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それが恋だと気づくまで――③
***
1年に穂高のことを聞く前に、はじまってしまった行為――。
音楽室の防音設備をいいことに、ふたりに向かってでかい声で文句を言いまくってやった。
「ちょっと待ってよ、まだ話の途中なのにさ」
「そんなの後にしろって。ほら1年、さっさと藤田のネクタイ解けよ」
「先輩、暴れないで下さい。俺も頑張って、感じさせてあげますから」
(――テメェは頑張らなくてもいい。とっとと穂高の情報を寄越せ!)
苦情を告げる前に大谷先輩に唇を塞がれた。
「んぅ…ぁ、はあ…あぁっ」
1年は俺の背後から両手を使って身体を念入りにまさぐりながら、首筋に舌を這わせてきた。
「や……っめ、…っ!」
ふたり同時になんて、身体が持たないって――。
「藤田先輩の肌って、すっげぇきめが細かいっすね。色も白いしキレイだ」
耳元であやしく囁き、耳朶を唇で食みながら音を立てて吸い上げる。
「っ…ひっ…ぅ……あ、っ」
「そこら辺にいる、女子を抱くよりも気持ちイイんだぜ。それに……おい、両腕を押さえ込め」
大谷先輩の指示に従い、俺が暴れる前に拘束されてしまう。
上半身を半裸にされた時点で何かをされるのが明らかすぎる展開に、ふたりを鋭く睨みつけてやった。
「痛いだろ、放せって!!」
「藤田のこういう強気なトコ、俺は大好きだよ。その鼻っ柱をへし折るべく、気持ちイイことをたくさんしてあげるからな」
薄ら笑いを浮かべて俺のベルトに手をかけて外し、下着と一緒にスラックスを手早く下ろされる。
「何だかんだ言っても、俺らの愛撫にしっかり感じてんじゃん」
「え~っ、俺ので感じたんですって。ゾクゾクしたでしょ?」
あー最悪。こんなヤツラに感じさせられて、勃ちゃってる俺が一番最悪か……。
「甘いな1年。藤田が感じまくったら、ココがな――」
言いながら顔の右半分を覆ってる前髪に手をやり、無理矢理に頬のキズを露わにされた。
(――見られたくないキズを、勝手に晒すんじゃねぇよ)
抵抗すべく首を横に振ったけど、大谷先輩の両手で呆気なく押さえられ、背後にいる1年に見えるように、キズ痕を晒されてしまった。
「キズの盛り上ってる部分、ココな。感じてくるたびに、どんどんピンク色になるんだぜ。激しく動かしたら髪の隙間からそれが見えるんだけど、そりゃあもう、エロいの何のって」
「いいっすね。見てみたいな」
穂高につけられたキズが、あろうことか目の前にいる男たちの欲情に駆り立ててしまう道具になるなんて。
「……見るなよ、この変態っ!」
悔し紛れに吐き捨てた言葉だったけど効果があるワケがなく、宣言通りにふたりのオモチャにされて、卑猥な喘ぎ声をあげるしかなかったのである。
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