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第13話 デルタ セッション
十二
ー デルタ セッション ー
橋の上から眺める◯川デルタは不思議な場所だった。屋敷森があるこんもりと繁った先に平らな丘がありそこから階段状になって一気に川へ降りられる。
その先には飛び石が配置され楽しそうに声を上げながら川を横断している子どもたちや若いカップル。
亀の形をした飛び石もある。
二本の川が合流する場所にうまい具合に橋が架かり自然にデルタに行け、それを楽しむ大勢の人。
川の町なんだな。
ホテルに車を置き京阪電車で一緒にここまで来た真名彦も、
「 ここで結婚式をしたって話は聞いたがな 」
とバンドセッティングを興味深げに眺めている。
「 ジュンヤさん 」
「 おう、キナト。もうだいぶできてるんだな、ごめんなもっと早く来れば良かったか 」
「 そんな大丈夫です来てくれただけで……
それ、なんで浴衣を 」
「 うん、ちょっと、夏だし夕方からだし 」
「 ……よく似合います 」
少し頬を染めて褒めるキナトは俺の横にいる真名彦に気がつくと、
「 あ、ジュンヤさんの?」
「 うん、俺の連れ 」
連れって言葉が何となくこそばゆい。
「 青木です。初めまして 」
真名彦さんを見て一瞬、あ、
と言ったキナトも慌てて挨拶を返す。
「 朝倉キナトと言います。よろしくお願いします 」
「 よろしくってキナト 」
俺が笑うとキナトもしまったという顔をしている。
「 ああ、よろしく。
俺は時間まで暇を潰しとくよ、ライブ6時半からだったな 」
そう確認すると真名彦は橋の方へ戻っていった。
チラホラと今日のメンバーの顔も見えてきた。俺が彼らの方に行こうとするとキナトが浴衣の袖を引く。
「 ドイツから浴衣を持ってきたの?」
「 へ?」
「 あ、なんでもない……すごく似合ってるから、いつも着てるのかなとか 」
「 まさか!さっき着せられたんだよ 」
「 着せられたって 」
困惑したキナトの顔色に俺は自分の失言に気がついた。
「 違うって、あの人義理の父親だからさ、京都に来たんなら浴衣着てみろって用意してたらしいんだよ、だからさ 」
「 義理のお父さん?」
「 そう、まぁそんな事いいじゃない、俺あっちに合流するから 」
強引にその話は切って今日演奏する仲間たちの方へ足を向けた。
キナトにはなんとなく嘘はつきたくなかった。だからこの話はもうここでお終いにしてくれよ。
書き手 honoluluより閑話
◯川デルタ
賀茂川と高野川が合流すると地点の三角州
市民や観光客の憩いの場となっている◯川デルタ
(一応無駄かもしれませんが伏字とさせていただきました)
ここでジャズライブができるかと問われれば、まったく創作の話ですので確認もしておりません。
あくまでも個人的妄想のなかの事ですので、どうか御容赦下さい。
できるか!と怒らないでw
でもとても良いところですね!
それではまた今日の夜から、続きをアップしたいと思います。
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