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ふたりきりのクリスマスナイト☆④

 耳まで真っ赤になった穂高さんに対し、俺はマスクを装着しているので、困惑しながら赤くなっている顔を見られることはないのだけれど。  ――見つめる視線の先は、どうにも隠せない……。  そんな俺の視線に気がつき、足元にあった下着と一緒にスエットのズボンを慌てて履いた穂高さん。しかし大きくなっているモノは、ズボンを履いても隠せるわけがない。 「参ったな――」 (俺も参ってます。まさか穂高さんが、こんなことをしているなんて)  途方に暮れて立ち尽くす背中を向けた彼に、何て声をかけたらいいんだろう。  見られた側は恥ずかしいものがあるだろうし、見ちゃった方は見てはいけないモノを見てしまった罪悪感に近い感情があって、どうにも居たたまれないんだ。  それにお互い、仕事の関係ですれ違っているから、溜まってしまうのも分かるだけに、何やってるんだよなんていう文句は言えない。 「……千秋。そのマスク姿は風邪引いて、早退してきたのかい?」  顔だけ動かしてちょっとだけ振り返り、俺をチラッと見る。恥ずかしさの中に心配しているような感じが、声色から伝わってきた。 「ぅ、うん。軽いうちに治した方がいいって、職場のおじさんに言われてしまったんです。診療所に寄って、風邪薬を貰って来ました」

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