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千秋のホストクラブ体験!

 穂高さんと一緒に線香花火を楽しみ、オマケと称して外でも楽しんでしまい――(穂高さんがコソッと言ったんだ、これはオマケだよって)  その後、何故だかキ○ィのパーカーを無理矢理に着せられてしまった。  コスプレさせられた腹いせに家に帰ってから、穂高さんを襲ってやったんだ。押し倒した俺の顔を仰ぎ見る顔が、嬉しそうなことこの上ない! 『ほらほら、どうしたんだい千秋? お口も手も、さっきから止まっているが』 「やっ、こっ、これからが本番だって」 『ほほぅ、本番ね――服を着たままヤろうなんて、さっきの続きをしようと考えていたりするのかい?』  フードに付いてるネコ耳が、ふるふると震えているよ。なんて言われてしまい、ますます恥ずかしくなってしまった。 『そんな格好で扇情的な顔をされたんじゃ、ある意味拷問に近い。俺のココが、千秋を求めてるのを分かっているクセに。ワザとこんな風に焦らすなんて』  言いながら、ぐいぐいっと下半身を押し付けてくる。    窓から入ってくる月明かりで穂高さんの表情が、とても切なげにしているが見えても、恥ずかしさを妙に意識してしまってから、指先ひとつすら動かせないとか……。 『ね、前と後ろ、どっちからがいい?』 「へっ!?」 『ネコ耳フードを被ったままの君を、どうしてヤろうかといろいろ考えたのだが。アングル的に、どちらも捨てがたいくらいにオイシイな、と』 「……オイシくないです」  何でこれ被ったままスる前提でいるんだ、この人は―― 『よし、両方試してみようか!』 「えぇっ!? ちょっ、待っ――うわぁあっ」  居間の床の上へと俺の身体を簡単にチェンジした穂高さんに、驚いたり呆れたり。 『腰が痛くならないように、クッションを敷かないとね。まずは、前からトライしてみようか。千秋の感じる顔、たくさん見たい』 「もぅ、たくさん見てるクセに」 『何を言ってるんだ。今の姿は、普段見られないものだろ。ただでさえ可愛いのに、そんな格好をしているからどうやって啼かせようか、いろいろ考えてしまってね。ふっ』  しまったと思った時には既に遅く、穂高さんの手によって散々感じさせられ、出なくなるまで絞らされる展開に発展してしまったんだ。  そんな状態だったので目が覚めた時には、お昼近くになっていた。隣で寝ていたであろう穂高さんは、とっくにいなかったのである。 「俺なんかよりも充分に動きまくっていたハズなのに、体力の差なんだろうな。穂高さん、恐るべし……」  アッチの引き出しと体力が比例していると思いながら、何とかベッドから抜け出し、手早く着替えてから居間に顔を出した。  テーブルの上にはサンドイッチが用意されていて、どこにもいない彼をキョロキョロしながら捜したら、窓の外に見える大きな背中を発見。  楽しそうな表情で、洗濯物を干しているではないか。俺ってば、グータラ亭主みたいなんですけど!  慌てて窓辺に向かい、ガラガラと音を立てて開け放った。 「穂高さん、おはようございます! いろいろとスミマセン……」  元気よく挨拶したものの、最後は小さな声になってしまった。 「おはよう、千秋! よく眠れたかい?」  太陽並みの眩しすぎる笑顔で訊ねられて、ムダにオドオドするしかない。テンションが高いのはいつものことなれど、どうしてこんなに明るく接してくれるのやら。  もしかして明日帰ってしまう俺が暗くならないように、必死に笑いかけてくれてたりするの? 「あの……お陰さまで、今までグッスリでした」 「そうか、それは良かった。お腹が空いてると思ってお昼作っておいたから、遠慮せずに食べるといい」 「ありがとう、ございます。でも洗濯物干すの手伝いますよ。ひとりより、ふたりでした方が――」 「いいからいいから! 君は言われた通り、お昼を食べること。いいね?」  俺の下着をぎゅっと握りしめて、熱い口調で説得される件について突っ込みたいのだけれど、何故だか口を開かせてくれない妙な雰囲気が伝わってきて、頷くのが精一杯な状態だ。 「お昼を食べ終えたら、ヤスヒロのところに顔を出すといい。一緒に遊べるのは、今日が最後になってしまうから。思う存分に構ってやるといい」 「……穂高さんは、その……寂しくない?」  一緒にいられる時間が限られているのに、康弘くんと遊んでしまって寂しくはないのだろうか?  ――俺は正直なトコ、ずっと一緒にいたいのにな……。 「寂しくないと言い切りたいが、千秋は俺だけのものじゃないんだし。それに今までずっと、独占しまくったんだから少しはヤスヒロに、お裾分けしてやらねば、ね」  肩を竦めて柔らかく微笑みつつ、手に持っていた俺の下着を音を立ててシワを取り、丁寧に干してくれた。  やっぱり穂高さんは大人だな。俺なんかよりも余裕あるし、そんな風に笑っていられるなんて。 「じゃあお先にお昼、戴きますね……」  ありがとうございますと一言添えて、窓を閉めた。 「俺が一緒にいたいって強請ったら、いさせてくれたのかな」  少しでも穂高さんの傍にいたいのに。こう思うのは、やっぱりワガママなのかな――。

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