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第2話 夏の旅、それは恋人に会うための二

夏の旅、それは恋人に会うための 二、 2時過ぎにホテルに着くと、観光客の多い土地柄らしくこんな時間でもチェックインする人間がまばらにいる。 大人しく部屋に収まると部屋が狭いだの窓の外がチカチカ明るいだのそんな文句を言う暇もなくシャワーを浴びてベッドに直行した。 4時間ほど寝て、起きてもスッキリしない頭にコーヒーでも飲もうかと階下に降りる。 フロントがやたらと騒がしい。 パンパンに膨らんだザックや大きなスーツケースを持った観光客が派手な声でフロントとやり取りをしている。 そう言えばドイツで日本のニュースを見たときに二三日前に未曾有の災害が起きたとアナウンスされていたが今日外はもう太陽がギラギラとすっかり夏の天気だ。 疲れ切った様子のフロントマンもなんとか笑顔を見せて、たどたどしい英語で応対している。 ロビーにあった無料のコーヒーを注ぐとその側の椅子に座り今日からの予定を組み立てた。 京都まで行ったらまずどこに回ろうか。真名彦にはいつ連絡を取ろう。日本に行くとは伝えてないから、確実にいそうな12日という日を京都入りにしたんだけど、本当に居る? その時スマフォが震えてラインが入った。 ドイツからだった。 「 着いた?」 「 着いた 」 「 今どこ 」 「 大阪 」 「 大阪?京都までまだ行ってない? 」 「 深夜についたからな、大阪で仮眠 」 「 そっか、こっちでも話したけど例のライズハウス行ってみるか?」 「 わかんないよ、親戚の予定もあるし 」 「 親戚www www 」 くそ、wを長く繋げやがった 「 一応教えとくよ、お前の演奏は聞いたことあるって言ってたから楽しみにしてるかも 」 必要な情報をウェッブのスクショで送ってくると、 「 楽しめよ 」 とラインは切れた。 ドイツから普通にラインが届く、空であれだけ窮屈な思いをしてやって来たのが何か不思議な気がする。 距離感が狂うんだな。 でも俺は今回自分のサックスは持ってきてない。 日本で演奏する気もなかったってことだな…… 夢中になってたんだ早く着けって。苦笑いが出てくる。 その時はまったくそのライブハウスに行くかどうかまったく考えていなかった。 ただ、あれから一度も会っていない恋しい人の顔が見たかった。

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