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第105話

危うく暴発しそうになったとはいえ最早限界である。先ほどの「なるべく丁寧に」という誓いを呪文のように胸の中で唱えながら手早くゴムを装着すると、秀一はゆっくりと細い背中に覆い被さった。 先端を充てがうと、ひく、と僅かに収縮する。それがまるでもっと奥にと誘われているようで、ここでも危うく勢いのままに突っ込みそうになった。 「痛かったら…言ってね。」 その忠告になんの意味があったのか、秀一にはわからない。痛いと言われてやめられるのかといえば全くもって自信がない。もはやマナーの問題だな、と失笑しながら、ゆっくりと怒張を埋め込み始めた。 「んッ…」 「痛い?大丈夫?」 「へ、き…」 三本の指がスムーズに動かせるようになるまで解したものの、若干引き攣るような嫌な音を立てている。とても平気そうには見えない。しかし本人が平気と言っているのにやめるのも違う気がする。 きっと、奏真なら無理なら無理と言ってくれるだろう。 秀一は奏真の様子を伺いながらゆっくりと時間をかけて全てを埋め込み、漸く繋がった時には二人とも既に汗だくで、しかし大きな幸福感に満たされた秀一は大きく息を吐いた。 「奏真くん、平気…?」 今日何度目かの問いかけに、奏真は何度か深呼吸したのちにちょっとだけ振り返り、僅かに微笑んで小さく頷いた。 その目元が赤くなっているのに気がつくと、もう奏真の存在が愛しくてたまらなくなって、秀一はギュッと強く抱きしめた。 腕の中の温もりに安心感を覚え、ゆっくりと動き始める。ずるりと抜け出すと追いかけるように中が収縮し、再び入り込むとキュッと締まって歓迎した。 「ふ、…ッん、ん…」 「奏真くん…、奏真くん、好き…」 「んあッ!ん、はぁ…」 喘ぎを堪えることに必死なようでコクコクと頷いた奏真に堪えなくてもいいのに、と耳元で囁いてやると、びくんと全身を跳ね上げた。恨めしそうに涙目で睨んでくるけれど、そんなの可愛いだけ。 睨んできた奏真の顎を掴んでこちらを向かせ、半開きの艶かしい唇に噛み付いた。 「ッ、…ふ、んんッ!」 「んっ…はぁ、奏真くんごめ…俺すぐ出そうッ…!」 「は、あッ…ん、いいよ、ッん…!」 そのいいよ、が気持ちいいよなのかイッていいよなのかわからなかったが、秀一はグッと一際自身を大きくし先程指で探り当てた前立腺を狙って腰を打ち付けた。途端に高い声を上げて崩れ落ちた奏真の腰を支え、空いている片手で蜜をこぼす奏真のものを握りこむと、ピストンと同時にしごいてやる。 「ひ、ぁあッ…ん、あッ!も、ッ…!」 「んッ俺も…!…くっ…」 奏真が僅かに早く達し、その過ぎる締め付けに耐えきれず柔らかな尻に腰を打ち付けて精を放った。

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