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ふたりきりのクリスマスナイト☆⑩

***  クリスマスイブ当日、漁から帰ってきた穂高さんの仮眠をとった後、一緒に狭い台所に並んだ。 「ゴメンね穂高さん。クリスマスイブなのに……」 「クリスマスイブだからだろ。ヤスヒロがパーティしようと誘ってきたんだから、それに付き合ってあげなければ」  隣に住んでいる小学2年生の康弘くんに、仕事から帰ってきた昨日、いきなり一緒にパーティしようと誘われてしまい、あまりに楽し気なその様子に、断ることができなかった。  親子二人暮らしの康弘くんの家と、表向き島では兄弟で住んでいる俺たち。何かあると互いに助け合ったり、いろいろとお世話になっていることもあって、穂高さんに聞く前にOKしちゃったんだよね。  大鍋をかき混ぜる穂高さんの横で、ちょっとだけ焦りながら木べらを使ってホワイトソースを作っている最中。はじめて挑戦するそれに、困惑を隠しきれなかった。 「クリスマスプレゼントに、千秋の作ったホワイトシチューが食べたいなんて、ヤスヒロの奴は贅沢だな。俺だって、まだ食べたことがないというのに」  不機嫌そうに告げる穂高さんの文句にすら、目の前のフライパンのことにいっぱいいっぱいで、上手く対応できない。ダマにさせずなおかつ焦がさないように、木べらを動かし続けなければならないんだ。 「必死になっている千秋の顔、すごく美味しそうだね」 「俺じゃなくフライパンの中身について、美味しそうだと言ってほしいです」 「両方美味しそうじゃ、駄目なのかい?」  大鍋の前から俺の背後に移動して、ぎゅっと抱きしめる。布地の上から伝わってくる穂高さんのぬくもりを感じてドキドキしたけど、それどころじゃないんだ。もう少しで完成するのだから。 「いい匂いがする。できることなら、この場で食べてしまいたくなるね」  くんくんと俺の匂いを嗅ぎまくり、はむっといつも咬む肩口を服の上から甘咬みしてきた。注意しないのをいいことに、やりたい放題してくれるな。 (というか仮眠前にイチャイチャしたというのに、まだ足りないんだろうか――) 「穂高さん、そうやってくっつかれると、やりたいことができなくなりますよ?」 「やりたいこと?」  そう口にしつつも、俺に頬をすりすりしまくる。左手が不自然な感じで下りているのは、ナニかを狙っているからでしょうねぇ……。 「早く調理が終わったら夕方までフリーなんだから、それまで好きなことをして過ごせますけど」  その言葉で下りていた左手の動きがぴたりと止まり、ぱっと俺の身体から両手が離れていった。  無言で振り返ると、満面の笑みを浮かべた穂高さんがひとこと。 「何か手伝うことがあれば、遠慮せずに言ってくれ。手早く終えてみせるよ」  なぁんて言ってきたのですが、お手伝いは丁重に遠慮してもらい、淡々と調理を遂行したのでした。  しかし無駄に焦らした結果、調理を終えた途端に穂高さんの肩に担がれ、寝室に連れられてしまったのは言うまでもない。

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