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―純血の絆―②その1

 頬を撫でる風が冷たい。どうしてだろ? 10月の北海道は本州に比べて寒いんだから、窓を開けて寝るなんてことは絶対にしないのに、まるで家の窓を全部開けて寝ているみたいだ。 「う……ん?」  うっすらと目を開けたら金髪の頭が視界にバッチリ入ったのだけれど、それだけじゃなく――まるで飛行機の座席から見た外の景色と言ったらいいのか、何故だか雲の上を飛んでいた。誰かの背中に乗っかった状態という形で……。 「ひいいっ! 何で空を飛んでるの!?」 「また目が覚めた。催眠術が効かなくなってきているのは、どうしてだろうか」  金髪の男の人が首を動かして、ちらっと振り返った。その目が鮮血のように赤く光輝いていて、見た目はすごく怖いのに、恐怖心が一瞬で吹き飛んだ。だって――。 「ほ、穂高さん!?」  栗色の髪の毛と闇色の瞳じゃない、まるで外国人の容姿になっていたけど、聞き慣れた声は間違いなく穂高さんだった。 「千秋、いろいろ聞きたいことがあるだろうが、抵抗せずにこのまま俺の背中に乗っていてくれ。あと1時間弱でイタリアに到着する。屋敷に着いたら、落ち着いて話をしてあげるよ」 「はい……」  その言葉に穂高さんの首にぎゅっと腕を絡みつかせて、頷きながら返事をした。  高所恐怖症ではないけど、この高度から落ちたら間違いなく死んでしまう高さなのは分かるし、自分を背負いながらこうして空を飛ぶことは、すごく疲れることだろうと理解したので、あえて口を開かずにそのままでいてあげた。  地上に降りたら質問攻めにしてやろうと、頭の中で穂高さんに対する疑問を投げかけるべくたくさん考えて、イタリアに到着するまでの時間を過ごしたのだった。

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