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クリスマス☆ナイト次の日③

「昨日のアレを、覚えていないというのか!? 千秋が自ら俺のナニに、乳首を擦りつけてきたり、他にも激しくあ――」 「わーっ! 全部じゃないですけど、一部分は覚えていますから! わざわざそれを、言葉にしないでくださいっ」  そのまま口にされてしまうと、手に持ってる雑巾を穂高さんの口に突っ込みそうになるじゃないか。 「分かった。もう言わないが、ひとつ確認しておきたいことがある」 「な、何でしょうか?」  ゴクリと唾を飲み込み居住まいを正した俺を、真剣な眼差しで見つめてくる。 「普段のHは、満足しているのだろうか?」  微妙に震えた声色で訊ねられた卑猥な質問に、一気に身体の力が抜けてしまった。  まったく……真面目な顔して、すごいことを聞いてこないで欲しい! 「満足するも何も、出なくなるまで責め続けてくるのは、どこのどなたでしょうか?」 「それは俺なのだが。千秋がきちんと、満足しているのかを知りたくてね」 「……満足してますから、安心してくださいっ」 (――恥ずかしすぎる。アッチに関して、エキスパートな穂高さんの手にかかった時点で、俺の卑猥度が勝手に上昇した上で、お腹いっぱいに満足しているというのに……) 「本当に?」 「疑われる、意味が分かりませんっ!!」 「『そんな腰の動きじゃ、俺を満足させられませんよ。ちゃんとしてくらさい』と昨日、君に言われてしまってね。もしや普段から、満足していないんじゃないかと思ったんだ」  酔っ払った俺、最低……穂高さんに対して、何てことを言ったんだ。 「きっと酔いすぎていて身体の感覚が、麻痺していたんじゃないでしょうか。じゃなきゃ、おかしいですって。いつも、すごーく感じさせられているのに」 「感覚が麻痺……。だから絶倫だったのか」  ぜ、絶倫って、あの――それは、穂高さんの称号じゃないですか。 「う~~~っ」  恥ずかしさが頂点に達した俺は穂高さんの手を振りほどき、持っていた雑巾を使って、残りの床を拭き始めてしまった。  それなのにまたしても後ろから抱きついてきて、俺の動きを阻止する意地悪な恋人が、すりすりと頬擦りをしてくる。 「……穂高さん、もう少しで終わりますから。それに、髭がチクチクして痛いですよ」 「それは済まなかったね。直ぐに身なりを整えて、痛くない頬でやり直そう。あとは――」  何故か妖艶な笑みを浮かべて、俺をドキッとさせる。 「もう金輪際、千秋にはお酒を呑ませないから安心してくれ。絶倫になった君は、俺もお手上げ状態だったからね」  なぁんて言いつつも俺が大丈夫な規定量のお酒を呑ませ、酔わせてしまえば大丈夫だと分かった穂高さんが、年にあるイベント(盆暮れ正月やVD・誕生日など)のどれかで狙い澄ますなんて、夢にも思わず――。  告げられた言葉に安心しきった俺は、年内に行われるイベントで後悔する羽目になろうとは、思いもしなかったのである。  めでたし めでたし。。。なのか!?

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