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クリスマス☆ナイト次の日②
……途中から、記憶が曖昧なんだよな。だって――。
ローションが入っていた包みに視線を落としながら、頬を赤くするしかない。
コレを口で開けるときの穂高さんの顔が、どこか切羽詰まった表情だった。俺を見ながら荒々しく封を切り、にじり寄ってきてから、ぎゅっと抱きしめてきたっけ。
ただ抱きしめられただけなのに、どうにかなってしまいそうな快感がぞくぞくっと身体を駆け巡っていったのを、しっかりと覚えている。
あとは――。
(駄目だ。どうにも口に出せないような卑猥な内容だけしか、頭に浮かんでこない……)
酔うと堪らなくHになると穂高さんに言われていたのに、分かっていながらどうして注意しなかったんだ俺!!
ひとしきり深く反省しつつ、テーブルの上の食器を片付けてから掃除機をかけて、フローリングの床を丁寧に水拭きした。
あともう少しで終わるというところで、後ろから大きなものに抱きつかれてしまう。
「っ、穂高さん……。もう少しで終わるんですから、離れてくださいよ」
離れてと言ったのに、ぎゅっと更に腕の力を入れるなんて。
「おはよ、千秋。昨日の後片付けを、ひとりでさせてしまってゴメン」
珍しく掠れ気味の声に屈んでいた姿勢を起こして、穂高さんの顔を見やる。
「大丈夫? 声がすごく掠れているけど……」
「ああ、これね。もう無理だと言ってるのに、千秋があんなことやそんなことをして、俺を悶絶させた名残だから」
……あんなことやそんなことって、俺ってば何をやったんだろ? 逆に怖くて聞けないや。
「千秋こそ大丈夫だろうか? あんなに激しく動いた後だから、どこか痛めたりしていない?」
言いながら腰を撫で擦る。いやらしい感じじゃなく、労わるような感じで。
「それがどこも痛くないですし、むしろいつもよりぴんぴんしています。多分、しっかりと眠ることが出来た、お陰だと思うんですけど」
「……正直、眠ったのは朝方だから、いつもの睡眠時間と同じだと思うのだが――激しく動いたせいで、深く寝入ったといったところなのかもしれないね」
腰を擦っていた手がゆっくりと上半身の前へと移動し、いきなり胸の頂に触れてきた。
「あっ、あの穂高さん……ちょっとだけ痛いです」
いつもなら感じてしまうというのに、擦れたような痛みを感じたので、触れている手を阻止すべくぎゅっと掴んでしまった。
「……良かった」
「はい?」
「君が俺の手に、感じなくて良かったと思って。お互い身体が万全になるまで、愛を確かめ合う行為はお預けだね」
お互いの身体が万全になるまで? それって、どういうことなんだろ?
「……どうして乳首が、触れられただけで痛いんだろ。穂高さんもどこか痛むの?」
小首を傾げながら告げると、唖然とした表情になった。
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