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ふたりきりのクリスマスナイト☆⑫
***
空っぽになった大鍋を手に、徒歩三分の道のりを穂高さんと並んで歩く。今夜は冷えるせいか空気がとても澄んでいるため、夜空の星がすごく綺麗に見えた。
「帰ったら直ぐに、千秋はシャワーを浴びるといい。その間に俺は、居間をクリスマス仕様に飾りつけしておくから」
「それなら、一緒に作業したほうが――」
「いいや。これも千秋への、クリスマスプレゼントの一環なんだ。楽しみにしていてくれ」
ニコニコしている穂高さんの顔を、黙って見上げる。何だかとっても素敵なプレゼントを、もらえちゃう気がするよ。
「ありがとう、穂高さん。楽しみにしていますね」
インテリアコーディネーターのお仕事をしたことがあるという彼だから、雰囲気のあるものにしてくれそう。だがしかし……。
俺ってば、穂高さんへのクリスマスプレゼントがありきたりな物なんだけど、喜ばれるだろうか。恋人に対して相応しいであろう贈り物がどうしても思いつかなくて、普段使いの小物にしちゃった。
「今夜はやけに冷えるな。ホットワインにするのもありか」
なぁんて、ぶつぶつ呟く彼の横顔を盗み見る。そんな俺の視線に気がつき、不思議そうな顔で見つめ返してきた。
「どうしたんだい?」
「やっ、えっと……風邪引かないようにしなきゃなって。本当に寒いよね」
「千秋にあたためてもらうから、全然問題ないけどね。ふっ!」
艶っぽく微笑む穂高さんの表情を見るだけで、頬に熱を持ってしまう。昼間、散々致したくせに――。
こうして仲良く家路に辿り付き、それぞれシャワーを浴びてから、ふたりきりのクリスマスパーティが始まった。
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