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6. 不安

『はぁっ、…んん。ぃや…っ』 だれ…? 『ま、って。も…やだ。やめ…っ』 誰が喘いでる。 それより…俺、あれからどうしたんだっけ? 「え!!っったぁあ!!」 思わず飛び上がると、視界が真っ暗で遮られていて頭を振っても真っ暗なのは変わらなくてアイマスクを付けられているんだと思う。 それに何か柔らかい生地の上に寝かされていて力を入れても意味がない。 極めつけには、手を動かそうとして頭の方に挙げられていて、何かで手首を縛られた状態で、辛うじて身動きは取れるものの今の状態から全く動けなくて、為す術なしの状態でどうしようもない気持ちになってくる。 それでもどうにかしようとしてジタバタ動いているとコツコツと革靴を鳴らしてこちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。 「やっと目が覚めたか。随分と眠りこけて居たようだな。寝込みを襲うと言うのは趣味じゃない。」 隣に人の気配を感じて、そちらの方を向くとヒンヤリとした掌が頬から下の方へと段々降りていく。 「はっ、俺に何の用?こんな野蛮な事する人とは付き合いないんだけど、俺。どこの誰か知らないけどこんな事して何がしたい訳?」 ここで、恐怖に怯えてるように見せてしまえば相手の思うツボだと思い、精一杯の虚勢を張るけれど、どこの誰だか知らない、しかもどこかも分からない場所に連れてこられて、怖くないと思う人が居るんだろうか。 「確かに。全く知らない人だったらそうだろうな。けど、俺は昨日君と酒を飲み交わしたはずなんだけどな。と言っても、あれから2時間ほどしか経っていないんだが。」 誰だか分からないやつの指先が首筋に差し掛かったと思った矢先に、柔らかいものが当たってビクリと身体が跳ねた。

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