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5-S
「三島、おはよ」
「……」
俺の挨拶を無視する三島。
只今、午前7時35分。
無視したくせに、ソワソワしている気まぐれ猫。
昨日の電話で、三島の"モリー"呼びを却下した俺。
すると、そのまま電話を切られてしまった。
その続きがあったのだけども…。
「モリー、マンガさんきゅー」
鈴木も。
「モリー、次の古典自習ー」
佐藤も。
「モリー、こっちこっち!」
吉川も。
俺と仲が良い奴は、大体"モリー"と呼ぶ。
だから、三島には"モリー"と呼んで欲しくなかった。
ただの仲の良い奴で終わらせない。
三島には違う呼び方で、俺を呼んで欲しい。
俺は自惚れている。
いつも三島の隣りにいる奴として。
俺は勘づいている。
あの綺麗な手が俺に触れるのも、時間の問題だと。
三島の中では、オレもう飼い主になったんじゃないのか。
そうだったら、嬉しい。
だから、
「三島、おはよ」
「……森保君、朝は無視して、ごめん」
三島が俺のこと"モリー"と呼べなくて、がっかりしているのも分かってる。
だから…、
「三島、俺のこと"森保君"じゃなくて、"佐久間"って呼んで」
飼い主のことは、特別だと言ってくれ。
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