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ふたりきりのクリスマスナイト☆②
***
よくよく考えたら俺は千秋に、食べ物ばかりをあげている。美味しそうに甘味物を食べる、可愛らしい千秋を見ているだけで、食べたくなってしまうせいだが――。
顎に手を当てながら、スマホで検索している商品に視線を落とした。現在、漁の休憩中。揺れる船の中で、何を贈ろうか検討していた。
「難しい顔しながら、なぁに鼻の下伸ばしとるんじゃ? どーせおめぇのことだ、おとーとのことでも考えていたんだべ?」
タバコを咥えた船長がずばりと指摘してきたので、一応顔を引き締め、にっこりと微笑んでみせた。果たして、誤魔化しの笑みになっているであろうか。
「さすがは船長。俺の顔を見ただけで当ててしまうとは」
「なぁに言っとるんだか。褒めても、何もやらんからな」
ガハハと豪快に笑いながら美味しそうにタバコを吸い、ふわりと煙を燻らす。こういう姿を見ると、無性にタバコが吸いたくなってしまうときがあった。
「それよか、さっきから携帯いじって、調べ物か?」
「はい。千秋に贈るクリスマスプレゼントは、何がいいかと思いまして」
「そんなに迷うことでもないべ。井上から貰ったものなら、どんなものでも喜ぶだろうさ」
「……いい加減なこと、俺はできません」
ばこんっ!!
言った途端に、頭をぱーで叩いてきた。容赦しない人だから、痛いの何の……。
「アホんだら! おめぇがおとーとから、そこらへんに落ちてるゴミを手渡されても、喜んで受け取るだろうよ」
「ゴミはさすがに、ちょっと……」
「それでも、受け取るじゃろ?」
船内に響き渡る様に怒鳴られ、慌ててこくこくと頷く。
「好きなヤツから貰える物は、どんなものでも嬉しいもんじゃ。難しく考えるだけ無駄だべや」
そんなことを言ったのに、15分ほど休憩時間を伸ばしてくれた船長。お蔭で迷いが吹っ切れて、気軽にとある商品をポチッてしまった。
果たして当日、うまく渡せるであろうか。それだけが心配だったりする。
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