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ギセイのカタミ! 1
人格破綻した攻3人兄弟に一般ピーポー受が囲われる攻's一人称視点話。
※触法描写あり(飲酒運転/セックスドラッグ/傷害/未成年飲酒等)
一人称視点/年下攻め/媚薬/自慰/蜘蛛(ペット)/スカトロ(予定)/コスプレ(予定)/SM(予定)
未完結短編集行きか放置の可能性高い。
長男…ポエット
次男…ヤンキー
三男…不思議ちゃん
受…苦労人
(全部予定)
恋人の変わり果てた姿に俺は戸惑った。
Side Haze
玄関で迎えたのは中背か、もしくはそれより少し小柄な恋人だった。顔中に傷だらけで腫れ上がり、紫の痣が浮かんでいる。整髪料で後ろへ撫で付けた髪は乱れ、着ているものは汚れていた。片足を引き摺るように立っている。可愛い恋人・耕幸の痛ましい姿に俺はスリッパのまま上框 を下り、その身体に近付いた。耕幸は無傷の片目で俺を黙ったまま眺めるばかりだった。構わず俺は耕幸の腕を取ってリビングに上げる。遠慮しているのか、耕幸は上框を跨ぐことを躊躇った。けれど俺は腕を引く。控えめな恋人は片足を引き摺って歩いた。俺は救急箱を探しに行ったが、彼は初めて来たわけでもないリビングに、ソファに座ることもなくぼぅっと立ち尽くしている。
「最近噂のオヤジ狩りってやつかな」
茶化してやる気になって救急箱を持った俺は耕幸の立つソファのすぐ隣のソファへ腰掛けた。耕幸は座って目線の低くなった俺をやはり黙ったままじっと見下ろしていた。
「オヤジなんて年じゃないだろう?まだ」
耕幸は俺より年上だけれどオヤジだなんて表現はまだ合わない。
「ほら座って。痛かったら言うんだぞ」
年上ではあるが、年上という認識は俺には足りず、一番下の弟よりも幼い子供に対するような口を利いてしまう。耕幸は端の切れた唇を舐めたり噛んだりしていた。手当てされるのが怖いのかもしれない。かわいい恋人のかわいい姿を見たいがために、少し痛くしてしまうから。
「っい、!」
消毒液の染みた綿を頬骨にある傷へ当てると、荒れた唇を噛んで顔を背けた。
「じっとして。耕幸は子供なのかな?」
顔を逸らしているのをいいことに、俺はキャラクターがプリントされたカラフルな絆創膏を貼る。引き摺って歩く片足にも処置を施した。足首が腫れていたため湿布を貼っておいた。耕幸は黙ったままで時折痛みに呻くだけだった。処置が終わると黙って俯いている耕幸にコーヒーを出す。砂糖に似た、けれどどちらかといえば小麦にも似ている白い粉を掻き混ぜる。耕幸がちょっと淫奔 になる粉末 だ。依存性はないし、過程に多少の違法性はあるかも知れないがこの薬 自体に違法性はない。
そうこうして耕幸がコーヒーを口にする瞬間を見ていた。耕幸は遠慮がちで控えめだけれど、やっぱり律儀な人で俺がコーヒーを勧めれば躊躇いを見せても数十秒の硬直の果てに、マグカップへ手を伸ばした。しかし邪魔をするようにインターホンが鳴る。出ていこうとする前に玄関扉が開き、それで訪問者が誰だがすぐに見当がついた。自宅のくせにインターホンを鳴らすのは、弟の霰 しかいない。三和土 で靴を揃えもせず、派手なハイカットのスニーカーが蹴り投げられるようだった。足音も大きい。
「ちゃーす。お久。つか誰?」
リビングに入ってくるなり霰 は俺に乱雑な挨拶を済ませると耕幸を見ていた。耕幸も霰を凝視していた。だが飽きっぽく、多動的な霰は質問したのも忘れたのかリビングを通ってキッチンへ向かっていった。冷蔵庫の中の酒でも漁る気なのだろう。脱色して放置したままの腐ったプリンのような頭髪が汚らしい。染めるか、脱色し直す気はないのだろうか。
「こン酒誰ン?」
「霙 のだ。喧嘩になるから勝手に飲むな」
隣の耕幸はじっと霰を眺めていた。俺は、俺と口喧嘩をして出て行ったことも忘れているらしい鳥頭の弟とまた口論が、恋人の前で口論が繰り広げられるのではないかと思うとうんざりした。
「はっ!未成年飲酒たぁいいご身分なこって」
一番下の弟・霙 が買って冷やしておいた度数の低いアルコール飲料の缶が軽快な音を立てて開けられる。
「お前なぁ…」
「名前書いてねぇのが悪いんだよ。いいんだよ、あいつぁケツの青いガキなんだから。それに弟の物なんて兄の物同然だろ?」
「ごめんな、耕幸。…霰!俺は一度だってお前から何か奪ったか?」
霰はほぼジュースに近い低度のアルコールを流し込むと首を傾げた。
「だってオニイチャンは無欲だもんな」
缶を握る手の甲が赤茶色に汚れていた。苛立って壁でも殴ったのだろう。
「手、怪我してるのか?ちょうどいい、貸せ。手当してやる」
霰は手の甲の傷など忘れていたようで自分の掌を見た。は?と言わんばかりだった。違う、手の甲だ。
「ああ、これか。いいよ。っつかオレん血じゃねぇし」
シンクに缶を置いて、口笛を吹きながら俺たちの前を通り廊下に出ていった。その間も耕幸はただじっと霰を腫れた目で追っていた。
「耕幸は霰、久々だろう?久しぶりの弟はどうだった?」
耕幸に声をかけると、耕幸は照れているのか俯いてしまった。弟たちとは鉢合わせないようにしていたし、弟たちが家にいるときは呼ばなかった。出来るだけ外で会っていたけれど、霰のあの様子では大丈夫だろう。今日は家で楽しみたい。
「ねぇ耕幸。俺の部屋に行こうか…」
両膝を合わせ、その上で両手を握って震えている。まだ前兆だ。
「ほら、行こう。ね?」
耕幸は首を振った。かわいい。肩を抱くと身体を傾け、俺の手から逃れようとする。かわいい。
「耕幸、じゃあもう少しコーヒー飲んで。とっても高いんだ。もったいないよ?」
高いといえば高いがかなり値の張る豆ではないし、市販の物より少しお高いくらいの専門店のもので、通販で入荷待ちするくらいの高級品というわけでもない。それに耕幸をもてなすのは俺の義務だ。しかしもう少しここで揶揄うのも楽しいが、早く耕幸の肌を愉しみたいのも本音である。無理強いはしない。ならばここでさらに粉末 を盛ったコーヒーを飲ませ濃度を高めるのが次善の策だろう。だが俺は焦ってしまった。片手の拳を解かせ、マグカップを握らせ、さらにコーヒーを勧める様は不自然に映ったかも知れない。かわいい恋人が可愛く乱れ、俺 を強請る姿を急いてしまった。そこで、階段を下りてくる足音がした。霰の欠点が時折は利点になるものだ。なかなか握ってくれないマグカップをすぐさまテーブルに置く。
「ちょっくらコンビニ行ってくら」
車のキーを回しながら、珍しく霰は行き先を告げる。
「何か要るもんある?建て替えといてやるけど?」
「霰、さっき酒を飲んだだろう」
「あんなんジュースだよ、ジュース!逆になんであれが酒扱いされてんだかな」
霰は鼻で嗤って転がったハイカットスニーカーに足を突っ込む。
「霰」
「大丈夫だよ、飲酒運転なんざみんなやってる」
耕幸もびっくりした様子で霰が靴を履く後ろ姿を見ていた。
「お前はただでさえ運転が荒いんだぞ」
「分かったよ、安全運転だろ。じゃ、まぁ10分くらいで帰ってくるからよ」
玄関扉の奥に霰は消えた。飲酒運転はこれが初めてではない。まるで運転するために飲酒していますとばかりに運転前にアルコールを摂取する。
「耕幸…すまない」
「大丈夫なのか」
「止めても無駄さ。事故るなら自損事故であることを祈るしかない」
頭を抱えた。だが耕幸が口を開いたことを落ち着いていく中で思い出す。
「耕幸!」
目を見開いた耕幸を抱き締めた。
Side Hail
初恋。初恋かぁ~と考えて、昔屋敷にいた女の子のことを思い出しだ。まだ触りてぇとか、ヤりてぇとかもなかった時だから一番キレーで一番やらしくなくて、多分女どもが憧れるやつ。今日の合コンも実りはなぁし。大学の奴等とテキトーに愚痴ったり反省したり、笑い話をしたりして繁華街の中を帰る。車停めるところはないから駅ビルの中を通り抜けた先の大型の電気屋の駐車場に置いてきた。参加した5人のうち2人はお持ち帰りなんだもんな。残った3人で仲良く帰る途中で、なんとなく気に入らない奴がいた。他の2人に、おい、って声をかける。安い居酒屋から出てきたばかりのラフな格好の男。今までめちゃくちゃ楽しくかったのによ、いきなり、ソイツの姿を見た途端にカッてなった。オレは衝動的にソイツを殴って、高校生なり中学生の部活の打ち上げでもしていたのか何台も並んだ自転車の中に倒れてった。ドミノ倒しになってく自転車がうるさかった。でもソイツは起き上がって、オレを見ることもなく、倒れた自転車を起こす。それがさらにオレをイライラさせた。イライラして、もう止まらねぇ。短気なところは治せってのは、スカしたマイペースのくそチビミゾレからも言われてんだよ。立ち上がってソイツをまたブン殴って、2人に止められたのは覚えてんだけど、それからは忘れた。ヤツを突き飛ばしたところで、マジで2人に両側から抱え込まれて駅ビルのほうへと連れられた。夜風に当てられて、落ち着いた頃に2人とは別れた。カスミオニイチャンは酒飲んで車運転するなと言うけど、オレは一度だって事故起こしたか?ほろ酔い気分で車に乗って、自宅というか、暫く家を空けてる叔母の屋敷に帰ったわけ。久々の自宅よ、なんで帰らなくなったから忘れたわ。大学のヤツと女ン家 回って寝泊まりしてたけど、そろそろ帰る頃だと思ったわけ。どこン家もジェットバスねぇしな。そんな流れだったもんだからたまげたね、殴ったヤツかと思ったけどオレが殴ったヤツよりも傷が多いから多分違うヤツがリビングにいるんだもんな。随分と物騒な付き合いだわ、オニイチャンも弟 のこと構ってないで付き合う人間選んだほうが良くねぇ?そんなこんなで久々の我が部屋は、時計の電池が切れてたし、電気のリモコンの電池も切れそうだった。コンビニに行って帰ってきた時も何も変わりはなかった。隣の兄の部屋から、鳴くみたいな高らかな声がするまでは。いや、待てよ。いつ女なんて連れ込んだ?あの物騒なニイチャン?おっさんは?帰らせたのか?靴を確認しなかったことが悔やまれる。どうせすんばらしいオニイチャンのとこに女 が来てたかなんかで、それでそんな事情も知らないあのなんか辛気臭げなニイチャン?おじさん?が来たわけか?オレの推測はこれだった。
『はぁ…んンっ!』
叔母の屋敷、壁は薄くないはずなんだけど、響くものはやっぱり響く。高音は響きやすい!この前バンドやってるヤツが酔っ払ってそればっかり愚痴ってた。カノジョにベースギターをdisられたとかなんとかで。まぁギターやってるやつがカノジョ喰ってるの知らないんかな、かわいそ。そんなことはどうでもよくて。
『あッ、アッあっ、あっ!』
聞き取れないけどオニイチャン何か言ってるわ。それにしてもなんか、ちんこにめちゃくちゃ響く。いや、さすがにまずいでしょ。昨日も宿代払うつもりでガンバッたでしょ。
『ぅん…っぁっはっぁ、』
それにしても随分と酒焼けしてるっつーか、ハスキーっつうか、低い声の女だな。オニイチャンそういうシュミなんかな。きゃんきゃら声の女とか好きそうだけど。ってかオニイチャンは幼妻系のAV好きじゃんね。好きだろ?あれ?
『だ…っあ、も……っああああっ』
う~ん。オレは頭を抱えたね。もうテント張ってる。いい?……いいって何が?絶対、イったよな今?もう聞こえねぇだろ。放っておきゃ治まる。オニイチャンの女 の声でヌくとか無いだろ、負け犬かよ。ミゾレが家空けてるからって油断し過ぎじゃね?ってかミゾレどこ行った?オレがフツーにおジャマ虫なワケ?
『あっ、イって…あっンぁ、』
なんか…まぁ、お優しいオニイチャンだからな、ニューハーフのゲイに付き合ってやってるのかね?あれ?ニューハーフってゲイなん?いくら女の格好 してても男じゃあねぇ…
『ぁっ、あひっ……はンッあっあッぁっ!』
『すごいな…すごい…』
ふと思い浮かんだオレの予想の真偽が気になりまくって、壁に耳を当ててみる。オニイチャンの声はさすがに萎えると思ったけど、そんなすげぇのかって想像したらまたちんこがたった。
『エッチだな……本当にエッチだ。自分で動けるな?』
返事はなかった。フツーに喋ってねぇと、ニューハーフなのかただ声が低いだけの女なのか分かりづれぇ。ニューハーフ?女?女だろ?女だよ。
『あ……くぅ、………うぅン、あぁ…ッ』
ちんこがビンビンになってきた。シコっていい?オナるぞ、ここで。オレの部屋だぞ、問題ないだろ?
『ぁンあぁっ、あっ…!』
めちゃ困る。ほんと。オレはミジメにもオニイチャンが連れ込んでる女(多分)の喘ぎ声にシコシコちんこをこすっている。めちゃくちゃ好みのAVよりエロい。すぐにイきそうで、ティッシュ間に合わねぇかも。壁に寄りかかって、情けなくちんこ出して、シコシコシコシコちんここすって、昨晩のユリカちゃんもヨカったけどさ…
『あんぁぁアぁっ!』
感じ過ぎだしイきすぎでしょ。でもやべ、オレもイくわ。どうしよ、姪とか甥できたら。口煩ぇオニイチャンもちんちん固くしてズコバコしてんだなって思ってそれでジョカノはアンアン鳴かされてるの、なんかすげぇコーフンした。
「…っ!」
『やすゆき、最高だ…っ』
え。オレは精液 が出ていく感覚にめちゃくちゃ気持ち良くなってたのに。やすゆき?やすこ?ゆきちゃん?え?2人いた?お漏らしみたいに白いのが床に落ちた。
Side Haze
耕幸のナカがひくひく俺を締め付けて絶頂を伝える。薬のせいで積極的になった姿はたまらない。自ら腰を振り、自分の好きなところに俺を当てていた。ふしだらな腰を抱き寄せ、俺も奥に吐精した。俺の子種が出る脈動に反応してきゅうきゅう引き絞る。
「はっ…ぁ、んっ」
まだ薬の切れていない火照った身体に覆い被さり、触れるだけのキスする。痩せた白い腹や腰にまで痣が浮かぶ。かわいそうに。一体誰が耕幸をこんな目に遭わせたのだろう?
「う…っあ、」
まだ足らなそうに繋がったままの部分が揺れる。耕幸は4ラウンド、俺は3ラウンドに入ろうとしていた。
「耕幸…、耕幸…かわいい。大好き。まだ動ける?」
紅潮した頬と濃い下睫毛に囲まれた潤んだ瞳。太い眉が歪む。ナカは俺を求めて、可愛い耕幸の耕幸は粘液を吐いて腹に寝ている。勃起しても可愛い。小さくはないけど大きくもない。俺みたいに完全には剥けていないからグロテスクさはなくて、むしろ可憐なくらいだ。むしゃぶりつきたいけれど、体勢的に厳しかった。その俺を煽って仕方がない可愛い肉棒を扱くと耕幸はやはり可愛い声で鳴いた。胸が握り締められたみたいな心地になって夢中で耕幸の唇を吸った。耕幸とのキスは甘くて頭の中が痺れる。もう、可愛い、美味しい、好き、以外の言葉が見つからない。骨張った身体を抱き締めて交接を深める。
「あ、ぁ、」
「耕幸、動くよ。掴まって?」
シーツを掴む耕幸の両腕をとって、俺の背中に回させた。もう耕幸は抵抗なんてしない。かわいい。大きく引いて、腰を貫き直すと、頭を振り乱した。本当に薬のせいかな?耕幸はもともと感じやすいのに、いつも耐えてるんだものな。そういうところも可愛くて仕方がない。奥ゆかしい。
「ぅんンぁ、やめ…っ!ぁン…ッ止めっ、あっ、やぁ…!」
ローションと俺の出したものとか耕幸の体液とかが混ざり合う音が生々しい。俺の腰が痩せて硬い骨盤を砕いてしまいそうだった。そうなったら、俺が一生養う。一生の責任を取る。
あぁ広い山海~
ああ~広がる銀河~
隣の部屋から大音量で童謡が流れ込んでくる。なんで霰が持っているのかと思ったが、霰の大学には教育学部があったから、多分その繋がりだろう。考え得る限りは。
「あ…っ」
虚ろな目で快感だけを貪っていた耕幸の瞳が俺を見上げた。あまりセックスに積極的でない、照れ屋な彼だから、我に返って恥ずかしくなったみたいだ。
「だめだよ。逃がさない」
薬だってまだ切れてないのだから。逃げ惑う両腕を掴んで、交差させるとさらに腰が密着する。深く突き込むと括約筋が俺を苛んだ。強い快感と充足感にすぐさま射精したくなる。けれどセックスは2人でするもので、耕幸が感じてくれなければ俺のこの肉棒はただの腐ったソーセージに変わりがない。
「あひっ…ッ!うん、あっ、ぁっアぁんッ……くぅ」
一層速く腰を振りたくる。俺がキスをし過ぎて色付いている唇から唾液が漏れ、それがもったいなかった。腰が震え、あまり手入れされていない太眉が寄る。悩ましげで可愛らしい。眉間にキスしたい。
「好き、好き、大好きだよ、耕幸…」
「あひぃっ……あぐぐっ…あぁっ!」
電流を通されたように耕幸の肉体は跳ね、俺は肛門で達した彼を掻き抱く。千切られそうなほど括約筋が俺を締め上げ、俺はまた中へ出す。薬でさらに感じやすくなって、俺の鮭みたいな大量の放精にも耕幸は感じ、意識を手放してしまった。白目を剥いてもかわいい…
「かわいい…かわいい…」
耕幸を前にすると俺はどんどん白痴 になって、意識を失っている耕幸のナカをまだ掻き回した。
「今日は泊まっていくよね?」
耕幸の柔肌を舐めずにはいられず、俺はトんだ耕幸の頬に舌を這わせる。舐め上げ、俺の唾液が光った。耕幸の愛らしい口唇をしゃぶり、溢れる蜜を啜った。甘い。脳味噌がどろどろと溶けていくようだった。もっと繋がりたい。もう離せない。今日は泊まらせる。障害を負わずとも、俺が一生養う。
おお~青い海 群青の星空~ああ~
霰の部屋から流れてくる大音量の音楽のこともまるで忘れていた。耕幸から俺の汚らしい淫らな棒を抜く。まだ彼の中で暴れたいらしい。だが俺は肉棒を叩いて、ロミオとジュリエットの心中みたいに愛しくて堪らない恋人に寄り添う。半開きの唇が誘っているみたいだった。俺のまだ熱い陰茎を咥えてもらったなら、どれだけ気持ちが良いのだろう。しかし、俺は耕幸にそんな真似させられない。気付くと俺は耕幸の寝顔を眺めながら汚れた馬鹿息子を扱いていた。
潮の~香り~ 恵みの~光~あまねく~我らは~
耕幸のかわいい包茎と俺の図体ばかりの愚息を擦り付ける。かわいい。かわいい。どうして耕幸はこんなにかわいいんだ?何故正気でいられる?
「…っは、ぁ、」
「ぅん、っあ、」
耕幸は俺より小さな身体をぶるぶる痙攣させて射精した。失神しながらも達せるなんて、耕幸はなんていい子なのだろう。俺は感動して、また、精液を溢す小さく開いたままの穴に俺の駄目な陰茎を捻じ込んだ。
Side Hail
だあぁあああ!うるせぇ!とにかくうるせぇ!やすゆきって誰だ?オレはクソうるせぇ喘ぎ声と、ニューハーフですらねぇ男でヌいちまった事実に悶々として、教育学部の奴等から返してもらったきり置きっ放 のCDを流す。オニイチャンってゲイ?幼妻のAVってなんだったんだ?オニイチャンはケツ穴掘るのが好きで、ミゾレはスカトロAV大好きなド変態。大丈夫なのか、オレの家系。頭を抱えてじっとしていた。ゴミ箱に捨てたティッシュも見たくねぇ。サイアクだ。サイアクじゃないワケがねぇ。あのゲイカップルは何をしている?音楽を止め、オレの部屋を出る。オニイチャンの部屋の前に立つのもめちゃくちゃ怖ぇ。ドアノブに手を伸ばす。ゆっくり、ゆっくり。
「何してんの」
びっくりしてオレはドアノブに少しずつ近付いていった右手を引っ込め、思わずその手をかわいく抱きしめてしまった。ミゾレのチビガキだ。今日もさらっさらのキューティクル野郎で、キモいペットのエサを買ってきたらしいペットショップのビニールぶくろを下げて、ぬぼっと突っ立っている。鼻たれ小僧!
「覗き?」
相変わらず肩にデカいクモを乗っけてる。きっしょ。オレがニラむと、これ見よがしに肩のクソでかグモを細っせぇ指でなでた。あれがペットであっちのシュミはスカトロAV。ヤバ過ぎる。ミゾレは階段を上がってすぐのオニイチャンの隣の部屋に入っていった。あのジャリガキの悪趣味には付き合いきれない。やつの気持ち悪ぃクモが逃げ出してオレの部屋に来たら、潰しちまわない自信は無い。ミゾレのことなんざどうでもよかった。オレはふたたびオニイチャンの部屋のドアノブをジッと見る。ドアノブの中の歪んだオレとにらめっこだ。
「ああ、霰 チャンさ、おれの酒飲んだっしょ。買い足しといてね。弟の物勝手に飲む兄とか世間的に恥ずかし過ぎるから」
「未成年が酒飲むなクソガキ」
「飲酒運転してる人がよく言うなぁ。世間的にはどっちがヤバいんだろう?どっちがヤバいと思う?霞ちゃんに訊いてみる?」
ほんっとにこのガキ嫌いだわ。毎日いつも目が死んでるのも気に入らねぇ。素晴らしい兄貴をちゃん付けなのも気に入らん。
「おれちょっと前ん家のおばさん家に行ってくるから。おれのいない間にクモちゃんのこと触らないでね」
「頼まれたって触らねーわ」
その気色悪いクモちゃんを置いて、ミゾレは階段を降りていく。忙しいやつ。猫とか犬とかまでは言わんけど、なんでうさぎとかインコとかにしねぇの。
「霰?」
オニイチャンの部屋のドアが開いて、オレはデコをぶつけた。
「霙もいたのか?」
オレのイケメンだの大学始まって以来の男前だの、言われた顔にドアをぶつけてもオニイチャンはまるで気付いてないらしい。廊下を見渡して、それからまたオレを見下ろした。
「賑やかなのは結構だが、今は静かにしてくれないか」
くちびるに親指立ててさ。なんだそれ?
「なんで?ジョカノでもいんの?」
「…まぁな。とにかく寝ているから、静かに頼む」
「クソチビは前ん家だとよ」
「そうか。じゃあ、食べてくるかもしれないな。お前はどうする?」
あ?何?飯タカりに行ったのかよ、あの寝小便太郎は。これだから女っ気のねぇ童貞くんは困らいね。
「テキトーに済ます……お兄 はジョカノにでも作ってもらうわけか?」
「霰。お前のそういう女性を軽視した見方は感心しないぞ。俺が作る」
「女ってのは男に飯作りてぇもんなんだよ……あ~、もしかして女じゃねぇ、とかか?」
オニイチャンは相変わらずの無表情で、オレを見下ろす。177はあるオレをヨユーで見下ろすなくそ。
「そうとも限らないだろう」
「は?」
「俺は男だが、毎日恋人に三食作りたいものさ」
「あっ、そ。じゃあな」
やってられるか。オレはドライブしがてら飯屋でも探そうという気分になったが、リビングで突然脱力感におそわれた。なんでオレが逃げるみたいに出かけなきゃならねぇんだ?久々のおうちだぞ?叔母さん家ではあるけれども。
バカでかいリビングの無駄にあるソファに座って、天井を見上げる。くだらねぇ。とっても。かなり。シーリングファンライトとかナントカとかいったくるくる回るプロペラみたいなやつを飽きるまで見て、ぐだぐだやっていた。そのうちめちゃくちゃ機嫌の良さそうなオニイチャンが降りてきて、お前も食うだろ?なんてオレの返事も聞かずにキッチンに向かう。渡り歩いた女に作ってもらった晩飯、ふわとろオムライスとかカルボナーラとかめちゃウマいし見た目もキレーなんだけど量足らねぇし、気分 じゃないんだよな…って感じだからやっぱ我が家の飯が一番かな。オニイチャンは冷蔵庫見ながらあれこれ出して、何か考え事をしていた。暫くうち専属のハウスキーパーも長期休みだもんな。料理出来んのオニイチャンだけだしクソチビはカップ麺も作れねぇんじゃねぇか。
「炒飯でいいな。玉子包むか?」
「うん」
「ダメだ、2個しかない」
「は?」
「俺とお前は玉子無しだ」
え?は?何?どゆこと?なんでオニイチャンはともかくオレも玉子ねぇの?後ろ姿だけでもずいぶん上キゲンだけど、何?きっも。
「おい」
「軽やかな玉子の風味と鮮やかで無邪気な黄色はまるで俺の天使に相応しい」
テンシって何?天使?エンジェルのこと?いや、さすがにミャクラクなさ過ぎでしょ。オニイチャンはめちゃくちゃごきげんのまま炒飯 を作る。オレに出したのは皿にテキトーに盛ったやつなのに、上に運んでいったやつは、おわんでドーム型にしてたし、あのナイフで切って内側のとろとろ出すオムレツ乗ってたんだけど。しかもオニオンスープ付き。米ぱらぱらでうまいけどさ、その扱いの差、何?オニイチャン。2階から戻ってきて、オレのソファの反対に座るとオニイチャンはテキトーに盛り付けた炒飯を食べ始める。
「おかわりあるぞ」
「ミゾレは?」
「馳走になると連絡があった」
顔だけはかわいいみたいだしクソチビだし若いから可愛いがられちゃってまぁ…そのうち養子に来ない?なんて言われんじゃね。くっさ。
「うちの息子にならないかと言われるのも時間の問題だな」
オニイチャンってさ、いっつもジョーダンを真顔のガチトーンで言うから、タチ悪ぃ。まぁ、あのチビガキが前ン家の息子になって寂しくてピィーピィー泣いてもオレ知らね。
「どうすんの?」
「あのクモをどうするかだろうな」
「クモごと引っ越すだろ」
薄気味悪いクモと小生意気なガキがバイバイしてせーせーするっつの。
「クモが大嫌いなんだぞ、あのご婦人は」
炒飯食う姿もサマになって、なんか逆に炒飯食ってサマになるのって変だわ。
「どっからどこまでがジョーダン?」
寄せ集めた米粒すくって、オレの空いた皿まで重ねてオニイチャンはキッチンへと持っていく。
「半分は本音さ。飲酒運転の地雷兄貴と暮らしてたんじゃ、気も休まらんだろうしな」
関係ねぇよ。部屋に戻ろうかと思ったが、なんとなくイヤだなと思ってリビングのテレビを観ることにした。100インチ。しょーじき画面全部見られないから疲れる。まぁあんまテレビみねぇけどさ。
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