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ふたりきりのクリスマスナイト☆⑯

「渡してくれって。穂高さん、本気でこれらを着る気ですか?」 「ん……。思い出に残る、クリスマスにしたいからね」  いやいや。それって自ら、黒歴史を作ろうとしているだけだと思う。それに――。 「思い出作りのために着る気満々なのは分かるんですけど、多分これは穂高さんのサイズじゃ、無理だと思うんですよね」  落としてしまったTバックを手にし、小さな三角形に指を差して、これこれと見せつけてみた。 「この布地の大きさだと、俺のでギリギリかなって」 「千秋のサイズが分かっていて、それを注文しているからね。当然だろう」 「やっ、そ、そうなんですか。だったら穂高さんのじゃ、絶対に無理ですね……」  俺のすべてを把握しているからって、こんなものを注文するなんて――。 「はみ出たら出たで、セクシーな感じには」 「なりませんっ! 絶対になりませんから。罰ゲームにしか見えないですって」  想像するだけでも、ものすごい絵面になるというのに。 「だったらいっそのことミニスカートの中は刺激的に、ノーパンにトライしてみようかな」  顎に手を当てて考えること、三秒で導き出された恋人の爆弾発言に、何て返事をすればいいんだ。 「千秋がこの島に来て、はじめてふたりで過ごすクリスマスのいい思い出を作るために、俺は全力で頑張るよ。さあ衣装を寄こしてくれ」  思い出作りのために進んでノーパン宣言をした穂高さんへ、手にしている物を渡せるわけがない。だってこれは――。 「下処理をしなきゃならないので、少しだけ時間をください。穂高さんが悩んで用意してくれたんですから、着ないわけにはいかないでしょう?」 「どうして、悩んだって分かったんだい?」  かさばるので一度すべてを袋の中に戻し、ふらりと立ち上がった。 「ネクタイ、俺が持ってるスーツに合わせて選んだって言っていたから。他の物もきっと、考えてくれたんだろうなと思ったんです」  そこに穂高さんの邪な気持ちが、全開で丸見えですけどね。 「千秋……ありがとう」  お礼の言葉を背中で聞き取り、左手をひらひらさせて居間を出た。  どんな格好をしても自分で全体像を見られないんだからいいやと、諦めに似た思いを胸に抱えたのだった。

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