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ふたりきりのクリスマスナイト☆⑬
***
折り畳み式のテーブルには、お洒落なテーブルクロスがかけられていて、その上に真っ白くて小さなクリスマスツリーが、LEDのライトを煌かせていた。
目を見張るのはそれだけじゃなく、穂高さんお得意のキャンドルを使った間接照明が、そこかしこに点灯されていてムードが満点だった。
「この短時間で、こんなふうにお洒落に居間を変身させちゃうなんて、穂高さんはすごいです! しかも花の香りも漂っていて、自然とリラックスしちゃうかも」
「今回は、アロマキャンドルを使ってみたんだ。嫌な香りなら、すぐに消せばいいかと思って。その様子だと大丈夫そうだね」
俺の手にはオレンジジュース、穂高さんの手にはホットワインが握られていて、視線が合うと同時に乾杯をした。
「穂高さん、いつも俺のために尽くしてくれて、感謝しています。これ、クリスマスプレゼント。ありきたりかもしれないけれど、どうぞ受け取ってください」
赤と緑のストライプのリボンを巻き付けた箱を、いそいそと手渡しする。
「俺も千秋に感謝しているよ。傍で支えてくれるお蔭で、頑張ることができるからね。俺からのプレゼント、受け取ってくれ」
ちょっとだけ震える感じの声で告げるなり、勢いよく差し出してきた緑色の大きな布地の袋。どこからしくない穂高さんの様子に、小首を傾げながらそれを受け取った。
(ん? 結構かさばるものが入っているのかな。大きさの割に重さはないぞ)
金色のリボンを解いて、袋の中身を見てみる。何やらごちゃっと入っていたのを目で確認し、一番手前にあった細長い箱を手にした。
「千秋、これ欲しかったものだよ。よく分かったね」
箱を開けようとした矢先に、感嘆の声が部屋に響いた。
穂高さんにプレゼントしたものの一つは、防水防寒用の手袋だった。今回これを贈るのに、ネットなどでいろいろ調べてみたんだ。
長く使っていると水が滲みてきて使えなくなるらしいので、穂高さんが現在仕事で使っているものも、駄目になってきているんじゃないかと判断。レビューで良さそうな商品を選び、洗い替えと一緒にプレゼントしてみた。
「恋人に贈るにしては正直、色気のないもので申し訳ないんだけど、そうやって喜んでもらえて良かったです」
「手袋だけじゃなく、あったかそうな靴下まで……」
「穂高さんは冷え性だから、風邪を引くんじゃないかと心配だったから。その靴下、生地が薄いのに保温性が抜群で、しかもムレないと評判のものなんですよ」
言いながら細長い箱を開けてみたら、すっごくお洒落なネクタイが入っていた。見たことのある某ブランド商品である。
「千秋の持っているスーツに、似合うものにしてみた。派手な感じじゃないし、普段使いができるだろ?」
「ありがとうございます。これを締めて、仕事納めを乗り切りますね」
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