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響き

女子であれば、多少年齢の違いがあっても互いに◯◯ちゃん、などタメで話すのだろうが、男子は縦の関係に厳密なところがある。 2年の泉は苗字、1年の中村拓真は自分から拓と呼んでくれと望むのでそのまま、そしてフリーターの高田、井口、滝井も苗字で呼ばれていた。 この3人は元からダチで今年の春に高校を卒業したばかり、年齢は拓と一緒。ただ、同い年の仲間内でも高田が常にリーダー的存在。 高田は見た目も派手な上、ガテン系というのか筋骨隆々で確かに威圧感がある。 しかし自分より強い奴には逆らえないらしく、大柄な泉や春翔には従った。 春翔は悠の次に年上で、一応皆からは春翔さんと呼びかけられた。 一番年上の咲田は全員から悠さんと呼ばれ、悠は全員を呼び捨てにしている。 色素の薄さは肌だけでなく、髪も日に透けると茶色見える。二重の目、長い睫毛、形の良い唇、青年と少年の狭間にいるような顔立ち。 身長は170くらいで、さほど低いわけではないが、たまたま他の6人が悠より大きい。 7人一緒にいる場面では一番幼く見える悠が、みなを呼び捨てにしているギャップが、なんだか春翔には可笑しかった。 「春翔、ほら」 「春翔は?」 「春翔、これだよ」 悠の声はその繊細な美しい印象を裏切らない優しい響きを持っている。 悠に名前を呼ばれる事はとても心地良い。

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