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7 . 見えぬ男

「ひぃっ、」 それからすぐに、生暖かいものがスーっと撫でたかと思うと首筋にチクリとした少しの痛みが走った。 「っ…、なに?」 「はっ、周りから遠巻きに見られて男を取っかえ引っ変えしている割に、こういう所は初心なんだな。」 それが、やつの唇で生暖かいあれは舌だと分かるまで数分もかからなかった。 「本当に誰だよ、お前。相手を動けない状態にしてまで、こんな嫌がらせをしてくるなんてお前本当に性格悪いよ。そんなに俺に顔見られたくないような事した覚えないんだけど、俺。」 「そこまで言われちゃしょうがないな。正直俺はもう少し遊んでいたかったけれど。」 急にパッと光が目に飛び込んできて、アイマスクを取られたんだと分かった。 こうなったら、思いっ切り殴り倒して帰ってやる。 気色悪い事までされたんだ、こいつも文句は言えないだろう。 そう思って、警戒態勢で身構えていたのに… 「御堂院…さ、ん。」 視界が安定して、やっと見えたその姿は俺が第一印象から良いと思っいたその人だった。

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