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事件2
腕を掴まれたまま高田の言葉を聞いて、悠の元々白い肌が蒼白になる。
「やめろよ、そんな冗談」
「悠さん経験ねえの?アナル処女?ますますヤリてぇ」
悠が掴まれてる腕を振り払おうとする。
「暴れんな!井口、滝井、抑えろ」
「やだ、離せ!」「おい!やめろ」
悠と拓がほぼ同時に叫ぶ。
井口、滝井は左右から悠を畳に押し倒し、高田は足を抑え込む。
拓は3人を悠から引き離そうと手を出すが、振り払われて多勢に無勢、敵わない。
「高田、マジでアナル突っ込むの?」
井口が悠を抑えつけながら聞く。
「めっちゃ気持ちいいっていうだろ。俺は試してえよ…女でアナルオーケーの奴なんかそうそういねえしよ。悠なら上等だよ」
「やめろ、やめてくれ!」
身体を押さえ込まれて、悠は言葉で抵抗する。
「悠さんを離せよ!!」
拓も悠を抑えつけてる高田達の腕を剥がそうとする。
抑えつけていた足から高田が手を離し、ズボンを下ろそうとすると、悠がその隙に足をばたつかせた。はずみで高田の鳩尾 に悠の足の蹴りが入る。
「いってえ…何すんだ」
バシッ、バシッ!
直後、高田は悠の両頬に平手打ちをした。
拓はその光景に呆然とする。
「嘘だろ…おい嘘だろ…殴るなんて」
「ビンタってSMみたいで興奮すんなぁ」
高田は悠の顎を掴み、覆いかぶさり今度は口づける。
過ぎたアルコールが抑制を外す。
集団が判断を歪める。
興奮が次の刺激を欲する。
そして理不尽な暴力は、抵抗する気力を奪う。
「悠さん!」
拓が再び悠を助けようと高田に摑みかかる。
「滝井、井口、拓を追い出して鍵閉めろ!」
悠から滝井、井口が離れ、拓を羽交い締めにしてドアの外へ引きずって行く。
「離せ!馬鹿やろう!離せ!」
ありったけの力で抵抗する拓に、悠を押さえたまま高田が声をかける。
「誰にも言うな。男にマワされたなんて言われたら悠さんが可哀想だろ」
「お前!」
拓は二人掛かりでドアの外へ追いやられ、中から鍵がかけられる。
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