「あのー、森保君…」 「んー」 「俺も、"モリー"って呼んでい？」 「却下」 勇気を出して言った俺の提案を、無碍なく断る森保君。 只今、午後10時55分。 やっぱり"森保君"呼びのようです。 事の発端は、ヨッシーの何気ないひと言。 「みっちゃんって、モリーと仲良いいのに"森保君"って堅いよねー」 うん、それ俺も思ってた。 森保君と親しい人達は、みんな"モリー"と呼んでいる。 俺だけ、"森保君"。 「何で"森保君"呼びなの？」 こんなに仲良くなれるとは思っていなかったんだ。 しかも、まさかの親友Aになれるとは思っていなかった。 はっきり言って、言い換えるタイミング逃したんだよね。 「ごめん、もしかして俺の"みっちゃん"呼びって馴れ馴れしかった？」 そんな、滅相もございません！ 逆に、イケメン王子ヨッシーの"みっちゃん"呼び、みんなから羨ましがられてるし。 「呼び方だけで距離が縮まる感あるしね。仲良くなりたいのに、堅苦しいの嫌だし」 森保君とは、最初に比べたらかなり距離は縮まってる。もう十分仲良くなれた。 でも、ホントは俺も"モリー"って呼びたいんだ。 最初は違和感ありありだと思うけど、あの"いつもの一場面"と同じように、毎回言ってれば当たり前になる。 「いつも俺と仲良くしてくれてるみっちゃんには…。ハイ、チョコあげる！」 少しビターなチョコレートが、主人公と親友Aの距離を現してる気がした。