小さく肩が跳ねた。
濃厚なキスの名残でぼうっとする頭で、今度はチュッと耳にキスすると、さっきよりも大きく肩が跳ねる。食んでみたり舐めてみたりすると、奏真は熱っぽい吐息を漏らして身を捩った。
「…ッ、ん…」
(これはッ…これは…ッ!)
やばいよ奏真くん、それは!
叫ぶのは心の中でだけ。
耳からうなじにかけての感度が抜群にいいらしい奏真は、ギュッと硬く目を閉じて声を殺している。その耐えている様がなんとも艶っぽくて、声高に喘がれるよりもむしろ興奮した。
知らず鼻息が荒くなった秀一は執拗にそこを舌先で愛撫して滑らかな腹や背中を堪能し、そして存在を主張し始めた奏真の雄にそっと触れた。
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