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第17話
「とりあえず…………死ね、勇者」
「や、いやぁぁぁぁぁぁあ!」
目の前で豪剣が僕に向かって振り下ろされる
それを僕は剣で受け止めることは出来ず、ただただ下を向いて固まっていた………………
しかし、くると思っていた衝撃はいつまでたっても訪れなかった
恐る恐る上を見上げると、そこには魔王の剣を受け止めている友人の姿があった
「なにしてんだ!澪!!」
「さ、聡!」
「あ゛?誰だテメェ…………」
「鹿野聡様だ!覚えとけ悪魔!!」
そう魔王に向かって吠えると、キン!と音を立てて魔王の剣を跳ね除けた
いつの間にそばまで来てくれたのだろうか……
友人は魔王に対峙すると僕の肩を抱き後ろへと隠した
聡の背に隠れるようにして守られた僕に魔王は目を向けると、すぅ……と目を細め、くくく……と小さく笑う
その目は愉快そうにこちらを見つめ僕を捉えた
「気に入った、勇者とその騎士…………
我が軍の奴隷にしてやろう」
「はぁ?奴隷?
なるわけねぇだろ!クソが!」
冗談じゃねぇ!と吐き捨てる聡の背に隠れながら、僕はガタガタと震えていた
魔王の目は、本気だった
あれは、僕らを本気で殺しにかかろうとしている目だった………………
僕らにかなう相手じゃない、と思った僕は後ろを向きジュダスさんに助けを求めようとしたのだが…………………………そこはただただ平地が広がってるだけだった…………
「う、うそ……………………」
ジュダスさんに……見捨てられた…………?
僕はその現実を受け止められず、ただただ絶望してその場にへたりこんでしまった…………
そんな僕の肩を優しく叩いたのは……………………
「なにへたれてんだ?勇者
てめぇは俺についてこい」
いい笑顔の魔王だった…………………………
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