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―純血の絆―②その2

***  躰に伝わってくる穂高さんの暖かさや眠気なんかで、うつらうつらしていたときだった。 「千秋、そろそろ屋敷に到着するよ」  言うなり俺の躰を背負う形で、一旦空中に浮く。恐るおそる足元を覗き込んでみると雲の隙間から見ることができたのは、日の光を浴びた屋根が道に沿ってたくさん並んでいる景色だった。 「この家の中に、穂高さんのお父さんのお屋敷があるんですか?」 「ん……。久しぶりに来たから、どこにあるのか迷ってしまった」 「え!?」  ちょっと待って。イタリアにきてまで穂高さんのドジが炸裂するなんて、困り果ててしまうよ。 「お屋敷の目立つ特徴とか、目印はないんですか?」  首をひねって考え込む大きな背中の上で泡食った感じで声をかけたというのに、キョロキョロしながら鼻をくんくんさせる。 「前回来たときも匂いを頼りにしたから、屋敷の特徴は覚えていない。あっちだ」  匂いを頼りにするって、まるで警察犬みたいだな――。  先ほどよりも速度を落として飛んでくれたので、雲の隙間から見え隠れするイタリアの景色を楽しんでしまった。  上空から見ると薄茶色っぽい同じ色の屋根の建物があるばかりで、これといって目立つ特徴のものがまったく見られなかった。自分の中にあるイタリアといえば、国旗の色同様に華やかなイメージだったので、目の前に展開されている地味目な景色には驚きを隠せない。  だけど空の色を映し出している海の色がとても青い綺麗な色味は、南国の海っぽくてとても目に優しい。  俺を背負ったまま雲の上を飛行しながら、お父さんが住んでいるというお屋敷に向かう穂高さん。やがてそれを見つけたのか、一気に下降して地上に降り立った。

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