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8-N
「ふーちゃん、わたし、もりやすクンに会ってみたい」
「えっ!?」
わたしのおねがいに、ビックリしたふーちゃん。
今、ごご6じ33ふん。
ふーちゃん、ドライヤーあついよ。
ふーちゃんは、今日もおふろで"もりやすクン"のはなしばっかり。
わたしが、今日のきゅうしょくに大すきなシチューが出たからおかわりしたこと。
ミクちゃんとマユちゃんとトモくんとなわとびしたこと。
音がくでみんなでグリングリンをうたったこと。
とにかく今日のたのしかったことをいっぱいおはなして、ふーちゃんも今日のおはなししてって言ったら、ニコニコして…、
「"もりやすクン"がね…」
うん、今日も"もりやすクン"。
ブレないふーちゃん、お兄ちゃんだけど、かわいい。
おふろから上がって、ふーちゃんがドライアーをバーーーっとかける。
わたし、もう自分でできるのに。
「ねーねー、もりやすクンは、ふーちゃんとすっごく仲良しなんだよね?」
「もちろん!」
「わたしとミクちゃんぐらいなかよし?」
「んーそうだねー。もっと仲良しかも」
すこしはずかしそうにニコニコするふーちゃん。
だから、言ってみた。
「ふーちゃん、わたし、もりやすクンに会ってみたい」
「えっ!?」
「ふーちゃんは、ミクちゃんとこないだ会ったから、わたしももりやすクンに会いたい!」
ミクちゃんは、わたしのいちばんのなかよしさん。
こないだミクちゃんが、おうちにきて、ふーちゃんもいっしょにあそんだ。
だからわたしも、ふーちゃんのいちばんのなかよしさんの"もりやすクン"に会いたい!
「でも、森保君忙しいと思うよ」
こまってるふーちゃんなんて、気にしなーい!
「えー、会いたい!あそびたい!」
「んー…」
「だってね、だってね、ふーちゃん、いつも、もりやすクンのはなししかしないからね、わたしね、もりやすクンが気になる!」
「んー…」
あともうすこしだ!
「ふーちゃん…、ダメ?」
くるっとうしろをむいて、ふーちゃんをかなしそうに見上げる。
「ん〜…分かった。森保君に聞いてみるね」
「わーーーい!」
ふーちゃんこのかおによわいのだー!
「いつでもいいけど、早く会いたいなー!今日、きいてね」
「えっ、今日?」
「へへへっ、たのしみだなー!」
わたし知ってるもんね。
ふーちゃんがねるまえに、もりやすクンにでんわしてるの。
わたし知ってるもんね。
ふーちゃんが、じつはもりやすクンをおうちによびたいとおもってるの。
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