3 / 6
第2話
高橋と大学の食堂から別れたあと、遥斗は零を探していた。構内をぐるぐると回っているが、美しい彼の姿は見つからない。
(…今日は月曜日だし、零さん居るって言ってたような。)
ここの人気のない廊下を進んでいくと使われてない研究室がある。零さんはいつも人気のない所に一人でいる。あの研究室に居そうだなぁと思い近付いて、ドアを開けようとした時、人の声が聞こえてきた。
ドアの隙間に耳を近づけて聞いてみると、零さんの声がした。(やった!零さんに会える!)喜んだのもつかの間、相手の男の声も聞こえてきた。
「零。また違うやつとシたのか?」
男の声は落ち着いていて、俺より年上だと思う。
「うん。ダメなことでもした?俺は裕司さんと付き合った覚えはないよ。」
零さんの美しい声。
(…うわぁ、これって修羅場ってやつ?)
「そうか、零は俺の体に満足してないんだろ?だから他の男を誘惑する。」
優しい声色で言う男。声は優しいのに、なんだか聞いていて怖い。零さんはクスッと可愛らしく笑って「じゃあ、ココで抱いてよ。」と言うと、ソファが軋む音が響いて、俺の耳は零さんの甘い喘ぎ声で満たされた。
「裕司さんって、誰?」
_____________________________________________
それからしばらくして、裕司さんの事がわかった。
松本裕司 42歳、有名な玩具会社の社長。
俺も小さい時はその会社のおもちゃにお世話になったが、まさか零さんのセフレとは。
零さんは一体何者なんだ。
ともだちにシェアしよう!