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第20話 逢瀬の終わりに 2
ー 逢瀬の終わりに 2ー
ベージュ色の寝具に倒れ込んだ時にはもう何回吐精したか覚えてもいない。
後ろから差し込まれる雄に腰だけ上げて嬌声を上げる声ももう掠れて、紡ぐ言葉にも意味はなくなっていた。
男どうしの吐き出せば終わりを迎えるセックス……
何度終わっても、まだほんとうの終わりは見えない。
どこまでいったらこの身体は満たされる?
何度も欲しがったのは俺の方なのに終わっても俺を離さず鎮んだ雄を昂めるのは真名彦の欲?
挿れたそのままに横たわった耳に川の流れる音が聞こえる。
自然の中に二人置かれたような空間に呼吸する音がして響く。
深く息注ぐ真名彦の息がこれよりないほど愛しい。
息と汗と晒し出す液と全てを忘れて肌を重ねて没頭する時は美しい整えられた離れの空間にゆったりと流れていった。
翌朝、一風呂浴びた後に外を歩いてみる。木々の間から見える川は
「 大堰川、桂川という名前ならわかる?」
「 あぁ、桂川なら前氾濫したってニュースになってた 」
「 そうか 」
朝から真名彦の言葉は少ない。でも、かえってそれが気を遣ってないように見えて心地が良いけど。
朝一番のトロッコ列車が通るのが見える。乗客が見えたので手を振った。振り返してくれる何人かに又大きく手をあげる。
朝食は部屋で朝鍋を食べた。
「 こんな風にゆっくりしたのは初めてだな 」
真名彦の言葉に、
「 俺たち、家族旅行もなかったからね 」
「 悪いことをした 」
「 言わないでよ、前も言ったけどそんな思い出より俺は今のあんたとこうな風にできるのが幸せなんだから 」
初めての贈り物、初めての旅、
俺の今の幸せは全てここにあった。
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