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―純血の絆―②その5

「ち、あきっ……、ぁあ、千秋っ、はや、く血を……」 「俺の血を飲みたいの?」  恐々と声をかけたのが合図になったように、赤い目を光らせながらいきなり起き上がって俺の左腕を掴んで引っ張ると、ベッドの上に磔にされてしまった。  俺に跨っている穂高さんは、息を切らしたまま苦しげに顔を歪ませていた。それに見惚れる間もなく日の光を浴びた金髪が音もなく近づいたことに驚いていたら、首筋の皮膚を突き破る痛みを感じた。 「いっ!」  だけど痛みを感じたのは一瞬で、その内に首筋を愛撫されているような感じに思えてきた。それは時折舌先で、肌を舐められるせいかもしれない。 「ああぁっ、やっ!」  じゅるるという血をすする音を聞いている内に、変な気分になると同時に下半身がどんどん熱くなっていく。それが分かっているのか、穂高さんがズボンのファスナーを下ろして手を突っ込み、大きくなったモノを引っ張り出した。 (何もしていないのに、どうしてこんなことになっているんだ!? しかも突き立てられた穂高さんの牙が、熱くて堪らない。それを感じるたびに下半身が疼いてしまう) 「らめぇっ……ほらかさ、触らないで」 「千秋、声を落とさないと外まで響いてしまう。昔の家は壁が薄いから、簡単に声が漏れてしまうんだ」  首筋から顔を上げた穂高さんが、困った顔してお願いしてきた。 「だっだったら、俺のを握ってる手を外してください。じゃないと声が出っ放しになってしまうよ」 「それは無理な相談だな。千秋の精気を、たっぷりと戴かなければならないからね」  言うなりパクっと咥えて裏筋に舌を絡ませながら、ゆっくりと上下にスライドされてしまい――。 「ぁんっ! もう駄目ッ、イクぅっ!」  穂高さんがしているコトはいつもと変わりないのに、なぜだかすぐに達してしまった。それを喉を鳴らしながら、美味しそうに飲み干していく。しかも痺れるような快感がまだ続いていて、頭と躰がどうにかなってしまいそうだ。 「千秋、悪いがもう一度同じことをするよ」 「も……いち、ど?」  言うなりズボンを手際よく脱がせてから、着ていた服にも手をかけて脱がせられてしまった。その間もうまく躰に力が入らなくて、穂高さんにされるがままになっていた。まるで麻酔薬でも使われた気分。 「ん、俺に力が戻ったら千秋を愛してあげる。いつもよりも、念入りに愛してあげるよ」  煽情的に赤い瞳が揺らめき、それに魅せられるように目が離せなかった。くちびるの隙間から垣間見える牙の鋭さが怖いと思っているのに、なぜか咬まれたい衝動に強く駆られる。

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