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ふたりきりのクリスマスナイト☆③

***  職場で仕事をしながらちょっとだけ咳払いをしたら、隣の席のおじさんに顔を覗き込まれてしまった。 「紺野くん、いつもより顔が赤いけど大丈夫? 今の咳も、風邪からくるものかもよ?」  年末を控えた忙しい時期。誰かが風邪を引いて、他の職員さんにうつしたら大変なことになるのが容易に想像ついたので、早退させてもらうことにした。 (朝から少しだけ喉が腫れていたから、それ用の飴を舐めて、すぐに治したんだけどな)  お先に失礼しますと大きな声で告げて、事務所を出た足で診療所に行き、風邪薬を貰って自宅に帰って来たんだけど――。 「…………」 「…………」  目の前の状況を、なんて説明すればいいのか――昼間のこの時間帯、いつもなら穂高さんが寝ている頃だと思ったので、なるべく静かに家の中に入ったのは当然の行動だった。  そう――物音を立てなかったからこそ、耳にはっきりと聞こえてしまった。 『はっ……ぁあ、ンンっ』  聞き覚えのある艶っぽい声に、心臓がバクバクする。 (――もしかして、穂高さんが誰かと浮気しているのか!?)  恐るおそる扉を静かに開けてみた瞬間、俺の目に映ったものは、寝室でベッドに腰かけて自慰をしている、愛しい恋人の姿だった。 「……ち、千秋っ!?」 「ぁ、あわわ……」  目が合ったときはお互い状況が飲み込めず、声を出すことができなかったけれど、把握した途端にふたりして赤面するしかなかったのである。

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