41 / 117

ドキドキハラハラのハロウィンナイト⑨

✽.。.:*・゚ ✽.。.*・゚ ✽.。.*・゚ ✽.。.*・゚ ✽.。.*・゚  穂高さんは嬉しそうな表情をしながら、両手をテーブルに向かって合わせた。 「ご馳走様でした。千秋が食べさせてくれたお陰で、とても美味しく戴くことが出来た」 「それは良かったです」 「お礼に、俺が食べさせてあげよう。こっちを向いてごらん」  自分で食べようとテーブルに向き合った途端に、告げられてしまった言葉。これって――。 「いえいえ、とんでもない! 穂高さんには晩ご飯を作ってもらっただけじゃなく、俺のせいで鼻血が止まらなくなったりして、お疲れでしょうから。自分のことは自分でしますので」  用意されていたスプーンを手にしようとしたら、脱兎のごとくそれを奪い取る。 「穂高さん……っ!」  声を荒げて呼んだのに、しれっとした顔をして胡坐をかき、左手でここに座れとジェスチャーしてきた。俺の気持ちをスルーする技に、いつものごとくなす術がない。 (お休みだった今日一日、一緒にいられなかったストレスが、こういう弊害で表れるとは――)  仕方なくスカートの裾を押さえながら、横向きに座ってあげる。この方が、食べさせやすいよね。  観念して座った俺の頭を撫でてから、持っていたスプーンで炒飯を掬ったけれど。 「ああ、そうか……」  ひとりで何かを納得して掬ったものを半分の量にしてから、俺の口に運んできた。 「今の千秋は、可愛い女のコだからね。いつもより、一口が小さいだろう?」  俺としてはいつも通り食べようと思っていたのに、こういう細やかな気遣いが穂高さんらしくて、呆れ果てるやら尊敬するやら……。 「ありがとうございます」  両端の髪の毛を両手で押さえながら、スプーンにぱくっとかぶりついてみた。冷めていても美味しい穂高さんが作ってくれた炒飯に、自然と頬が緩んでしまう。 「とっても美味しいです、穂高さん」  口の中のものを飲み込んでから満面の笑みを浮かべて告げると、辛そうな顔をして眉根を寄せた。 「……ぃ」  ぼそっと告げられた台詞は、はっきりと聞こえたものじゃなかったけれど、なんとなく想像ついてしまった。だから――。 「わ、わたしを食べるのは、食後にしなきゃ。途中でお腹が空いちゃうでしょ?」  自分の身体を両手で抱きしめて、上目遣いで見つめながら告げてみせたら、瞬く間に真っ赤になる穂高さんの頬。もしかして、誘惑に成功してる感じ? 「千秋……そんなことを言って、俺を煽るなんて悪いコだな。罰として、残さず俺の作った料理を食べること。今すぐに!!」  さっきは一口分を小さく掬ったのに、いつものように大きく掬って、俺の口に次々と運ぶ始末。目を白黒させながらそれらを飲み込み、慌ただしく夕飯が終了したのだった。

ともだちにシェアしよう!